番組紹介

ラジオNIKKEI第1
毎週木曜日 22:30~23:00
毎週金曜日 18:30~19:00(再放送)
(毎月最終金曜日は休止)

55年超の歴史を有する、民放ラジオ最長寿級のジャズ番組。進行役は、フリーアナウンサーの山本郁。毎回ミュージシャン、シンガー、ジャズ関係者などをスタジオに招き、そのゲストにゆかりの曲をかけてジャズ・トークをお届けします。

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11月25日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2021.11/25 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.602~YouTube騒動曲~】

 「ユー・チューブ」皆さまも良く利用されていると思う。ぼくも何かあるとよくジャズものを見てしまうのだが、困ったことにはあるプレーヤーの画面を見て(聴いている)居ると、その横に別の人の動画が紹介されており、そちらをつられて観てしまうことも多い。一度嵌ると結構な時間を取られてしまい、しばし後悔する羽目に‥。中には音声もの(画面がなくアルバムをそのまま転用する不届きなもの)と動画画面があれば、ジャズのアルバムなどはいらない等と宣う輩もいるさまで、音楽(ジャズ)そして芸術全般も安く見積もられてしまっていたきらいもあるが、確かに便利にはなっている。

 ある日暇に任せてジャズ検索をしていたところ、帝王マイルス・デイビスの「煙が目に染みる」ある。えーと驚いた。マイルスがあの「煙が...」を演奏しているとは...。全く初耳である。その肝心の「煙が目に染みる~スモーク・ゲッツ・イン・ユア・アイズ」。全く旨い邦題を付けたものだが、「プラターズ」と言う黒人男性コーラスグループによって、50年代の終わりから60年代にかけて大ヒットしたナンバー。日本のコーラスグループも彼らを基本にしたものも多かったが、今はその名前も歴史に埋もれてしまっている。
 この曲、元々は名匠ジェローム・カーンがミュージカルの挿入曲として書いたもので、スタンダードの1曲ではあるが、ジャズではダイナ・ワシントンが取り上げたくらいで、余り聞かれないもの。ぼくの中学生時代大好きだった曲の一つで、プラターズのリードボーカル、トニー・ウイリアムスのファルセットボイスに魅せられたものだったが、余りジャズでは取り上げられない。それをよりによってマイルスが...、となると実際に確かめてみなくてはならない。おもむろにマイルスの「煙が...」を呼び出してみると、当然画面無しの演奏だけ...。良く鳴るトランペットの音色、マイルス以上にいい音でもある。バックもそれなりに上手いが、この曲ならばレッド・ガーランド(p)以下の黄金トリオが付き合っていた50年代後半期の演奏の筈だが、全く異なったサウンド。それより何よりこのペットは、明らかにマイルスでは無い。

 まあ堂々と良く噓の表示を載せたものだと、却って感心してしまう程。投稿者はその戸惑いを愉しんでいるのかも知れないが、こうした明らかな間違い音声が、そのままになっているのも大問題である...、などとブツブツ文句を言っていると...、ある事情通が教えてくれた。あれはどうやら70年代初めに発表された、かなり名の知れたトランぺッターのアルバムに収録されたものだと言う。そう言えば彼ならばやりそうな曲でもある。ピアニストも有名な人で今なお一線で活躍している。言われれば確かにその2人のプレーだと思えるところも多い。その元アルバムの存在をぼくは知らないのだが、その通りだとも思える。
 面倒なので確かめることはしないが、分かってしまえばなんだーとなる。だが中々に罪なことではある。これで1曲聞くのに課金でもされているならば、もう少し騒ぐところなのだが、あのマイルスが「煙が...」何ぞやっている筈がないだろうバーカ...と言われればその通り。それに乗ったぼくが馬鹿だったのです。でもそれに興味持ってしまうのも...、ジャズファンならば致し方ない所ではないでしょうかね...

