「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.724~死ぬまでジャズ、チンさん~】
日本の場合は4月から新年度と言うことになる。これには古くからの日本特有の教育システム~4月に新入学...と言うことも関係しているのかも知れないが、日本の花=桜の開花に準じる感もあるこのシステム、ぼくは悪いものでは無いと思っている。まあ最近は日本の国際化の遅れ(?)などに伴う、欧米の9月入学システムとの融合性なども問われているが、この日本独特なシステムは大事にすべきではなかろうか...。
と言うことで我が「テイスト・オブ・ジャズ」でも、ここ10年ほどは4月第1週の放送を、新入生や新社会人向けのジャズ入門編と言うことで、ジャズライターやジャズ誌編集者、ミュージシャンなどにお願いしている。さて今年は誰に...と考えていた処、最近余りジャズミュージシャンが登場していないのでは...と気付いた。じゃ誰を...と言うことになり直ぐに思い付いたのが、最近語り下ろしのジャズ自伝を出したばかりのチンさんこと日本を代表するジャズべ-シスト、鈴木良雄の存在だった。「死ぬまでジャズ」(リットー・ミュージック)といささか大業なタイトルが付けられたこの自伝、各方面から仲々に面白い...と評判を呼んでおり、ぼくも色々な音楽雑誌やジャズブログなどにも紹介記事を書いて、本の売り上げのバックアップにも貢献したものだった。
思えばチン~鈴木良雄とは、早稲田大学新入生時代に早稲田ジャズ研の音楽長屋(練習場)で初めて出会い、以降半世紀以上に渡っての本当に長い付き合い。自伝本の中にも「全ての根源はダンモ研にあり」と言う一章があり、そこには増尾好秋や森田一義ことタモリなどとの交友関係も出て来る。30才前に彼が単身渡米し10数年現地で活躍していた時も、2回程NYにある彼の芸術家の為の高層アパート(素晴らしいロケーションに位置する素晴らしいマンション)にも寄らせてもらい、色々と夜を徹して飲んで談笑したりしたものだった。我がジャズ番組にも最も登場回数の多いのがチンだと思うが、何か新譜を出した折には「小西、番組でも取り上げてくれよー」と頼まれれば、どうも嫌とは言えない仲。
そんな彼のジャズ感を久し振りに窺おうと言うもので、特に「ジャズ入門という点に心して曲なども選んで欲しい...」という注文も付けた。彼も「ブレンド」等自身のグループでのアルバムの他に、最も影響を受けたと言うマイルス・ディヴィスの『カインド・オブ・ブルー』やアメリカで彼の名前を一躍有名にした、アート・ブレーキ―のバンド=ジャズ・メッセンジャーズ(JM)のアルバムなど4枚ほどを持参し、ジャズの面白さ、奥深さなどを愉し気に語ってくれた。収録終わりには近くの美味い小料理屋に向かい、山本郁姫も加え久し振りに交友を温め直した。やはり長き良き友である。
チンの自伝本は最後にこう締めくくられる。「ぼくって本当に水の様な奴だなーと思う。流れ易い方にどんどん流れて行く。水でいいんです。最後は海に行けばいいんだから...。それに対して後悔はありません」。そして「残された時間でやりたいことが山ほどあり、どこまでも挑戦です...」とも言う。チンよ、残りの人生、俺もどうにか頑張るから、お前もな...。まさに「死ぬまでジャズ...」の心づもりで、励んで欲しいものです...等とチンに一言掛けたくなる。
【今週の番組ゲスト:ジャズベーシストでコンポーザーの鈴木良雄さん】
新年度最初は恒例のジャズ入門。ジャズ界の先輩に指南頂きます。
M1「Freddie Freeloader / Miles Davis」(『Kind of Blue』より)
M2「Blues March / Art Blakey & The Jazz Messengers」(『Moanin'』より)
M3「The Kite / BASS TALK」(『Beyond The Forest』より)
M4「Let's Walk Towards the Sun / The Blend」(『Five Dance』より)