番組紹介

ラジオNIKKEI第1 毎月第3火曜日 17:10~17:25
協力:NCGM 国立国際医療研究センター 国際医療協力局

途上国へ赴き、現地の医療システム全体の改善に貢献する「グローバルヘルス」。
その活動経験を持つマスターと、カフェの常連客が、世界の健康問題について語り合います。
マスターが淹れるめずらしいコーヒーも登場します。
出演は、国立国際医療研究センターの明石秀親。パーソナリティーは香月よう子。

新着記事

第17回「ベトナムの地域医療連携─顔が見える関係づくり」テキストデータ版(2016.2.16放送) [放送内容テキストデータ]

2016.02/25 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第17回「ベトナムの地域医療連携─顔が見える関係づくり」(2016年2月16日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
土井:土井 正彦(国立国際医療研究センター/看護師)
ヨーコ:香月 よう子(フリーアナウンサー)

※ 番組では、みなさまからのご意見・ご感想を募集しております。
※ 番組宛メール送信フォームより、ぜひご意見をお寄せください。
※ お寄せいただいた内容は、番組内でご紹介させていただく場合がございます。

■ベトナムでも大病院に患者が集中する

マスター:グローバルヘルス・カフェ、マスターの明石です。今日は、常連客のヨーコさんと、看護師の土井さんがあちらで話しています。早速聞いてみましょう。

ヨーコ:土井さんは、ベトナムに行っていたんですよね?
土井:ベトナムの北部にあるハノイという都市にいました。実際に働いていたのは、ハノイ市より北西部に80kmぐらい行った、ホアビン省の省病院と、そのホアビン省の保健局です。
ヨーコ:役所みたいなところで。
土井:そうですね。お役所です。
ヨーコ:今、マスター。土井さんがショウ病院って言ったんですけれども。
マスター:日本で言うとまぁ県に当たるのが省なんですけれども。
ヨーコ:省、小さいショウじゃなくて。
マスター:じゃなくてね。
ヨーコ:何々省のショウですね。
マスター:そうですね。まぁそこより下に郡病院とか、さらに下にコミューンのヘルスセンターなどがありますが、一方その省病院の上には、ハノイとかホーチミン市にある大きな病院、大病院があります。
ヨーコ:その病院は土井さん、どんな状況なんですか?
土井:ハノイ市の病院は、ハノイの人だけじゃなく、ホアビン省であるとか、そのほかの周辺省から患者さんが集まってきて、とても患者さんが多い病院です。一方、そのホアビン省の病院は、それほど患者さんが多くはなくて、ひっそりしている。
ベッドも空いているところがあったりするのが、この省病院の現状です。
そういう現状なので、まず省の病院の能力を向上する、強化するということで、研修できるような体制を作ったり、郡病院から患者さんを搬送する際に、適切に搬送できているのか、何か問題がないのかといった搬送のシステムを作ったのが主立った活動です。
ヨーコ:なるほど。大都市の病院ではないところの技術を上げるということと、それからその連携を強めていくというか、つながりを強めていくというか。まぁ、地域医療連携みたいなイメージになるんでしょうか。
土井:そうですね。ベトナムというのはシステムの国なので、地域医療連携というのはそもそもあるんですけれども、それがうまくいっていないところがありました。そこで、システムを動かすだけじゃなく、地域とうまく結びつけて情報共有をして、進めていくということをしました。
ヨーコ:なるほど。地域医療連携という言葉は日本でもよく聞きますが、マスターこれはすごく大事なことなんですか?
マスター:そうですね。特に下位病院といって、たとえば郡病院やクリニックなどでは、自分たちだけで全てできるわけではない。この人は手術が必要だなとか、そういう人たちをどこに送るのだろうとか、さらにもっと専門的な心臓などの病気に対応するときに、専門病院なり、上位の病院に送るということをしなければいけない。
ヨーコ:なるほど。逆に、周りの病院でなんとかなる患者さんが大きな病院に行ってしまうと、それも難しい問題になる、ということですよね。
マスター:そうですね。日本でも大病院に患者さんが集中しがちというのはあると思います。大病院じゃなくても診られる患者さんが大病院にどんどん集まってしまうと、逆に言えば大病院じゃないと診られない患者さんが後回しになってしまったり、時間がかかってしまったり、というようなことが起こります。ですからそういう意味でも適切なレベルで、適切な患者さんが診られるということが大事だと思います。