【今週の番組ゲスト:NHKエンタープライズ TOKYO JAZZ 20th 演出プロデューサーの鎌野瑞穂さん】
M1「Maiden Voyage / Herbie Hancock」
M2「Il Paradiso del Blues / 挟間美帆 m_unit」
M3「Gotta Be Happy / 小曽根真」
M4「In A Spiral / BIGYUKI」

『TOKYO JAZZ 20th 』
https://tokyo-jazz.com

11月28日18時からブルーノート東京で開催されるライブをYouTubeで無料配信!視聴はこちらから
   ↓
https://m.youtube.com/watch?v=P5EFjaY6eNc&noapp=1

 

11月18日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2021.11/18 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.601~ジャズ番組あれこれ~】

 衆議院選挙も終わり相変わらずの変わり映えしない、と言うよりも確実に悪くなりつつある傾向、果たして日本のいく末は...等と心配になること多々だがそれも詮無いこと。
 さてこのところ、わがジャズ番組が何気に調子良いんだ...とぼくの周りに話していた所、知り合いの一人がこんな情報を送ってくれた。全国のジャズ番組の概略数で、その数なんと80番組を超えるのだと言う。こう言ったあるある情報に興味を持つ輩もいるなか、彼によれば全国区のラジオ番組、すなわちAM、FM局でジャズを冠した番組は約40あり、タウンFMとも呼ばれる小規模地域FMでも、丁度同じくらいのジャズを冠した番組があるのだという。これに加えてジャズ音楽を掛けていてもジャズと付けていないため、分からない番組も当然あるだろうから、全国でおよそ100を超える番組で、ジャズが流れていると判断しても間違いないようである。

 かつて児山紀芳氏がNHKFMでやっていたJAZZ番組とか、油井正一氏が担当していたFM東京のジャズ番組、更にはぼくの学生の頃大評判だった、チコ・ハミルトンのTMでもお馴染みの、モンティー本多氏(アルトサックスの本多君のお父さん)のジャズ番組(ラジオ関東)等々。名物パーソナリティーによるジャズ番組がいくつもあったものだが、最近はこれと言った決めのジャズ番組は無いし、ラジオでも活躍したジャズ評論家先生達も今は亡くなられてしまった。強いて言えば話題に上がるのは、ジャズ好きな人気作家、村上春樹氏の担当するFM東京の「村上ラジオ」が、ジャズ中心のプログラム構成で人気を集めている位のもの。まあ寂しいと言えば寂しいのだが、ジャズ自体の置かれている位置、それとポップミュージック全体の意味合いも含め、まあこれも致し方ないのかもしれない。

 そんな中でどういう訳か、我がジャズ番組は好評らしく、実際に全国の80を超すジャズ番組の中でも、少なくとも5指には入るとも言えそうな好調さなのである。その理由として幾つか挙げられると思うのだが、一番大きなものはパーソナリティーの山本郁の存在。ラジオは何と言っても話し手がメイン、変に自身の意見や趣味を押し出さないで、ニュートラルな進行・構成を心掛けていることでは無いかと思う。それと新譜を出したミュージシャンやシンガーを、かなり積極的に取り上げている点も、プラスの要因かも知れない。まあこれは制作費の問題にも関係するのだが、他のジャズ番組の多くは「〇〇のジャズ...」などと言うものも多く、ジャズライターなどのジャズ関係者だと、自身の蘊蓄を披露したり、仲間談議に終始したりするものも多い。一方ミュージシャンがパーソナリティーのものは、どうしても自身のアルバムや仲の良い人の作品を紹介...と言ったケースに陥りがちで、結構偏った内容になってしまうことも多いように思える。

 まあそういう点では山本嬢はジャズ好きではあるが、ジャズフリークでは無く(それだけに知らないことも多いが...)、結構どんなミュージシャンやシンガーとも仲良くなれる、ジャズ界で山本シンパも少なくない...と言った利点を持っており、かなり幅広にミュージシャンなども呼べる。しかしそこはやはり女性だけに、フリージャズなど尖がったジャズは敬遠しがちで、そうしたミュージシャン達の登場がいささか少ないのは、玉にキズなのだがまあ仕方ないだろう。それ以上にこの番組はリピート出演の希望が多いこと。今番組が好評だと言う点もあって、待機して頂いているミュージシャンも少なくない。かつて局のお偉いさん達から睨まれ疎まれながら、我慢しつつ番組を続けていた冬の時代。ミュージシャンを呼ぶのにも、結構苦労したあの時代から考えると、今はまさに楽園にも似た心持、何時までこの好調が続くかはしかとはしないが、出来るだけ気楽に続けて行こうと思っていますので、皆様も気楽にお愉しみ頂ければ...。よろしくご贔屓の程お願いします。

【今週の番組ゲスト:ジャズピアニスト ささきみほ さん】
From My heart』から
M1Room 81
M2There will never be another you
M3But it's alright」
M4Struttin' with Some Barbecue


 

