「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.719~タモリのことなど~】
またまた森田一義君こと天才タモリ話を一つ...。彼は早稲田ダンモ研(ジャズ研)のぼくの1年後輩で、同期には日本を代表するジャズギタリストの増尾好秋(今はアメリカ在住で、年の半分ほど帰国しライブ活動を展開)などがいる。ぼくの同期はベーシストのチンさんこと鈴木良雄で、増尾とチンは卒業後直ぐに貞夫さんバンド(渡辺貞夫)に抜擢され、一躍天下にその名を知らしめることになる。と同時に早稲田ダンモ研の存在も天下に知らしめてくれた。そんなタモリの1年先輩の鈴木チン良雄が、このほど「死ぬまでジャズ」と言う語り卸しの自叙伝を出した。ぼくもジャズ誌などに頼まれその書評を書いたりしたが、これがなかなかに面白い自伝本で、特に学生時代から彼と共に過ごした仲間としては、くすっと笑える所も多々なのである。
その中でチンはタモリをこんな風に語っている。「大学のクラブ時代、タモリもトランペットを熱心に練習していたんです。ある時練習室から"ケケケケ..."って笑っている様なトランペットの音、タモリが吹いているんです。"マイルス(タモリも敬愛している)のペットは泣いているが、お前のトランペットは笑っているではないか..."って彼に言ったんですが、このフレーズ後年凄く有名になってしまって...。でも言い出しっぺはぼくなんです」と...。そしてもう一つタモリがクラブのジャーマネ(マネージャー)になったのが大学3年の時。その時のエピソードも...「大学のバンドの演奏旅行で東北のある駅に着いたんですが、待てど暮らせど迎えが来ない。ようやく連絡がついて相手が出たらば,そんな催しここではありませんよ...だって、一同ぎゃふんですよ。もうジャーマネとしてもいい加減なんだから...」と。これはそのチンの自叙伝からのエピソード。
さてそんなタモリだが、彼とは1月にあった高平哲郎君のパ-ティー(このコラムでも紹介)で会えるとばかり思っていたが、仕事の関係で彼が出席できずに会えなかったので、かれこれもう2年ほどそのご尊顔を拝することも無い。だが彼に関する最近の話題と言えば、やはりあの名物番組「ブラタモリ」がこの3月で終了してしまうニュースだろう。OB会か何かの折に話した時に、あのロケ全国様々な場所に行くので、結構応える...と言った感じにことを言っていたが、やはりそれなりに年を重ねた彼も、感じる所も多々だったのかも知れないが...、大変に残念なことではある。何せあの地学、歴史等々に関する彼の知識の豊富さ、教養の深さには、ぼくをはじめかつてのクラブ仲間達も一様に驚いている。凄いものである。流石タモリ。
しかし、しかしなのだ。ここからが今回のコラムの本当のテーマで、あのタモリの知識披露は、なんとマンスプレイニングに当たるのでは...と、SNSで指摘する識者がいるのだと言う。このマンスプレイニングなる単語。教養の無いぼくなどはちっとも知らなかったのだが、結構知られているのだ。その意味合いは特に中高年の男性が、自身の知識を女性に自慢げにひけらかし、その女性を下に見下す傾向...を指すのだそうだ。どうやら女性へのハラスメントの一種...と言う感じなのかも知れないが、この言葉には驚いた。あのタモリが女性アナウンサー相手におよそ知識をひけらかすなどと言うこと、番組でもこれっぽっちも無いのは言わずもがなだ。しかし教養の無いぼくなどは、たまに知識の一つも知るとその知識ひけらかしたくもなるものだし、かつて局員で番組制作など結構自信あった時には、盛んにひけらかもしていたに違いない。もうこうなるとなにおか況やであります。ぼくみたいなチャンジ―には、生きていること自体が反省の連続となってしまう。恐ろしい時代になってしまったなーとつくずく思う昨今です。
まあこんなハラスメント関連単語はどうでもいいが、我らがタモリにはもっと頑張って欲しいもの。我ら老齢のそして早稲田ダンモ研OBの輝ける星として...、永遠に...。よろしくね タモちゃん‼
【今週の番組ゲスト:ピアニストの西山瞳さん】
新譜『Dot』から
M1「The Rider」
M2「Dot」
M3「Tidal」
M4「Baroness」