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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、各曜日で再放送中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.255~山岳写真家】

 特に仕事や用事がない時は、近くの市立図書館で時間を過ごすことの多いロートル生活のぼくだが、先日何時ものように図書館に行き、どんな情報が載っているかと久しぶりに「ヤマケイ(=山と渓谷)」の最新号を覗いた。するとほぼ最初の1ページに「コンタツおじさん逝去」とある。「え、えーあの元気で明るいコンタツさんが...」と本当に驚かされた。コンタツおじさんこと近藤辰郎さんは山岳写真家。20年ほど前には彼をパーソナリティーにした山行番組を山と渓谷社提供で制作、山好きの番組女性アナウンサーやヤマケイのお偉いさん達など共に、良く一緒に色々な山行を行ったものだった。
 八が岳、木曽駒、白馬等々、どれも良い山行だったし、山小屋の親父さんや従業員達にコンチャン人気は絶大。ときには番組と「ビスターリ」と言うヤマケイから出ていた当時の中高年向けの山雑誌(今は当然廃刊)との共同企画で、コンタツさんと僕と女性アナが静岡と山梨の県境の見晴らしの良い秘境山(熊伏山)に登るジョイント企画を実施したりもした。そんな山行はどれも愉しい思い出ばかり...。番組終了後もコンタツさんのやっている写真教室に同行したり、新橋のヤマケイ御用達の飲み屋で一緒になったりと、付き合いは色々あった。だが肝心のヤマケイが経営不振からIT関連出版社に買収されてしまい、本社も神田に移転など色々ごたごたがあってからは、賀状のやり取り位でほとんど付き合いが無くなってしまった。ぼくも余り山行(山行クラブにも顔を出さなくなってしまった)にも行かなくなったこともあり、彼の動向は殆ど判らないまま。それが今年の春先、神保町の石井スポーツ本店に久しぶりに山道具を見に行くと、海外遠征などでも知られる石井スポーツの名物お偉いさんにひょっこり出会い、「そう言えばコンチャン(近藤さん)この前店に遊びに来たよ...」と聞かされ、元気でやっているんだなーと懐かしくもホッとした覚えがあった。
 それがこの訃報であり、4月の中旬に亡くなったとのこと。全く残念で寂しい。遅まきながらお墓を聞いて(住まいが伝通院の近くなのでその近隣のお寺の筈)、お参りにうかがわなければと当時の担当アナと話をしている間も、あの人懐っこい笑顔が浮かんできてまた寂しい思いがした。彼は仲々にダンディーな江戸っ子で山屋らしくない洒脱な人。山岳写真家ながらヤマケイ本誌の表紙モデルも、1年半ほど務めた経歴の持ち主。奥さんは大手代理店の敏腕広告ディレクターで、彼女の作ったソニーのカラーTVのCMは大評判になった。誰にも愛される人柄で番組の取材で大菩薩峰に一緒に上った帰りの中央線。勝沼駅に立っていると、山帰りのおばちゃん、おじちゃん、学生さんから次々と「コンタツおじさん...写真撮って...」等と声が掛り、その人気の凄さに驚かされたものだったが、愛される人柄だった。エノケンや川田晴子など戦前の古いジャズ~歌謡曲にも詳しく、番組でも紹介したしぼくもそこら辺について教えてもらった。写真集も何冊か出しているが、写真には自ずとその人柄が写しだされる様で、明るい屈託のない人だけに、彼が撮ると山の陰影に欠ける嫌いはあったが、山の愉しさを写しだすには最適な人だった。

 もう一度コンタツさんと山に行きたい...、と願ってもそれは叶わない。エノケンのジャズ歌謡も共に聴けない。せめて墓参りに行って密かに語り合う位しか出来ない。寂しいがこれも又人生の定めなのだろう...。コンタツおじさん 享年79才。合掌!

【今週の番組ゲスト:インパートメントの西野孝さん】
AGATEレーベルの新作を中心にご紹介頂きました。
M1『CONFIAMTION / JEFF LORBER,CHUCK LOEB』
M2『DO YOU? / JOHN PATITUCCI ELECTRIC GUITER QUARTET』
M3『I'm Hip / BOB DOROUGH』
M4『Change The World / TUTU PUOANE』
M5『One Month / MARK GUILIANA JAZZ QUARTET』

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