11月11日の「テイスト・オブ・ジャズ」

2021.11/11 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.600~日本ジャズ音楽協会~】

 数回前のこのコラムで11月23日(祝)午前中に「テイスト・オブ・ジャズ特番」を1時間番組で放送することをお伝えしたと思う。これはジャズ番組開始から今年で57年、そして山本郁嬢が番組パーソナリティーになってこの10月で20年目。これ等諸々を祝って企画したもので、久し振りにリスナーからのお便りやリクエスト、ミュージシャンからのお祝いメッセージなどで構成する記念特番である旨もそこでお知らせした。そのコラムの最後で、ぼくにも今結構いい話(あるジャズ協会からジャズの啓蒙・普及活動に貢献した由で表彰を...)が届いている...とも付け加え、詳細はまた後で...とも書いた。その内容が正式決定したので23日のジャズ特番は山本嬢20周年などに加え、僭越ながらぼくの個人表彰も付け加えることにした。 

 その賞とは(社)日本ジャズ音楽協会が実施しているジャズ賞、今回が8回目となる。ぼくが受賞したのは、会長賞。このジャズ賞のメイン受賞者は、当然プレーヤーやシンガーなどだが、そのほかにもジャズアルバムプロデュサーやジャズライター、新聞の文化部(音楽担当)の人など関係者も何人かいたようだ。今回もぼくといっしょに受賞するのは、ミュージシャンの人達数名と関係者はもう一人、今は無きトリオジャズの創始者で、日本への「ECM」レコード紹介などに力のあった稲岡邦弥氏との2名。稲岡氏はECM紹介のジャズ本なども出しており、実績充分なお方。それだけに最初協会から話が来た時には、少し考えさせてほしいといささか引き気味だったが、周りのジャズ関係者に聞いてみると「こんな機会もう無いのだから...」とか「反って辞退なんて方が...」などと言うのが殆ど...。まあそれもそうだ...と言うことで、喜んでお受けしますと返事。この10月末に正式決定となり、11月末には受賞パーティーも開かれるらしいとのこと。余り晴れがましい場所は苦手なのだが、まあしょうがない。

 この日本ジャズ音楽協会と言う団体は、10数年前に誕生した音楽団体。会長は元代議士で大臣経験者、関西方面には隠然とした力を持つ(とも言われる)石井一氏。大のジャズ好きが昂じてこの団体を作ったのだが、副会長には日本レコード協会会長だったS氏、や、理事にも音楽関連のお偉方が並ぶと言う団体である。この賞自体は先ほども記したようにミュージシャンの表彰がメインだが、ジャズライターなどジャズ関連の人もこれまで何人か受賞しているなか、ラジオ関連は今までいなかった。と言うことで50年を超すジャズ番組プロデュサーでジャズライター、その他にもジャズコンサートやジャズ紺座なども行い、結構ジャズの啓蒙・普及に貢献したのでは...と言うことで、ぼくが選ばれたようである。ジャズライターとしての活動は35年余り、恐らく世界最長の一つでもあるジャズ番組「テイスト・オブ・ジャズ」の担当プロデューサーとしては50年弱、この関連ブログ(前身のジャズ徒然草を入れると20年強)、更にジャズ講座やジャズコンサートやライブ企画等々、これ迄に結構色々とジャズ関連のお仕事やらせてもらって来ました。感謝・感謝。

 今の「テイスト・オブ・ジャズ」も、ラジコ等でかなり好評のようで、結構いい数字も挙がっているらしい。多くのミュージシャン達も関心を持ってくれており、出演依頼も多々で嬉しい悲鳴である。先日はNYからツアーのため帰国中のピアニスト海野雅威くん(NYで暴漢に襲われ再起不能とも言われ、ニュースなどで大きく扱われ話題になった)からも、帰国直後に直ぐ連絡あって是非番組に出演させて欲しいとのこと。喜んでと言うことで、日本滞在中の僅かな間にスタジオに来てもらうことにしたが、NYでも注目のこの俊才ピアニストが、演奏活躍が出来る程に回復して本当に良かったと思う。

 まあ何れにせよ今回の日本ジャズ音楽協会会長賞受賞、嬉しくもあり恥ずかしくもありといった所が、今の偽らざる心境なのです。

【今週の番組ゲスト:ピアニスト スガダイローさん】
Suga Dairo Trio 2021』より
M1Covid-19 
M2「時計遊戯」
M3Don Juan
M4Boléro


11月4日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2021.11/04 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.599~コルトレーン「至上の愛」~】

