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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.566~タモリとジャズ

 以前このコラムでタモリこと森田一義君が、民放TVでかつてオンエアーしたジャズ特番(3回ほどのシリーズで、大西順子が相手役で、清水ミチコやピーター・バラカン、故景山民夫など豪華ゲスト陣も登場等々...)を、偶然ユーチューブで見つけ愉しんだことを書いたら、それを読んだあるジャズ関係の知り合いが、こんなテープもあるんだよと教えてくれたのが、1984年の正月にNHKのFM放送で流された「タモリのジャズ講座」。そのカセットテープをプレゼントされ聴いてみると、これがなんと30分の正月ジャズ特番で元旦から3日迄の3回シリーズもの。特番にして30分とはタモリを使う意味が...と、いささかもったいない気もしたが、そこはTV番組とは違ってラジオだけに、彼も気ままにしゃべっており、TV番組とはまた一味違った面白さがあり、何とも可笑しく為にもなり、充分に笑わせてもらった。

 このジャズ特番、その前年の正月にも同じ様な企画で放送され好評だったので、再び正月特番として企画されたものらしく、3日間の放送はそれぞれテーマがある。元旦分は自身のアパートで、一人孤独に正月を過ごす人の為のジャズ、2日目は自分のアパートに好きなナオン(女性)を招く=連れ込むことに成功した時に最適なジャズ、そして3日目は大勢で愉しむためのジャズとなっており、それぞれにぴったりなジャズを彼が紹介するといった趣向。番組のTMはジョン・コルトレーンの「マイ・フェイバリット・シングス」で、タモリが「コルトレーンは暗く重い...、だからこそまさにこの特番にぴったりだ」と宣う辺りからスタート。自身の大学生時代、先輩から紹介されダータ(無料)で住んでいたと言うアパート生活の正月模様を紹介。この先輩とはぼくらの同期でタモリが敬愛能わざるジャーマネ(マネージャー)の先輩、ウリさんこと夭逝してしまった故瓜阪正臣君のことを指しているのだが、そのわびしい正月の過ごし方がなんとも身につまされる。そのうえ流れるジャズもなるべく暗く重いもの、ビリー・ホリディ―のボーカルもの何ぞだけに、何ともやるせなさが倍増する。

 しかし最も面白かったのは、ナンパが成功して正月休みに自身のアパートに、良いナオン(女の子)を連れ込むことに成功、そんな折に掛けるべきジャズ...と言う、妖しげでNHKらしくないテーマの2日目の番組。アパートの部屋を適当に小綺麗に、しかもナオンが少し掃除でも...と、気づかせるためにちょっとした小細工を...。ここらへの駆け引きがなんとも微妙で、また何とも笑えて面可笑しい。そしてその時に掛ける曲、まずは女性なら誰でも好きなジョアン・ジルベルトのボッサ曲、そして当時大流行りだった女性泣かせのナンバー、マイケル・フランクスの「アントニオの歌」。そして雰囲気が出来上がったら、ジャズの本場NYの話などして、メル・トーメの「マンハッタン」を掛けて...と、NHKには珍しくきわどいお話などを盛り込み30分のジャズトークが続く。流石タモリ、話芸の天才...ならではの見事さである。

 このジャズ特番を聴いていると、また誠一ちゃん(中村誠一)とのあの絶妙な掛け合いジャズスキャット、堪能したくなってきた。こんな異能の才人の、マスコミでの最初の仕事を担当出来たのも、ラジオ屋としてのぼくのささやかな自慢ではありますが...。

【今週の番組ゲスト:トランぺッターの中西暁子さん】
新譜『Boo Boo Boogaloo』から
M1
Boo Boo Boogaloo
M2
Cloudy
M3
Chiquita
M4
Hana Aoi




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