■ 「場を作る」ことからスタート

ヨーコ:土井さん、実際現地に着くと早速いろんな壁が見えてくるということなんですが。
土井:ベトナムというのは社会主義の国です。制度であるとか、規則であるとか、ヒエラルキーがとてもしっかりした国なんですね。そういうなかで、まずはその地域医療連携をする部署を病院に作って、そしてそこで働く人たちと一緒になって、連携をしていくという仕組みを考えました。
ヨーコ:ヒエラルキーとか制度がきちんとできているというのはすごく良いことのように聞こえますが。
土井:たとえばですね。会議に出ると、管理者、病院の院長先生や保健局の局長さんといった方が、がしっとその場を治めてしまっているので、会議の雰囲気が固まってしまう。だから自分の意見であるとか、状況をもっと説明してもらいたくても、それが出ない雰囲気になるということがありました。
ヨーコ:その地域医療連携指導室でしたっけ?これはどういったもので、どういうことをされていった
んでしょうか。
土井:その部署ではまず「場を作る」っていうことをやっています。いろんな患者さんの状況、病院の情報などをシェアする「場」です。下の病院から上位の病院に患者さんが搬送される際の情報を集めて分析し、患者さんが適切に送られてきているのか、医師が適切に診断したのかといったことをしっかりと見て、足りなければそれを研修やセミナーに生かすということを、その部署が企画して実施する。
ヨーコ:なるほど。要するにその、救急で搬送されてきたような実際の事例をよく検討したうえで、お医者さんがちゃんと診断できていたかっていう技術的なことなのかっていうことをまず調べるわけですよね。
土井:そうですね。

■ 現地のリーダーのモチベーションを上げる努力

ヨーコ:その「場」を作る際にどういったことに注意なさいましたか?
土井:我々はそこにずっといるわけではなくて、途中でプロジェクトが終わったら出ていってしまう、そこを去ってしまいます。ですので、我々が全部やるのではなく、ベトナム人である彼らのほうにイニシアチブを取ってもらって、そして進めていくような場や機会を作っていました。
ヨーコ:なるほど。じゃあ土井さんが陣頭指揮に立って「あれやれ、これやれ」ということではなかった?
土井:そうですね。
ヨーコ:その役目を担ったのはどういった?
土井:先ほどお話した地域医療指導室の長になる方、ベトナム人のその人物を中心に場を作り、研修を企画しました。
ヨーコ:その長の方はどんな方だったのでしょう?
土井:その方は、元々は歯科医でした。彼はなかなかその部署をうまく回していけなかったのですが、場を作る際、研修をやる際に準備から関わってもらったりして、なるだけ彼のモチベーションを上げるようなことをしました。
ヨーコ:モチベーションは高い人だったんですか?
土井:残念ながらその方はあまりモチベーションが高くなく、最初はプレゼンテーションなどもあまりうまくできなかったのですが、繰り返しやっていくうちに徐々にモチベーションも上がっていって、プレゼンもだんだんうまくなっていきました。
ヨーコ:彼が変わったな、と思った瞬間とかあります?
土井:そうですね。先ほどお話した、プレゼンテーションを何度も何度もやっているうちに、途中で堂々とやるようになっていたんですね。「あれ、どうしちゃったんだろう?」と思いました。
やはり彼自身が準備をしっかりやり、人の前で話をする際、特に会議では彼よりもずっと役職の高い方、管理者がたくさん揃っている中で、自信を持ってやる。そのことで彼のやる気が引き出されたんだなというのはありました。