 このところジャズ界では発掘盤の話題が良く聞かれる。ジャズ史を飾った大物達、帝王マイルスを筆頭に、鬼才セロニアス・モンク、モダンピアノのイノベイターにして人気の高いビル・エバンス等々、ジャズ史を飾る巨星達の未発表アルバムが発掘され、話題を集めているのだ。ただしこれらほとんどがクラブやコンサートでのライブ盤で、スタジオ収録の未発表アルバムが見つかることはほとんど無い。スタジオでの正式録音は各レコード会社が厳重に管理、そうそう未発表ものなどは見つからないのが実情。もしあればその当時は発表できなかった諸事情もある訳で(演奏内容の問題が大きい)、たとえその当人が故人であろうとも発表は難しい場合が多い。一方ライブ盤は観客がひっそりと愉しむため、またプレーヤー個々人の記録の為等々、色々な理由で埋もれて残されているケースも多く、これからもライブ音源では結構貴重なものが見つかる場合も少なくないと思われる。

 そんなこの所の発掘盤ブームの中でも、最大の成果と言えるのは、テナー・タイタンことジョン・コルトレーンの11月発売『至上の愛~ライブ・イン・シアトル』だと思う。そのタイトルからも明らかなとおり、この発掘盤もライブ作品で(65年9月末)、トレーンカルテットの前座を務めていたシアトルのサックス奏者、ジョー・ブラジルが記録用として私的に収録していたもの。この「至上の愛」は、「承認」「決意」「追求」「賛美」という4部作からなる組曲で、全盛時のコルトレーンカルテットの最高傑作と言う呼び声の高い作品で、ライブ演奏はこれ迄残されていなかっただけにその価値は高い。その上このライブではカルテットでは無く、サックスがトレーンを含め3管、それに2べースと言った7人編成と言う大所帯によるもの。
 オリジナルアルバムは4部で40分弱の演奏だったが、ここではライブであること、また参加人数が増えていることなどもあり倍近い時間をかけての、エキサイティングな演奏が展開され、トレーンファンの多い日本のファンの興味が増すのも至極当然なこと。アルバムの惹句には「ジャズ史を揺るがす大発見!」とあるが、決して大げさでは無い。 

 ぼくにとってもコルトレーン、マッコイ・タイナー、ジミー・ギャリソン、エルビン・ジョーンズと言う不滅のコルトレーンカルテットは、学生時代は神とも言える畏敬の存在で、毎日新宿の暗いジャズ喫茶で聴き狂っていたものだった。だがこの『至上の愛』を起点としたトレーンの晩年の演奏は、余りにもスピリチュアル~霊的な要素も濃いだけに、聴きすぎるといささか重すぎて辟易としてしまい、局員となってからは敬遠気味、そしてそれが今に至っていると言う次第。しかしトレーンにファラオ・サンダース、カルロス・ワードと言う3人の卓抜なサックス奏者達による、劇烈とも言える競演、これはジャズに関わるものならば、絶対に聴き逃せない筈のもの。まあ久しぶりにじっくりと「至上の愛」を堪能したが、あの60年代から70年代初めの時代は、今思うとやはり過激にして激烈な毎日だったんですね。ただのんべんだらりと毎日を過ごす、今のチャンジーそのもののぼくにとっては、かなりしゃきっと身構えるしたたかな時間で、とてもいい刺激になりました。

【今週の番組ゲスト:ピアニスト 田窪寛之さん】
Waltz for Debby - A Tribute To Bill EvansTone Painting』から
M1How my heart sings
M2Amembow
M3Appassionata
M4Waltz for Debby


10月28日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2021.10/28 番組スタッフ 記事URL

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【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.598~横尾忠則展~】

 余り年令の事は言いたくないのだが、やはりその話になってしまう。どうも最近コロナ禍も影響しているかも知れないが、出不精になっているようだ。案内が来ても展覧会や試写会、更にはコンサートなどへ顔を出すことも少なくなってしまった。中でも美術展、以前は関心があるものは余程混んでいない限り、行くようにしていたのだが、どうも駄目である。

