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テイスト・オブ・ジャズ

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テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.602~YouTube騒動曲~】

 「ユー・チューブ」皆さまも良く利用されていると思う。ぼくも何かあるとよくジャズものを見てしまうのだが、困ったことにはあるプレーヤーの画面を見て(聴いている)居ると、その横に別の人の動画が紹介されており、そちらをつられて観てしまうことも多い。一度嵌ると結構な時間を取られてしまい、しばし後悔する羽目に‥。中には音声もの(画面がなくアルバムをそのまま転用する不届きなもの)と動画画面があれば、ジャズのアルバムなどはいらない等と宣う輩もいるさまで、音楽(ジャズ)そして芸術全般も安く見積もられてしまっていたきらいもあるが、確かに便利にはなっている。

 ある日暇に任せてジャズ検索をしていたところ、帝王マイルス・デイビスの「煙が目に染みる」ある。えーと驚いた。マイルスがあの「煙が...」を演奏しているとは...。全く初耳である。その肝心の「煙が目に染みる~スモーク・ゲッツ・イン・ユア・アイズ」。全く旨い邦題を付けたものだが、「プラターズ」と言う黒人男性コーラスグループによって、50年代の終わりから60年代にかけて大ヒットしたナンバー。日本のコーラスグループも彼らを基本にしたものも多かったが、今はその名前も歴史に埋もれてしまっている。
 この曲、元々は名匠ジェローム・カーンがミュージカルの挿入曲として書いたもので、スタンダードの1曲ではあるが、ジャズではダイナ・ワシントンが取り上げたくらいで、余り聞かれないもの。ぼくの中学生時代大好きだった曲の一つで、プラターズのリードボーカル、トニー・ウイリアムスのファルセットボイスに魅せられたものだったが、余りジャズでは取り上げられない。それをよりによってマイルスが...、となると実際に確かめてみなくてはならない。おもむろにマイルスの「煙が...」を呼び出してみると、当然画面無しの演奏だけ...。良く鳴るトランペットの音色、マイルス以上にいい音でもある。バックもそれなりに上手いが、この曲ならばレッド・ガーランド(p)以下の黄金トリオが付き合っていた50年代後半期の演奏の筈だが、全く異なったサウンド。それより何よりこのペットは、明らかにマイルスでは無い。

 まあ堂々と良く噓の表示を載せたものだと、却って感心してしまう程。投稿者はその戸惑いを愉しんでいるのかも知れないが、こうした明らかな間違い音声が、そのままになっているのも大問題である...、などとブツブツ文句を言っていると...、ある事情通が教えてくれた。あれはどうやら70年代初めに発表された、かなり名の知れたトランぺッターのアルバムに収録されたものだと言う。そう言えば彼ならばやりそうな曲でもある。ピアニストも有名な人で今なお一線で活躍している。言われれば確かにその2人のプレーだと思えるところも多い。その元アルバムの存在をぼくは知らないのだが、その通りだとも思える。
 面倒なので確かめることはしないが、分かってしまえばなんだーとなる。だが中々に罪なことではある。これで1曲聞くのに課金でもされているならば、もう少し騒ぐところなのだが、あのマイルスが「煙が...」何ぞやっている筈がないだろうバーカ...と言われればその通り。それに乗ったぼくが馬鹿だったのです。でもそれに興味持ってしまうのも...、ジャズファンならば致し方ない所ではないでしょうかね...

【今週の番組ゲスト:NHKエンタープライズ TOKYO JAZZ 20th 演出プロデューサーの鎌野瑞穂さん】
M1「Maiden Voyage / Herbie Hancock」
M2「Il Paradiso del Blues / 挟間美帆 m_unit」
M3「Gotta Be Happy / 小曽根真」
M4「In A Spiral / BIGYUKI」

『TOKYO JAZZ 20th 』
https://tokyo-jazz.com

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