■ 救急車が無くても臨機応変な対応ができるようになった

ヨーコ:そういった努力の結果、救急の流れも少しスムーズになってきたんですよね?
土井:そうですね。そういう研修をやって、どういった患者さんが送られてきたのか、誰が送ってきたのかというのを、救急の部署でわかるようになったんですね。そういうところも地域医療指導室はちゃんと把握するようになった。
ある救急の患者さんが送られたときのエピソードがあります。小児の患者さんでしたが、送る際に救急車が無く困っていた。そこで以前、上の病院で救急の研修を受けた救急医にまず相談をしてみようということになりました。その救急医に電話したところ、「早く送ってこいよ」と。しかし「救急車が無い」、そうしたら「じゃあ自分が行くよ、だから待っていてくれ」という感じで、その患者さんを迎えに行ってくれて、上の病院に送って行ったということがありました。
本来であれば連絡して、「よこしなさい」、で終わるのかもしれないんですけれども、救急のシステムを越えたような関係がこの地域医療でできたと、この例から感じられます。

■ 現地の人に溶け込んだ活動

ヨーコ:さあマスター、マスターもすごくベトナムにはどうやら詳しいらしいんですけれども、いまの土井さんの話を聞いてどう思いました?
マスター:地域医療連携というと何となく難しい感じがすると思います。最初は偉い人が訓示を垂れる、「こうしなければならん」みたいな演説っぽくなっていたかもしれないけれども、それを何回かやっていくなかで、ここって自由なことを言える、あるいは困っていることをお互いに共有して、じゃあみんなでどうするかねという話し合いが行われるようになってくる。その過程で、人と人とが知り合う。
上位病院の人も下位の人たちを知っているし、下位の人も上位病院の人を知っていて、あの人だったら相談できるかなと思って電話したんだと思うんですよ。そういう関係ができたことが、あるいはそういうことを作ってきたことが、ひいては地域医療連携、それは地域に限らず、たとえば同じ病院内でも同じだと思うんですけれども、そういうことをしてきたのかなと思います。
ヨーコ:何か土井さんの雰囲気も何か日本から行って偉そうに何かをやるという感じではなくて、すごく一緒に同じ釜の飯を食うみたいな感じでやっているところもうまくいった要因なんでしょうかね?
言われてうれしかった言葉とかありますか?
土井:そうですね。毎日オフィスに行く前に病院に寄って行ったんですけれども、それを見ていた人が何人もいたんですね。「お前は毎朝、この前を歩いているよな」っていう。それから病院を回っていて「いつも来てくれているね。ありがとう」なんていうことを言われたときもあって、そういうときはとてもうれしかったですね。
ヨーコ:地道な活動がこういう大きな業績というのでしょうか、そういったものを生んでいくんですね。
マスター:そうだと思いますね。

ヨーコ:いかがでしたか? 今回は「ベトナムの地域医療連携」について、国立国際医療研究センターの土井正彦さんからお話をうかがいました。お相手は、
マスター:マスターの明石秀親と、
ヨーコ:香月よう子でした。それではまた来月、第3火曜日午後5時10分にお会いしましょう。この番組は、生きる力をともに創る、NCGM国立国際医療研究センターの協力でお送りしました。

第17回「ベトナムの地域医療連携―顔の見える関係づくり」放送時間のご案内 [お知らせ]

2016.02/12 番組スタッフ 記事URL

グローバルヘルス・カフェ、次回は2月16日火曜日の17時10分より放送です!
今回のテーマは「ベトナムの地域医療連携―顔の見える関係づくり」。

ベトナムの大都市の病院には、日々大勢の患者さんが来院します。
その一方、地方の病院やクリニックは閑散としていることも。
看護師の土井さんは、地方の病院のレベルを上げ、大病院との連携を図るため、
省病院内にベトナム人を室長とした地域医療連携室を立ち上げます。

【出演】
明石 秀親(国立国際医療研究センター/医師)
土井 正彦(国立国際医療研究センター/看護師)
香月 よう子(フリーアナウンサー)



「グローバルヘルス・カフェ」は、毎月第3火曜日の17時10分~25分に放送しています。
PC・スマートフォンから全国どこからでもラジオNIKKEIがお聴きいただける「radiko.jp」からラジオNIKKEI第1を選んでお楽しみください。

番組を聴く
聴くradiko.jp(外部サイトへジャンプします)

放送後にはオンデマンド・ポッドキャストでも配信いたします。
また、過去の放送分もオンデマンドでお楽しみいただけます。
当番組ページ右側の「今すぐ聴く!オンデマンド」から、聴きたい回をクリックしてください。




<Master's Memory更新中!!>

マスターが国際協力で渡り歩いた開発途上国の文化・習慣・風土を記したブログ「Master's Memory
リスナーの皆さんはもうご覧いただいてますでしょうか?