 そんな折NHKのEテレ美術番組で特集も組まれ、是非とも行かねば...と思っていたのが、東京都現代美術館(MO+)で開催中の横尾忠則展。だが気持ちはあっても行動が伴わないのだが、期日を見ると10月半ばにはもう終了とある。まあこれでは仕方ない...と諦めかけていた所、山本嬢がこの展覧会を見に行き感激、是非行くべき...とTEL予約までしてくれた。こうなれば国立の自宅から隅田川を超え、はるばる下町の美術館迄行かざるを得ない。と言うことで先日、終了ギリギリで行ってきました横尾展。一口に言って想像以上に凄かった。まあ掛かっている絵画・ポスター一体いくつあるか分からない程に膨大、その数量、そして作品の馬鹿でかさ=雄大さ。本当に圧倒されました。老体には珍しくその前夜、番組収録と編集作業で仕事終わりがなんと夜の11時過ぎで、帰宅はタクシーを使い深夜1時過ぎ。横尾展当日は眠たくて々仕方なかったが、入館時間が予約で決まっており間に合うように急いだ。現代美術館に着くともうかなりぐったりだったが、そんな眠気・疲れなど会場に入ると一瞬にして吹き飛んでしまう程、圧巻のエナジーが各作品から放射されている。

 ぼくらの世代、言うなれば大学時代に大学闘争を経験した60~70代の連中で、文芸・音楽・演劇・絵画などの芸術活動に関心をを抱いた面々、特にぼくのようにジャズに最大の関心があった者にとって、間違いなく絵師&ポスター師の横尾忠則は、時代のアイコン(象徴・アイドル)だった。あの時代を彩った2つのアングラ劇団、唐十郎の状況劇団、寺山修司の天井桟敷。ぼくは唐派だったが、あの激動の時代を担った2つの意欲的芝居小屋、その蠱惑力・動員力をさらに高めたのが、横尾忠則が描く芝居ポスターだったのは間違いない。「腰巻お仙」「ジョン・シルバ―」等々、テント小屋芝居での横尾絵師の描くポスターは「書を捨て、街へ...」では無いが「日常を捨て、テント小屋へ...」と、若いぼくらを強烈にアジっているものであった。余談だが膨大な数の機動隊に囲まれながら見た、早稲田大近くの戸山公園にあった野外劇場跡での、唐さんの「ジョン・シルバ―」忘れられません。

 あのポスター師からポップアーティストとしての80年代初め頃迄の横尾の仕事、強烈にインスパイアされるものは多かったのだが、以降「絵描き宣言」をしてポップ芸術の世界を抜け出して以降、その彼の仕事振りにはなぜか興味がわかなかった。と言うよりもその頃は確か小説なども書いており、それが余りに霊的な要素の濃いものだったことなども影響して、あちらの存在としての横尾には興味を失ってしまい、何を描いているのかも時々知る程度だった。そんな折にEテレでの特集、かなりショックを受けたのだが、その作品の持つスケール感まで分からなかった。それが今回それらに対峙して、本当に仰天したと言う感じなのである。

 展覧会のサブ・タイトルは「原郷から幻境へ、そして現況は?」と言うもので、今回の展覧会のコンセプトを見事に浮き彫りにしている。それにしても「滝」と「二又路~Y字路」、更に自死した作家、三島由紀夫。この3つの重大要素への横尾の拘りは凄い。中でも「滝」を描くために彼が集めた世界中の滝の絵葉書。その数なんと13000枚余り、その殆んど全てがびしっと部屋中に展示され、それだけでクラクラと眩暈がしてしまう程。
 まあこの驚天の展覧会に、今回間に合っただけでもぼくは幸せ者だとつくづく思う。その余りに並外れた才能と想像力、創造力そして好奇心、横尾のこれら全てに乾杯!

【今週の番組ゲスト:ヴォーカリストの おいたえりこ さん】
Starry Night』から
M1I wish you love
M2Wild is the wind
M3「愛しき人よ(Love me tender)
M4Vincent


10月21日の「テイスト・オブ・ジャズ」 [「テイスト・オブ・ジャズ」プログラム情報]

2021.10/21 番組スタッフ 記事URL

テイスト・オブ・ジャズ」は、毎週木曜22:30~23:00(本放送)と金曜18:30~19:00(再放送)で放送中。番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.597~チューバ・ジャズ~】

