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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.250~期待の新星~】
 
 ジャズの街として最も有名なのは横浜と神戸だが、横浜の隣町の川崎も最近かなり熱心にジャズイベントを実施している。毎年秋に行われる「川崎ジャズ」には海外の有名ミュージシャンも多数登場、かなり華やかな催しとなっている。これに伴って川崎には素晴らしいホールも幾つか誕生し、さらにこの街にはジャズ科を持つ音楽大学が2つもあり、これらの大学ホールも素晴らしいものばかりとことも、市の担当者がジャズイベント実施に踏み切った大きな要因と言えそうだ。この「川崎ジャズフェス」はスイスの有名なジャズフェス=モントルーフェスと密接な提携関係にあり、1回目のフェスにはモントルーの有名プロデューサー、クロード・ノブが登場、その関係を印象付けたものだった。そして昨年度はジャズコンテストも実施、優勝者にはモントルーフェスのコンテスト参加権が与えられることになった。さすがにモントルーに参加できるとあってプロのミュージシャンもエントリーするなど、他の新人コンテストとは一味違う実力者どおしの厳しい戦いが繰り広げられた。その栄えある優勝者が今注目の若手ピアニスト、桑原あいだった(因みにこのコンテストの司会を担当したのは山本郁アナ)。彼女にはデビュー時から我が番組に登場してもらっているが、この栄冠を獲得したうえに『ラブ・テーマ』と言う新譜も発表したので、今回再度番組に遊びに来てもらうことにした。

 今回の新作もピアノトリオ作品で、タイトル通り映画の「ラブ・テーマ」を数多く取り上げている、彼女初のカバーアルバム。曲は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」の愛のテーマと挿入曲「アマポーラ」のメドレー。鬼才スタンリー・キューブリックの「バリー・リンドン」のテーマ曲などのラブ・テーマ曲に加え、ビートルズナンバーやピアソラのタンゴ曲など、全10曲すべてその選曲が素晴らしく、ぼくにはピッタリ。メンバーも僚友の森田雄介に加え、アコースティックベースの須川崇志がプラスされた2ベース陣。ドラムにも注目の気鋭、石若駿が参加とこれまでのアルバムとは、かなり変わっている。これまでの彼女は、今流行のNUジャズ路線の気鋭だったが、このアルバムからは本格派として大注目の気鋭に変貌を遂げている。彼女も「これまでの路線を少し見直し、今回はジャズの歴史にもっと目を向けたいと思いました」と語っているが、これにはプロデュース役の伊藤潔君の貢献も大きいようである。
 伊藤君は名古屋出身で慶応大OBだが、学年はぼくの1年下。このコラムにも登場した名古屋のDrJAZZこと内田修氏の愛弟子で、ソニーの初代ジャズ担当として辣腕を振い、今は実家の名古屋の製パン業の役員として頑張っているが、かつての顔で大事なジャズアルバムの場合には、プロデューサー役としてわざわざ上京、素晴らしいアドバイスやサジェスチョンを、プレーヤーにしている。ぼくとの付き合いももう半世紀近い好漢でもある。今回も伊藤潔くんの適格なアドバイスや選曲サジェスチョンがあり、見違えるような素晴らしいアルバムに仕上がっている。日本のジャズ作品でこれほどプロデュサーの役割を認識させられたアルバムは最近では久しぶり。 
 
 番組では彼女だけでなく潔君にもと声を掛けたのだが、何せ本拠は名古屋、スケジュール調整が難しく彼女だけの出演となったが、アイちゃんは新作、また夏に行くモントルーへの期待などを率直に語ってくれた。このアルバムで彼女は上原ひろみ、山中千尋に次ぐ存在に成長したと断言できそうだが、皆さんも是非彼女の話お愉しみにしてください。

【今週の番組ゲスト:ジャズピアニストの桑原あいさん】
M1Finale
M2Nomado
M3Barry Lyndon
M4AmapolaDeborah's Theme

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