マスターが現地で見て、触れて、感じたそのままをお伝えする言わば「グローバルヘルス・カフェ番外編」として当番組ブログに好評連載中。
放送がない間も、随時更新をしておりますのでこちらも要チェック!
Master's Memoryの記事一覧はこちらから

また更新情報は、グローバルヘルス・カフェ番組公式Facebookページでもお知らせをしております。
http://www.facebook.com/GlobalhealthCafe
こちらにもアクセスしてみてください。

第16回「未来の看護に向かって」テキストデータ版(2015.12.15放送) [放送内容テキストデータ]

2016.01/04 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第16回「未来の看護に向かって」(2015年12月15日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
メグミ:五十嵐 恵(国立国際医療研究センター/看護師)
ヨーコ:香月 よう子(フリーアナウンサー)


■ カンボジアで看護学を学ぶ人を増やす活動

ヨーコ:お元気ですか、グローバルヘルス・カフェ、香月よう子です。国際医療協力にかかわる人たちが通うカフェってちょっと変わってませんか。ここのマスターはとっても面白いので、わたし気に入って通っています。それではさっそく、カフェに入ってみましょう。

マスター:グローバルヘルス・カフェ、マスターの明石です。あ、あそこにいるのはメグミさんだ。国際協力に携わりたくて看護を勉強して、今、カンボジアとか途上国に行って頑張っているんです。
ヨーコ:マスター、何ぶつぶつ言ってるの?
マスター:あ、ヨーコさん、こんにちは。
ヨーコ:こんにちは。
マスター:メグミさんはカンボジアで看護学を学ぶ人を増やして、未来の看護師さんを増やそうということに頑張っている若手なんだ。
ヨーコ:へえ、看護学というのがあるんですね。
マスター:そう、看護学。看護師さんって、どうしても何かね病院の現場で仕事をするというところがよく見られちゃうんだけども、実は医療のなかでたいへん重要な役割を果たしてて、そういう意味で看護をもっと高めましょうということで看護学の大学とか大学院がどんどん出てきてます。カンボジアはね、ちょっと前までは看護学の大学ってなかったんです。それがまあ最近出てきたということですね。

