3月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [テイスト・オブ・ジャズ]
2021/03/04(木) 19:00 番組スタッフ
テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.555~宇崎竜童】

  ちょっと前のことだが何気なくTVを点けると、大きなステージで歌う懐かしい顔が映っており、「もしかしたらこれは...」と思ったら、やはり稀代の歌姫=山口百恵の武道館での伝説ラストコンサートの模様だった。TVを点けた時は確か「いい日旅立ち」を唄っていたと思うが、その後も懐かしい曲が並び最後の「さようならの向こう...」を歌い終え、感動のマイクをステージ中央に置き去っていく、あの忘れられない場面まで画面にくぎ付けで見入ってしまった。こののち霊南坂教会で結婚式を挙げ、以降は人前に登場することも無く徹底した市井の人として、今も生き続けている彼女。夫と子供達は有名な俳優やミュージシャンとして活躍しているが、自身は表に一切出ない。その凛とした姿勢は、感嘆などと言うものではない。

 彼女の家は良く知られているが、我が街国立の市役所や図書館、小ホール、公園などが点在する、文教都市の中の生粋の文教地区にある。窓がほとんど無い打ちっぱなしの鉄筋コンクリートの三浦家。その家の前は図書館に行くときに時々通るのだが、いつも至って静かに「百恵の家」と言う感じで建っている。ぼくは一度も見掛けたことは無いが、知り合いの中には、買い物籠を持った彼女を見かけたと自慢する人も少なくない。「全く気がつかないし、本当におばちゃんだよ...」などと異口同音に語るが、ぼくはそれはある種の誉め言葉だと解釈している。
 それにしても一時は桜田淳子、森昌子とともに「花の3人娘」と言われ、その存在は圧倒的だった。あの評論家平岡正明が「百恵は菩薩」と言う本を出しているが、まさにそれにぴったりな真の意味での歌姫だった。残念なことに他の2人は特番などで一緒したりしたのだが、女王百恵とはそういう機会は訪れなかった。ラジオプロデューサーとしては残念な極みである。

 ここまで書いてくると、今回の主役は百恵か...と思うだろうがさにあらず。彼女に多くの名曲を送った作曲家、宇崎竜童なのである。これも偶然見かけた「熟年ばんざい」と言うタウン誌、これは東京の多摩地区から埼玉の所沢市などで出されているものだが、その表紙を飾るのが竜童さんで、「極上の齢の重ね方」がその号のメインテーマ。その中でスペシャルインタビューも受けている。あの伝説の山口百恵のラストコンサートでも、そのハイライトとなっていたのが、竜童~阿木曜子夫婦コンビの名作の数々だったので、TVを見ながらそう言えば竜童さんどうしているのか...と思った次第。
 そのインタビューを読むと、古くから友人の高橋伴明監督の「痛くない死に方」と言う、老人介護を扱った映画の準主役の老人役を演じていると語られている。「何時も若々しい竜童さんが、そうかそんな役を...」と不思議な感じがしたもんだが、彼に最後に会ったのは、竜童ツアーと名付けられた全国コンサートツアーの一環で、中野サンプラザホールがまだあった、確か5~6年前のコンサート終了時のこと。このツアーのピアニストと音楽監督役が、ぼくの親しい北島直樹さん(寺井尚子のピアニスト)で彼と少し打合せもあったので、楽屋を訪れた時に隣の楽屋が竜童さん。久しぶりに挨拶を...と思ったが、来客中で顔を見ただけ。それも15年振り位だったが、元気そうなので何よりだった。

 竜童さんとは30代後半、プロ野球中継の10月から3月頃までの冬時間、毎週3時間半ぐらいの特番を作り続けていた頃に、時々色々な企画特番を一緒に作ったものだった。当時の彼は竜童組と言うユニットで活躍している一方、作曲家としても受けに入って大忙しの毎日だった。彼のライブを録音中継するのがメインだったが、当時は創作意欲に燃えていた時で、「心中天の網島」などと言う歌舞伎をロックオペラ化したアルバムなども作ったりしており、それを基にした特番なども企画、実に楽しくも辛い時を一緒に過ごさせてもらった。
 彼は明大の軽音楽クラブでデキシーランドジャズをやっており、確かトランペットを吹いていたはずだが、ひょんな機会からロックの世界に飛び込みリーゼント姿の粋な兄ちゃんで売り出し、「ダウンタウン・ブギウギ・バンド」で一世を風靡したのだが、根は街の気の良いあんちゃん。面白い人だった。 
 その彼が「自分らしい死に方とは、自分らしい生き方の事。最後は大勢に看取ってもらいたいね...」などと語っていると、いかにも彼らしいとも思うが、いささか寂しい気もする。何時までもいい意味での虚勢を張り続ける「チャンジー・ボーズ」でいて欲しいもの。まあ実際にはその通りの生き方なのだろうが、いつまでも若々しく格好良くいて下さい。


【今週の番組ゲスト:アルトサックスプレイヤーの池田篤さん】

新譜『Free Bird』『SPIRAL』から
M1
His Way Of Life
M2Impressions
M3Flame of Peace
M4Spicy Island

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