3月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2015/03/20(金) 19:00 番組スタッフ
「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

    
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.246~おすすめ音楽映画~】

 このところ音楽映画(ジャズフィルムを含む)で、あまりお気に入りのものが無いなーと思っていたが、立て続けで好作品に出会った。一本はいささか古いもので、クリント・イーストウッド監督作品の「ジャージー・ボーイ」。かなりな好評作だったので試写会で是非と思ったのだが、スケジュールが合わず、封切館でも見逃してしまっていたものがビデオで登場。何が何でもと思ってみたのだが、これが噂に違わずなかなかの佳品。一世を風靡したフランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズの成功から終焉を描いたセミ伝記映画。イーストウッドの作品には以前、チャーリー・パーカーを描いた「バー」と言うジャズフィルムがあったが、これはいささか不満な出来栄え。彼自身がかなりなジャズファンだけに、天才バードことパーカーを描くには思い入れも強過ぎたようで、客観的にバードと言う人物を描き切れておらず、クリント・イーストウッドの作品としては期待外れに終わってしまった。そんな彼だが今度のフランキー・ヴァリ&フォー・シーズンズは悪がきからアメリカのポップス・ショウビズのトップに上り詰めたと言う存在だけに、彼自身も描き易かったようで、かなり気楽に愉しくショウビズでのアメリカン・ドリームの成功と苦悩を描き上げている。特に興味深かったのは、彼らの成功の一端を担うコーディネイターがのちに俳優で成功したジョー・ペシだと言う点。味のある小悪党役にはぴったりな彼がマネージャー代わりを務めていたと言うエピソードは、何とも興味深いものだったし、映画全体も気楽に愉しめ、しかも含蓄ある好内容なフィルムだった。

 そしてお勧めのもう1作は、あの「キング・オブ・ソウル」とか「ソウル界のゴッドファーザー」など様々な呼び名を持つ、ジェームス・ブラウンの伝記映画「ジェームス・ブラウン~最高の魂を持つ男」。こちらは今年5月公開予定の作品で試写会で見たのだが、これも大変に面白かった。ソウルミュージックを一身に体現化した存在とも言える彼は、何せ問題児。刑務所にいた方が長いとも噂される破天荒のシンガーだが、そのステージの凄さはつとに評判。マイケル・ジャクソンなど多くの黒人ミュージシャンに影響を与えた、黒人音楽史上最強とも言われるレジェンド(1933~2006年)で、ジャズとの繋がりは直接的には無いのだが、彼のバックバンド(JBs)には、ソウルジャズの大物として名を成したメシオ・パーカーやピー・ウイー・エリスなども参加、映画にもメシオが重要な役で登場し、これも興味深い所。
 映画はあのストーンズのミック・ジャガーがプロデューサーに名を連ねており「"かれの人生は、尽きることも無い魅力に満ちてきわめて感動的だ。その伝記映画の作り手になれて光栄だ」と語るほどに入れ込んでいると言う問題作にして感動作。アメリカのディープサウスの貧困家庭に生まれ、そこから這い上がって行く波乱万丈ストーリー。余りにも多彩で描きにくい素材を、上手くまとめあげた監督の手腕に感心すると同時に、ブラウンのショーの凄さも良く描いており、実に愉しめるものだった。アフロアメリカン(黒人)の本当のソウルは、ここにあるんだと言う事、そしてジャズの原点も又ここにあると言う事を再認識させてくれる、好フィルムとして皆様にも是非お勧めしたい1作です。

【今週の番組ゲスト:アポロサウンズ代表阿部淳さん】
M1『生まれたてのメロディ/平戸祐介』
M2『Nearness of you/類家心平 中嶋錠二』
M3『Betty Go Round/Tokyo Zawinul Bach-Special』
M4『FOUR/市川愛』
M5『Moon River/東かおる&西山瞳』

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