■ カンボジアの看護師と勉強会を開いた

ヨーコ:メグミさん、こんにちは。
メグミ:こんにちは。
ヨーコ:メグミさんは長くカンボジアに行ってたんですか?
メグミ:いえ、短期で行っていました。1回目は1カ月、カンボジアの国立病院で働く看護師の支援に行ってきました。2回目は2カ月間、将来カンボジアの看護を担うリーダー育成の支援に行ってきました。
ヨーコ:じゃあ1回目のことからちょっと聞いていきたいなと思うのですが、実際のそのカンボジアの看護師さんってどんな感じだったんですか?
メグミ:私が働いてきたカンボジアの国立病院というのは、小さく生まれたり、あとは少し元気がなくて様子を見なければいけない、病気を持った赤ちゃんたちが入院してくる病棟だったんですが、生まれてくる赤ちゃんの数もとても多くて、入院する赤ちゃんも多いので看護師さんだけでは十分にケアをすることができなくて、家族と一緒に看護を提供しているという状況です。
ヨーコ:なるほど。日本とはだいぶ違うと思うんですが、そこでの看護とかケアというんですか、そういったものというのはどんなことをやられていたんでしょうか?
メグミ:看護師の仕事はたくさんあるんですけれど、やはり熱を測ったり、脈を測ったり、血圧を測ったり。そういうことを正しくできないと、赤ちゃんたちを正しく見てあげることができないので、きちんと異常があるのか、そうでないのかというのを判断できるように、そういうことを一緒に考える勉強会を開きました。
ヨーコ:それってふつうにやれることのような気がするんですけど、看護師さんなら。
メグミ:そうですね。やはり私たちも学校でそういうことをきちんと先生に教えてもらいながら身に付けていく技術です。そういう教育を受けてない看護師さんたちはそういったものの考え方をするのはやはり苦手ですし、もうちょっと強化していかないと赤ちゃんを救ってあげることができないんじゃないかなと思いました。
ヨーコ:要するに、ちゃんと測って、それで調べていくみたいなことっていうことを全然やってないということになるのかしら?
メグミ:そうですね。実際はなかなか難しいと思います。
ヨーコ:そこでどんなことをメグミさんはやってきたのでしょうか?
メグミ:最初は何を考えて看護師さんたちがケアを行っているかというのを、一緒にケアを通して観察するようにしました。
ヨーコ:観察というのは何でしょう、看護師さんと話し合うみたいな、「どうして、それやってるの?」って聞いたりする感じですか?
メグミ:そうですね。あと一緒に赤ちゃんの熱を測るのもやらせていただいたり、身体を拭いたりするのも一緒にやらせていただいて、どんなことに看護師さんたちが困っていて、どんなことを支援してあげたらもっとよい看護が提供できるのかなというのを一緒に活動しながら探していった感じですね。
ヨーコ:一緒に活動していってわかったことってどんなことあります?
メグミ:まず1つは、もっと看護師として赤ちゃんにやさしくして、赤ちゃんたちが早くよくなってほしいと思う気持ちというのは、そこで働く看護師さんたちも一緒で、お母さんたちが心配でお母さんたちもいい看護を提供してあげたいと思っていることがすごくわかりました。
ヨーコ:反対に、ここはもう少し何とかしたいなと思ったところはどういったところですか?
メグミ:先ほども話したように、どうしても勉強していないからなんですけれど、たとえばお熱が上がったときにただ冷やせばいいということでなくて、その原因は何なのか考えて必要な治療につなげられる看護というのを提供していってほしいなということは思いました。
ヨーコ:一緒に活動して、一緒に考えていくなかで、看護師さんが変わったなと思ったところって何かありますか?
メグミ:1回目のときは、勉強会を開いたら、たとえば呼吸を測るときは時計を使って1分間にどれくらい呼吸をしているのかというのを測るんですけど、お部屋にも時計はないんですが、看護師さんたちも時計をして働くということがなかったんですね。ですが、その勉強会の後、ある看護師さんが腕時計を着けて病棟に来てくれたんですね。それで一生懸命やっているとこを見せてくれて、「やろう」という気持ちがとてもうれしかったです。

■ タイの看護を目指すようになった

ヨーコ:そして2回目はカンボジアの看護師さんをタイに連れて行ってリーダーを養成していくというようなプロジェクトに関わられたということなんですけれど、これちょっと難しいですよね。どういうことなのかな、マスター?
マスター:ああ、これね。カンボジアというのは、学士、いわゆる大学教育が看護学で行われてなくて、そのなかで看護学校を出た看護師さんがいる。看護学校を出た看護師さんたちを学士、大学卒という形に、そういう教育を施してくれるところがタイの大学でやってくれるということで。
ヨーコ:要は編入みたいな形で学士になれるというような、そんなようなコースを作ってくれるプロジェクトということ。
マスター:日本でもあるんですけど、准看護師さんを看護師にするとか、それとはちょっと形は違うのですが、そういう看護学校出の看護師さんを大学卒という形にしてくれる。
ヨーコ:学問としての看護学ということが、看護の現場には必要だということを身をもって感じたメグミさんですよね。このプロジェクトに関わってみていかがでしたか?
メグミ:このプロジェクトで、タイで学んできた看護師さんたちが本当に自分たちの職場を見直してもっとよくしたい、もっといい看護を目指したいという強い思いを持って活動されているのが本当に印象的でした。
ヨーコ:いつも現場にいて自分がやることはすごい忙しいしわかってると思ってるわけじゃないですか、看護師さんたちは。タイの看護学というのを学ぶとやはり衝撃はあるんですかね。
メグミ:卒業生の皆さんは本当に衝撃を受けて帰って来ました。私も、この卒業生たちが何が一番変わったのかなと思って、私は短期間で2カ月しか関われなかったんですけれども、ずっと長く彼らに関わっていた先生に聞いてみたところ、彼らたちがタイから帰ってきて自分たちで言った言葉が「これまでの自分たちの看護は何だったんだろう」ということを自分たちの口で述べたようです。それを聞いて、タイでの看護というのが目指すべきものになってきたんだなということがわかりました。
ヨーコ:やはり、どうしてこうなるのかなという気持ちというのは生まれてると感じました?
メグミ:感じましたね。まず、モデルになる看護師さんたちが側にいてくれるということは、やっぱりそうなりたい、そういう看護が提供したいという環境にきっといたと思うので、自分たちがもっといい看護を目指したいという気持ちに変わっていったんだと思います。

