「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中(再放送は毎週金曜日 18:30~19:00 ※特別番組放送により休止の場合あり)。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.685~新語の「沼る」にハマる】
この前ある週刊誌の映画紹介の記事を読んでいたら、女性のライターが「わたしはこの映画に完全に沼ってしまった...」等と記している。?...沼った...、チャンジー(爺さん)のぼくだけになんじゃこれは...と言うことで、まずこの言葉、どう読むのか全く分からない。どうやら文脈から推定すると、沼った=嵌ったの意味なのだが何回もこの表現が出て来る。これは知らないと...と思い直ぐに「沼る」で検索してみると、意味はハマるで間違いなしだが、それもオタク的なハマり方を指す言葉で、読み方はそのまま「ぬまる」で良さそうなのである。
それにしても仲々に面妖な言葉が誕生したものである。湖だと水深が深くおぼれ死んでしまうし、池だと浅すぎて浸かる位の感覚か...。これが水深も浅く底に泥が堆積していて、なにか体ごと持って行かれてしまう沼だと、ズブズブと引き込まれはしてもどうにか命だけは...と言う意味合いがあり、ある種何かオタク的なおどろおどろしい意味言いもあり、言い得て妙でもあるなー、と秘かに納得。面妖ながらも絶妙な言葉の綾でもあり、男女間の愛情問題~あの広末のダブル不倫問題などの表現にもピッタリなのかも知れない。
それにしてもこうした言葉の誕生~登場を考えると、仲々に興味深いものがある。一昔前に流行ったギャル語などを含め、どうやらこうした新語は若い女子高生辺りから生まれて来るのだが、自身の皮膚感覚を最大限に生かした(反映させた)、こうした言語感覚は中々に素晴らしいものがあり、ぼくなどには到底真似も出来ない。惜しむらくはこれを沼ると書いてハマると読ませれば...とも思うが、そこは世の常識としてそうは問屋が下ろさない...と言うことなのだろう。
沼る。面白い言葉でぼくも原稿などで使わせてもらいたいのだが、結構使いかたも難しく、一つ間違うとまさにダサい表現に陥ってしまう。まあここは無理して若ぶらずに無難な言葉を使った方が良いのだろうが、ふと考えてみるとぼくはここ数年、どうやらジャズに沼っていない...ことに気づかされる。終活等と称してジャズアルバムの整理ばかりに目が行き、アルバム自体を愉しむことも少なくなってしまっている。全く沼っていない人生なのだ。そう考えると反省しきりである。どんな年齢になっても、ぼく自身はやはりジャズに、そしてラグビーに温泉に、山行に(これはもう体力的に無理か...)、沼り続けなければならないのだろう。残り少ない人生をより愉しいものにするために...。
【今週の番組ゲスト:ボストン在住のジャズシンガー 青木アキコさん】
2ndアルバム『Pure Imagination』より
M1「Almost Like Being In Love」
M2「Yesterday I Heard the Rain」
M3「Caravan」
M4「Smile」