12月2日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2017/12/01(金) 19:00 番組スタッフ
テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.386~松山晋也】

 最近のラジオ日経は、モアミュージックレストークを謳い文句にした、「RN2(第2放送の平日)」の登場で終日音楽放送と言う、これまでのたんぱ放送では考えられないプログラミングにより、徐々に音楽局でもあるのだと言う認識が高まりつつあるのだが、その昔の短波での音楽番組は色々と本当に大変だった。まず音が悪い、聞こえない、受信機は...などなど疑問だらけ、その上ノーギャラと来れば、新しいゲストミュージシャンやシンガーが来るたびに色々と質問攻め...。それをどうにかやり過ごしながら50数年ジャズ番組を続けている。今でも局の若手に時々、趣味でやられても...などと嫌味を言われることもあるが、若い頃の上司や先輩からの番組に対する露骨な干渉や嫌味などに比べれば、なんと言うことも無い戯言。かつては本当に番組つぶしに余念のない、嫌味な男までいたのだから...、今は隔世の感である。

 
それにしても50数年、ある意味こんなに長く続けている、続けられているのも、趣味などと言う甘いものではなく、かつてのそうした連中に対する、ぼく自身の執念、怨念のなせる業なのかも知れない。ただ一つ興味深いのは、そんな音楽に全く理解の無い、音楽番外地局だったラジオたんぱから、世間にも名の通った3人の音楽ライターが登場していること。これは音楽を売り物にしている他の中波やFMラジオ局に比べても、誇りにしていいことだと思う。

 ジャズの世界では、はばかりながら小生、そしてサルサを中心とした中南米音楽では、「エルカミナンテ」などと言う愛称を持つ岡本郁夫(大学クラブの後輩でもある)、そしてケルト音楽など渋いワールドミュージックの権威で、かつて「スタジオ・ボイス」の編集長でもあった松山晋也、この3人である。音楽がメインのラジオ局でもディレクターなどから専門のライターが登場することは余り無い。それが3人もと言うのだから...。しかし岡本、松山の2人は音楽軽視の実情に嫌気がさし早々と退社、定年まで勤め上げたのは恥ずかしながら小生一人のみ。まあこれは才能の多寡の問題かもしれ無いが...。

 
さてこの2人のうち、岡本は後輩と言うこともあり今迄も時々番組に顔を出していたが、松山の方は余り機会も無かった。だが今回彼が『ピエール・バルーとサラヴァの時代』(青土社)と言う素敵な音楽本を送り出した。まあ丁度いい機会と言うことで、今回その本持参でスタジオに遊びに来てもらった。バルーと言う人はあの名作「男と女」にも登場する俳優&シンガー(ボサノバ)、フランスを代表するシンガーソングライターにしてプロデューサー、レーベルオーナーなど多彩な顔を持つ才人にして知識人で、「サラヴァ」は彼自身が興したレーベルの名称。自身も、無鉄砲な人生と語るほどの自由人にして、ぼくの大好きなシンガーの一人で、大の親日家で知られ奥さんは日本人。
 
松山くんが古くからの知り合いである彼バルーの本をまとめていると言う話は、大分前から聞いていたのだが一向に出版とならない。どうしたのかと思っていたら、肝心のバルーが2016年に82才で死去。それに慌てたのか彼も永年の懸案だったバルー原稿をまとめ、ようやくこの夏出版の運びになったと言う次第。バルーと親交の深い彼は、個性的な音源の多い「サラヴァ」レーベルのコンピレーションアルバムをこれまでに何枚もてがけており、スタジオではその中からバルーの歌うものなど数曲をかけ、同時に彼の労作本を紹介してもらった。

 ラジオたんぱを退職してからは、今は無き「スタジオ・ボイス」編集長などを歴任、その後ライター稼業に入る。「音楽ライター一本でやっていくのは本当に大変ですよ」と収録後の飲み会で彼はぼやいていたが、まさにその苦労は想像に難くない。でも頑張って欲しいもの。虎ノ門での飲み会の席で「今たんぱ(ラジオ日経)がこんなに音楽をやっている音楽局になっているなんて...。そうならば辞めないで頑張っていれば、もう少しいい夢見られたかも...」などと宣うから、「いやここに至るまでは大変だったんだよ...」と小生も愚痴で返す。まあ2人とも大分オールドボーイ、もう悔やんでも相方無い所ですね。

【今週の番組ゲスト:音楽評論家の松山晋也さん】
松山さん著作の『ピエール・バルーとサラヴァの時代』についてお話し頂きました。
M1Samba Saravah(男と女のサンバ) / Pierre Barouh
M2Cet enfant que je t'avais fait(おまえに産ませた子供) / Brigitte Fontaine & Jacques Higelin
M3Mystifying Mama / Marva Broome & The Art Ensemble Of Chicago
M4 Boule qui roule (出逢いの星) / Pierre Barouh
M5La Nuit Masques(仮面の夜) / Dominique Barouh &  Pierre Barouh
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