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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、土曜曜22:00~、日曜22:30~で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.440~大野えり】

 早稲田大ラグビー部の100周年パーティーに招待されかなり舞い上がってしまい、本来ならば先週に入れなければならないコラム原稿、今週分になってしまい申し訳ないです。
 
先週当番組に登場したのは写真付きで紹介されているシンガーの大野えり。今やJ-ジャズボーカルの世界で間違いなくトップに君臨する存在。人気という点ではイマイチな所もあるが、歌手としての実力は間違いなく抜群。
 
名古屋で有名な旅館の娘である彼女は、同志社大学のジャズ研出身。大学を出て直ぐにデビューアルバムを発表、当時フュージョン全盛時代だったので、その色合いの強いアルバムをメインに7枚ほど発表、若手の実力派として高い人気を誇っていたが、それに甘んじることなくもっと力量をつけねばと言うことで研鑚を積み、90年代にはアルバムを出すことがほとんど無かった。その彼女が久々にリーダー作を世に問うたのは06年、NYで有名ミュージシャンと共演したもので、そこにはこれまでの彼女とは別人とも言える、存在感に溢れた個性豊かな歌い手としての彼女がいた。以降の彼女はまさにJ-ボーカルを象徴する様な個性的な歌唱で、聴くものを魅了し続けている。最近の多くの日本の女性ボーカリスト達と全く異なり、ただ単に歌の形をなぞるのでは無く、唄の芯・肝を抉り出すような素晴らしい歌い手で、最近の彼女のあるアルバムでぼくはその凛とした佇まいを「巫女」と表現した覚えがあるが、まさに最高の唄者としての歌がそこにはあった。

 その彼女が歌手生活40年を記念して、久々にライブアルバムを出すと言う。そのライブコンサートが新宿の「ピット・イン」で行われ、彼女から是非聴きに来て欲しいと連絡も受けたのだが、その夜は仕事の関係でNG、そこでライブアルバムが出たらスタジオに来て欲しいと彼女との約束を交わした。

 その記念ライブアルバムがこの11月初めに完成、発表されかなりな評判を集めているとのこと。そこですぐに彼女と連絡を取り、スタジオに遊びに来てもらうことにした。アルバムタイトルは『ライブ・アット・ピット・イン』、サブタイトルが「ロータス・ブロッサム」デューク・エリントンの片腕だったビリー・ストレーホーンの銘曲であり、それに自身で詞を付けた自信作。ライブアルバムと同時にライブDVDも同時発売されており、こちらは若干収録曲も異なっているが、殆どはエリントン関連ナンバーで、「唄者」大野えりの真価が聴かれるJ-ボーカルきっての傑作とぼくは思う。石田衛、米木康志、原大力と言ったレギュラートリオにサックスの川島哲郎、トランペットの類家心平と言った最高のゲスト陣も加わり、この上ない布陣で彼女のボーカルを盛り上げる。

 彼女は今の充実した心境をアンコールの「フィーリン・グッド」の歌詞に託し「イッツ・ア・ニュー・ドーン イッツ・ア・ニュー・デイ イッツ・ア・ニューライフ エンド・アイム・フィーリン・グッド」とし、わたしは再びやっとスタート・ラインに立てた、と語っているが、真の唄者の誕生を率直に喜びたいと思う。その心境などはいま再放送で聴けます。是非大野えりの生の声を聴いてみてください。

【今週の番組ゲスト:シンガーソングライターの酒井尚子さん、ギタリストの三好"三吉"功郎さん】
酒井さんのデビューアルバム「The Light」から
M1Unseal
M2The Light
M3「エイト」
M4Wrong

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