【続きを読む】

第16回「未来の看護に向かって」放送時間のご案内 [お知らせ]

2015.12/09 番組スタッフ 記事URL

グローバルヘルス・カフェ、次回は12月15日火曜日の17時10分より放送です!
今回のテーマは「未来の看護に向かって」。

カンボジアの国立病院で、看護師の支援を行ったメグミさん。
勉強会を開き、一緒に仕事をするうち、
カンボジアの看護のリーダーになるであろう彼らを見て、
自分の意識も変わっていくことを実感します。
相手が伸びる過程で、こちらも実は伸びてきている、
あるいは相手が悩む過程で自分も悩んでいる。
支援を受ける側だけじゃなくて、支援する側も伸びていく。
国際協力を通じて、成長していく人々に焦点を当てます。

【出演】
明石 秀親(国立国際医療研究センター/医師)
五十嵐 恵(国立国際医療研究センター/看護師)
香月 よう子(フリーアナウンサー)



「グローバルヘルス・カフェ」は、毎月第3火曜日の17時10分~25分に放送しています。
PC・スマートフォンから全国どこからでもラジオNIKKEIがお聴きいただける「radiko.jp」からラジオNIKKEI第1を選んでお楽しみください。

番組を聴く
聴くradiko.jp(外部サイトへジャンプします)

放送後にはオンデマンド・ポッドキャストでも配信いたします。
また、過去の放送分もオンデマンドでお楽しみいただけます。
当番組ページ右側の「今すぐ聴く!オンデマンド」から、聴きたい回をクリックしてください。




<Master's Memory更新中!!>

マスターが国際協力で渡り歩いた開発途上国の文化・習慣・風土を記したブログ「Master's Memory
リスナーの皆さんはもうご覧いただいてますでしょうか?

マスターが現地で見て、触れて、感じたそのままをお伝えする言わば「グローバルヘルス・カフェ番外編」として当番組ブログに好評連載中。
放送がない間も、随時更新をしておりますのでこちらも要チェック!
Master's Memoryの記事一覧はこちらから

また更新情報は、グローバルヘルス・カフェ番組公式Facebookページでもお知らせをしております。
http://www.facebook.com/GlobalhealthCafe
こちらにもアクセスしてみてください。

第15回「アフリカでの検査技師活動~精度管理を充実させるために」テキストデータ版(2015.10.20放送) [放送内容テキストデータ]

2015.10/26 番組スタッフ 記事URL

※音声はこちらからお聴きいただけます。
番組をオンデマンドで聴く
聴く第15回「アフリカでの検査技師活動~精度管理を充実させるために」(2015年10月20日放送分)


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
橋本:橋本 尚文(国立国際医療研究センター/臨床検査技師)
ヨーコ:香月 よう子(フリーアナウンサー)


■ 臨床検査技師って何をする人?

