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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日22:00-22:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.190~最近のピアノアルバム~】

 今回は少しお詫びから...。3回前のこのコラム(Vol187)で「図書館三昧」と題し、どうもこの所ぼくの好きな私立探偵ものが元気が無いと書き、収穫はアメリカ期待のドン・ウオズロウくらいのものとしたのだが、このコラムを読んでくれている知り合いの一人が、日本の重要人物を一人忘れていませんか...、と有難い忠告をくれた。そうでした今乗りに乗っている人気作家、東直己がいましたね。彼は私立探偵たちが元気を失い通ある90年代の初めごろからシーンに登場、故郷の札幌に腰を据え、くだけたトーンの「ススキノ探偵シリーズ」やシリアスに事件と向かい合う正統派ハードボイルド「畝原シリーズ」などの、傑作私立探偵ものシリーズを書き続けており、その「ススキノ」が、大泉洋、松田龍平のコンビで映画化され、一躍脚光を浴びた素敵な作家である。「ススキノ」シリーズの第1作が「探偵はバーにいる」だけに、いつもバーに入り浸って酒まみれなのだが、バー=ジャズ好きで、マスターに自身のお勧めのジャズ・アルバムを紹介したりしているのだ。そのアルバムもピアノトリオが多いようで、特にお好みはビル・エバンスの様だが、本当に東氏自身がエバンス好きかはしかとはしない...。彼に関しては札幌在住のシンガー、MIZUHOの新しいアルバムが出て、コーディネイトを大学時代の仲間がやっていたので、アルバムのライナーを彼に頼んだらとアドバイスしたことがあった。ただ彼が締切で忙しいとのことでこのアイデアは実現しなかったが、大のジャズ好きは間違いないようである。

 とここまでが前置き、その東氏がピアノトリオ好きというのにひっかけた訳では無いが、今週は注目のインディーズ・レーベル「インパートメント」の若きジャズ担当西野君に、同社が出しているお勧めのトリオ・アルバムを数枚紹介してもらうことにした。昨年初めスタジオにも遊びに来てくれた、イスラエル出身で今NYでも最も成長株と言われるシャイ・マエストロの2作目、フランス領マルティニク島出身でパリで大人気のグレゴリー・プリヴァ、そして昨年他界した大御所ジョージ・シアリングがお気に入りのベーシスト、ドン・トンプソン(カナダ随一のジャズメン)を自宅に招き、2人で収録したプライベート・アルバム、その名もずばりの『ホーム』等であり、若き注目株から大ベテラン迄、どれも珠玉の出来栄えの傑作アルバムばかり。特にお気に入りはシアリング&トンプソンの温かな交情が描き出されたデュオ作だが、心に沁みるいい作品である。このデュオ作はきっと東氏の"ススキノ探偵"も気に入るはずだと、今このコラムをしたためながら思った次第...。

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