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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.549~ラグビー大学選手権

 巷ではほとんどの市町村で式典中止が決められる中にも、晴れ袖姿の新成人が行きかい愉し気な談笑を交わしていた1月11日の成人の日。その成人式に出席もせずに半世紀以上が経ち、今や単なる街のチャンジー(爺さん)に成り下がっているぼくも、この日は年甲斐も無く結構燃えていた。

 我が早稲田大ラグビー部の大学選手権2連覇が掛かる決戦の日で、10時過ぎには家を出て国立競技場に向かう。待ち合わせの千駄ヶ谷駅に着くが、いつもの決勝の日と違って至って静かなもので、駅前もいつもような混雑もなく、騒がしい様子は皆無。大分拍子抜けだったがまあこれも無理からぬ所で、この非常事態宣言下に良く試合が出来たものだと感心もする。前売りの1万5千枚強の入場者だけ認めての試合決行だと言うが、実際には5千枚分の人間は入らなかったのだとも聞く(明治ファンだと想像するが)。色々とオリ・パラ開催強行のための忖度が各所で働き、どうにか開催にこぎつけた...と言うのが真相のようだが、まあ試合が可能になり観戦出来るだけで御の字と言った感じ。閑散と言った感じが濃厚な国立競技場に着くと、何と我が早稲田ラグビー部員達の部員席のすぐ脇の辺り。これはまた縁起が良いと...、正月のおみくじ大吉引き当てに続き早稲田ラグビーの優勝を確信する。

 しかし幸運はここまでで、1時過ぎに試合がキックオフされると後は悲惨の極み。直後からどんどんと天理大に攻め続けられ、ボール支配率・地域支配率とも3割弱と言うみっともなさ。前半10分頃までに早くも2トライを立て続けに決められ、前半だけで既に試合決まりと言った様相。久しぶりに早稲田が完膚なきまでに痛めつけられた感も強かった。まあ今年はコロナ禍で菅平の合宿も中止、秋まで対外試合も無しと言った厳しい状況の中で、良く決勝戦まで勝ち上がってきたものだと、選手たちを褒めてあげたいし、彼らに感謝もしている。

 しかし、しかしである。監督やスタッフにはやはり注文の一つも付けたくなる。昨年の早明戦で惨敗した明治を軽く一蹴し、決勝に臨んできた天理大。その力量は良く分かっていたはずなのに、ほとんど対策が練られていないように見えたのは残念な極み。昨年の対決で大勝した驕りや余裕がありすぎて、天理戦への対策を怠ってしまった...と言われても仕方ない完敗・惨敗だった。
 それともう一つ、この決勝戦はコロナ対策で拍手だけの声援となっており、選手たちの声もフィールドに近い席だっただけに返って良く響いた。そんな中こちらに聞こえるのは、天理の選手たちの声だけ。彼らは早稲田の選手一人一人の名前を呼んで、デフェンスの確認をし、気を引き締めていたし、コーチもグランドの脇に立ち大声で支持を出していた。一方早稲田からは選手の声も一切聞こえず(劣勢だったので仕方ない面もあるが)、コーチなどもグランド上に見当たらない。更にすぐ脇の早稲田部員席からも応援の声が上がらず、至っておとなしい。ラグビーと言う競技は体と体をぶつけ合う競技で、特に学生の試合などは気合の持ちようで、試合の流れが決まってしまう所も多々ある。そうした意味でもこの試合その実力以上に、試合の勝利要素は意外にそこら辺で決まってしまったのかも知れない...。現にある早稲田のFWの選手は試合後のインタビューで「天理の選手の声のでかいことに圧倒された...」とまで語っており、FW戦のモールやラック(FW同士のもみ合い)で完敗したのは、適当な対策が取られていなかったことと、この声のでかさに圧倒されたこと...なども、関係していたのかも知れない。それにしても劣勢の中にあって、部員達はもう少しグランドの選手たちに声を掛けられなかったのか...。そうすればもう少し流れも変わる可能性があったようにも思えてならない。クールで沈着...は早稲田ラグビー部の売りではあるし、現在のコロナ禍で、声を出すことも躊躇われたのかも知れないが、それを突き破るような熱く激しい鼓舞の瞬間も、必要な時はあるのだ...と強く思ったものだった。

 何ともやるせない気持ちで、競技場を後にしてすぐ前にあるラーメン店「ホープ軒」(日本有数のコテコテそば)に寄り、久々に焼け気味で食べつくした一日。残念で寂しい一日でした。

 とここまで書いて驚くべき...と言うかまあ規定通り...と言うか、早稲田ラグビーに関する重大ニュースが飛び込んできた。監督の相良南海夫氏が勇退と言うニュース。彼とは2度ほどしか話(立ち話)をしたことが無く、まだ50才すぎには思えない温和な好々爺然とした人物だったが、長年三菱重工相模原の監督などを務めて来た組織人にして苦労人。崩壊寸前だった早稲田ラグビーを良くここまで立て直してくれた...と感謝しかない。また会社に戻るのだろうが、これからの人生幸多いことを祈りたい。それにしても敗戦のあと、彼は結構恬淡としていたように見えたが、もう覚悟は決まっていたのだろう。最後にミッシェル・ルグランの名曲「ワット・アー・ユー・ドーイング・ザ・レスト・オブ・ユア・ライフ」で、これからを称えたい。ご苦労さんでした。相良南海夫氏!

【今週の番組ゲスト:ジャズギタリストの井上さとしさん】
9枚目のリーダーアルバム「9SONGS」から
M1Together With You
M2Paz y Amor Siempre
M3Monk The Things
M4Nonoichi Swing

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