「テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。
【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.643~輸入盤あれこれ~】
最近...と言ってももうかなり長い間だが、CDなどの音楽パッケージが売れなくなっており、今や若い人達にとってはCDもガラパゴス的存在になっているとも聞く。代わりに昔のLP盤=アナログ盤がそれなりの人気らしく、それ自体は面白い現象だとも言えそうだ。今から7,8年程前に台湾の台北市に取材に行った折、行くたびに顔を出す最大の音楽マーケット(誠品書店のCD売り場)で、わずか半年程の間に店の商品がCDメインからアナログ中心に、ガラッと一変していたことにびっくりしたものだが、それが1年後には我が国でも同じようなうねりとなり、時代は大きく変わってしまったことを実感したものだった。
そんな音楽業界の大変化にジャズ業界も当然振り回されている訳で、ジャズ縮み現象とも言えそうな昨今の中でも、それなりに結構頑張っているのが輸入盤市場である。音楽&ジャズ業界は、日本国内だけでなく世界的にも「ユニバーサル」と言う超巨大会社が、音楽市場を独占してしまっている。この現状に対抗すべく結構欧米各国では、中小の独立レコード会社も頑張っているのだが、それらのジャズアルバムを日本のファンに紹介し、ジャズの現状をそれなりに活性化しているのが、輸入盤を扱うレコード輸入会社となる。
と言うことで今回はその代表格である、キングレコードの子会社で輸入業務を扱っている国内最大規模の「キング・インタ-ナショナル」のジャズ担当の平野聡氏を迎えて、ジャズ輸入盤事情を聞くことにした。平野氏はこの番組の生みの親、故木全信氏の下で長いことジャズアルバム制作を担当、そのレコード会社「アルファ・ジャズ」が潰れてしまってからは、心ならずも他のメーカーで働いていた訳で、彼との付き合いはもう30数年になる。そんな彼だが縁あって数年前に、再びジャズ業界に復帰したと言うある意味根性の漢でもある。昔は良くこのジャズ番組にも顔を出してくれたものだが、なんと今回は十数年振りの登場となった。
平野氏が今扱っているジャズレーベルは実に十数社。その全ては30分番組では当然紹介出来ないので、代表的なもの4つ程を今回は取り上げることにした。ビル・エバンスなどの埋もれている名演の発掘にかけて定評のある「レゾナンス」、NYを代表するライブハウス「スモークス」が、そこでのライブ演奏の中から素晴らしいものをアルバム化した「スモークス・セッション」、そして小粒ながらもグラミー賞を獲得するほど、好アルバムを随時発表してくれる注目レーベル「マック・アベニュー」等々。別項の通りジャズの現在が良く分かるレーベルのお勧めアルバム、4枚を平野氏は今回紹介してくれた。
それにしても「アルファ・ジャズ」がクロージングされ、無念な想いで他の仕事についていた時期の平野氏に、吉城寺の街で偶然出会い一緒に酒を飲み交わした時、もう一度音楽関係の仕事を...と愚痴しか出なかった彼が、今元気に再びジャズアルバムの輸入・制作業務に励んでいる、決して若くはないが好きな仕事を行える喜びに溢れている、彼の姿を今回見られたこと。ぼくにとっても喜びだったし、ある種励みにもなったものです。
【今週の番組ゲスト:キングインターナショナルのディレクター
M1「You Go To My Head / Bill Evans 」『Some Other Time』より
M2「Mimi's March / Miho Hazama featuring Danish Radio Big Band」『Imaginary Visions』
M3 「Half Nelson (Miles Davis) / Al Foster」『Reflections』より
M4「Night Train / Christian McBride Big Band」『or Jimmy, Wes and Oliver』より