  貴方はチューバと言う楽器ご存じだろうか...。吹奏楽などでよく見かける大きな低音楽器で、高校などの吹奏楽部で女子学生などが担当していると、演奏だけで無くその持ち運びどうするのか...等といらぬ心配までしてしまう、ある意味厄介なそして困難な楽器でもある。
 ジャズの世界ではかつてのニューオーリンズジャズでは(今でも健在で再注目の存在ではあるが...)、かなり重要な役割を担っていたこの重厚な低音楽器も、モダンジャズ時代になるとその余りの重厚さ故に、ほとんど見向きされなくなってしまった。しかしどっこいこの楽器はしぶとくしたたかに、その困難な時代を生き抜いて来て、21世紀に入ると息を吹き返しつつある。その困難な時代にこの楽器で頑張って来た立役者の一人がハワード・ジョンソン。彼は今年の1月に79才で亡くなってしまったが、その功績は大変に大きいものがある。『グラビティ―』等のリーダー作を発表し、この難しい楽器で見事なソロワークを披露していたが、彼はまたあのジョン・レノン&オノ・ヨーコの『ダブル・ファンタジー』にも参加、この楽器の再認識にも寄与していた。さらに彼の元からはボブ・スチュアートなど次代を担うプレーヤーも巣立っている。このジョンソンと並ぶ需要人物として、もう一人レイ・ドレーパーの名前も忘れられない。ジョン・コルトレーンなどとの共演アルバムによって知られる彼も、ジャズにおけるこの楽器の意味合いを認識させた貢献者の一人でもある。

 まあこうしたミュージシャン達の努力によって、このチューバと言うある種の異端にして興味深い低音楽器は、ジャズの世界を生き抜いてきたのだが、21世紀に入るとその存在がそれなりの注目を集め出したのは興味深いことだと言える。それには今のニューオリーンズ・ブラス・バンドが新たの注目を集め出したことも大きく関わっているかも知れない。若いロックやヒップホップに関心を持つファンが、そこに登場するこの楽器の面白さ・異様さに目を付けつつあるので、また新たな展開が開けるかも知れない。

 ぼくがこの楽器に注目するようになったのは、今最も熱く激しいジャズを展開している(らしい)ロンドンのジャズシーン。その中心に位置するサックス奏者、ぼくのお勧めNo1プレーヤーでもあるシャバカ・ハッチングスのバンド「サンズ・オブ・ケメット」からだった。このバンドがこのチューバをその楽器編成に起用しており、そのプレーヤーがまた仲々に強力で魅力的だったのである。彼の名前はテオン・クロス。
 そのデビュー作「ファイア」のキャッチフレーズには、「アフロ・ビートを軸として、ヒップホップからクラブサウンド迄を展開するチューバ・ジャズ」とあるが、正にその通りの新しくもありながら伝統にも則った不思議な魅力を秘めた、ファイア(炎)の様に燃え上がるジャズを展開しているのである。チューバでアドリブを展開するのは中々の荒業ではあるが、それをクロスは現代感覚で巧くこなしている。その魅力の程は皆さまが実際に耳にして欲しいものである。チューバと言う楽器が21世紀のジャズの展開に新たな彩りを添えることが出来るか...。テオン・クロスの活躍ぶりに注目である。

【今週の番組ゲスト:ピアニストの山本剛(つよし)さん ベーシストの香川裕史(ひろし)さん】
Misty for Direct Cutting』から
M1Misty
M
2Midnight Sugar
M
3Yesterday
M
4The In Crowd



【特番のお知らせ】

「テイスト・オブ・ジャズ」は、放送開始から57年。そして現在進行の山本郁さんが担当するようになってこの秋20周年を迎えました!

11月23日(祝)朝9時30分から1時間特番『テイスト・オブ・ジャズ・スペシャル 私とジャズ~なんだかんだで57年、そして20年~』を放送する予定です。

特番では、みなさんのジャズに関するメッセージやリクエスト曲を募集します。

初めて聞いたジャズ、ジャズとの思い出......など、何でも構いません。

メッセージ・リクエストの他、郵便番号・住所・氏名・電話番号を明記して、

ラジオNIKKEI・番組サイトのメールフォームからお送りください。

締め切りは11月10日です。

メールを採用した方には、JAZZ関連の書籍やCDなど素敵なプレゼントを差し上げます。数に限りがございますのでご了承ください。どうぞお楽しみに!

 

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パーソナリティ

山本 郁
やまもと かおる

新潟テレビ21アナウンサー・ラジオNIKKEI契約アナウンサーを経てフリーに。
ニッポン放送では『高嶋ひでたけのお早う!中年探偵団』最後のアシスタントをつとめた。
ラジオNIKKEI『聴く日経』、『テイスト・オブ・ジャズ』のパーソナリティー等。

新しい一週間の始まりにお耳にかかれて光栄です!!
今聴いて下さっている“あなた”をマイクの向こうに意識して価値ある情報を、正確に分かり易くお伝えします。

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