「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週日曜19:00~19:30で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.711~2024年を迎えて~】
「新しい朝が来た。希望の朝だ...」と言う歌詞の唄があるが、元旦になるとなぜかこの唄が思い浮かぶ。この歌詞の朝を年に変えると、正に元日に相応しい唄だとも言える。歌詞は次のように続く...。「喜びに胸を開き、大空仰げ...」。この唄のタイトルも知らないし、子供の頃から歌っていた記憶があるので、戦前に作られた戦意高揚の唄だと長い間思っていた。だが今回正月を迎えるにあたって少し調べてみると、タイトルは「新しい朝」でなんと朝のラジオ体操の唄だと言う。体操歌としては3代目とのことだが、そう言えば子供の頃には、夏休みに早朝小学校の校庭に集まり、ラジオ体操をやらされていたものだったが、そのラジオ体操の始まりを告げる唄だった...と思い出した。未だ日本全体が貧しくもつつましかった、あの昭和30年代初めに作られたものだが、あの頃は未来は何か明るく希望のようなものだけは、街中に満ち溢れていた時代だつた。
それから60年余り、一時良き時代を謳歌していた時もあった日本と言う国は、それに浮かれ過ぎたのか、正に今はおぼろ...状態で、子供の頃とは正反対に希望の持てない落ちぶれた状態。政治家は保身と金集め、唯一どうにか世界が平和で...と言うことだけ、誇りにしている国になってしまっている。しかしその平和も、ロシアの理不尽なウクライナ進攻、更にはイスラエルのパレスチナ反攻等々、今はまだそれらの争いもかなり遠くにあり...の状態だが、実は直ぐ近くで台湾有事をはじめとする、戦いの火花も...などと言う、実に危ない状況も起きており、安閑としてはいられない。そんな不安定な元日だけに、今年こそはどうにかいい年で...と祈るのみ。
それにしてもチャンジ―(爺さん)で後期高齢者ともなると、もはや新しい朝(年)などに少しも希望も持てず、いつまで永らえられるか...等と、姑息な考えばかり起きる。「メメント・モリ~死を忘れるな...」と言うラテン語の警句を常に意識はして生きているつもりだが、何時までも迷い続けてしまうのは寂しい限り。だがこれ世の定めで仕方ない。
さて新年からチャンジ―ならではの、世迷言ばかりでは困るだろう、と言うことで明るい話を一つ。番組スタート以来なんと60年目を迎える世界に冠たる我がジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」。2024年の初回放送には、ゲストとして今や日本ジャズの牽引者として八面六臂の活躍を見せる、ピアニスト&ビッグバンドリーダーそして音楽大教授...など様々な音楽肩書を誇る、世界の小曽根真が登場する。なんと10数年振りの顔見世である。若かりし頃は良くスタジオに遊びに来てくれた彼だが、様々な肩書を背負い忙しさも半端でない状況になってからは、番組に来てもらうことも出来なくなってしまった。残念なことである。そこで久しぶりにオファーを出してみると、やはりかなりな忙しさだがどうにかOK。暮れも12月25日頃までは欧州ツアー中。でも久し振りに声を掛けてもらったので...と言うことで、欧州ツアーから戻った日の夜に、スタジオに遊びに来てくれることになった。嬉しい限りである。
こうした小曽根の心意気に応じて、番組でも特別に、元旦の9時半からわざわざ「テイスト・オブ・ジャズ」の時間を設け(1月7日はこの番組の再放送です)、オンエアーする。彼は若手を伴った新たなトリオを結成、今年初めにはその新譜も出る。更にまた様々なイベントを国内外でも仕掛けつつある。そんな世界の小曽根の今の活動、今年の抱負などを、番組ではじっくりと聞き出している。好漢小曽根真の久々の番組登場、皆さまも是非お愉しみに...。そして皆様にとっても、今年が良い1年でありますように...。
【今回の番組ゲスト:新年第1回のゲストはピアニストの小曽根真さん】
M1「Momentary Moment / Trinfinity」(『Trinfinity』より)
M2「Etudade / Trinfinity」(『Trinfinity』より)
M3「Ravel: Piano Concerto in G Major, M. 83: 2. Adagio assai」(『OZONE 60』より)
M4「The Puzzle / 小曽根 真 featuring No Name Horses」(『THE BES』より)