ヨーコ:お元気ですか、グローバルヘルス・カフェ、香月よう子です。国際医療協力にかかわる人たちが通うカフェってちょっと変わってませんか。ここのマスターはとても面白いので、わたし気に入って通っています。それではさっそく、カフェに入ってみましょう。

マスター:グローバルヘルス・カフェ、マスターの明石です。あそこにいるのは橋本さん。臨床検査技師という、まあ国際医療協力ではあまりなじみのない、あまり聞いたことのない人ですね。
ヨーコ:マスター、何ぶつぶつ言ってるの?
マスター:あ、ヨーコさん、こんにちは。
ヨーコ:こんにちは。
マスター:ようこそ。臨床検査技師って知ってる?
ヨーコ:うーんと、レントゲンとかやる人だよね。
マスター:あー、それは放射線技師さん。
ヨーコ:え。
マスター:臨床検査技師さんていうのは、たとえば病院でいうと採血とか、おしっこを取ってくださいとか、検査しますよね。そのときに、バックヤードで検査をしてくれる人です。
ヨーコ:けっこう重要なお仕事ですね。
マスター:そうですね。
ヨーコ:そういう人も国際医療協力に関わったりするんですか?
マスター:そうですね。彼はマラウイとかザンビアとか、アフリカでね主に活躍している人ですが。
ヨーコ:臨床検査技師、なんだか難しそうなお仕事だけど、ちょっとお話聴いてみようかな。
マスター:そうですね。ぜひ聴いてください。

■ 夜中でも検査の呼び出しがかかった

ヨーコ:橋本さん、こんにちは。
橋本:こんにちは。
ヨーコ:橋本さんは臨床検査技師として、マラウイにまず行かれたそうなんですが、これどんなお仕事をなさったんですか?
橋本:はい、1991年4月から93年4月までマラウイの病院の検査室で主に検体検査をしていました。検体は、たとえば血液とか尿とか、それとか喀痰とか糞便です。
ヨーコ:そういったものの検査をするお仕事をしていたということなんですね。
橋本:はい。
ヨーコ:日本と違うところってどんなところなんですか?
橋本:はい、日本と違うのは、当時は、いまもそうですけれど、HIVの患者が多くてそれに関する検査、特に輸血検査とか、あとはマラリアとかの寄生虫の検査、そういうのが非常に多かったです。
ヨーコ:けっこう日本にいてはあまりやらない検査というのもすごく多かったということですか?
橋本:はい、それは寄生虫の検査とかそうですけれど、HIV関連の検査は特に多かったです。日本ではあまりいまないです、マラウイと比べたらないですけれど、向こうはそれが日常茶飯事で、当時は薬もなかったので入院する人はみんな亡くなるという状況でした。
ヨーコ:まだ治すというか、治療方法が確立されてないころ......
橋本:薬はあったんですけれど、途上国に行き渡るほどの価格ではなかったということがあります。
ヨーコ:では、すごくお忙しかったんじゃないですか?
橋本:昼間働いて、夜は待機して、呼びに来たときに検査室に戻って夜中検査するということです。
ヨーコ:え、夜中も検査するんですか?
橋本:はい。
ヨーコ:それはどういうことですか?
橋本:それは、夜とか早朝にかけては、重症な患者さんが連れて来られて、特に輸血関係が多いんですけれど、たとえば赤ちゃんの重度のマラリアとか、あとは妊娠して出産で異常出産での大量出血の事故とか、そういうときはすぐ血液が必要になって、そういうときはその患者さんの肉親が付いてきて、その方の肉親の血液を調べてすぐ患者さんに入れないといけないんですね。
ヨーコ:待機していて、電話が急にかかってきたりする?
橋本:電話じゃなくて、直接、病院敷地内に宿舎があったので、そこにいますと、夜中、ドアを叩いて......
ヨーコ:ドンドンドンドンと?
橋本:ハシモト、ハシモト!
ヨーコ:そうすると、パジャマを着ててもすぐ出て......
橋本:もうパジャマ着てないで服の上に......
ヨーコ:いつでも行けるようにして......
橋本:行けるようにして......
ヨーコ:そのまま寝ぼけ眼でもいつでも行けるようにして外に出ますよね、真っ暗ですね、どんな感じで、走って?
橋本:走って行くときもあるし、自転車で行くときもあるし。雨のときは傘さして走って行くけれど、そうじゃないときは自転車で行きますけど、真っ暗なときは見えなくてドブに落ちたということもあります。
ヨーコ:ドブに落ちてその後やっぱり行くんですか?
橋本:行きます。そのときは服脱いで......
ヨーコ:服脱いで......
橋本:ドブのところは臭くて汚いんでね。
ヨーコ:そのまま裸で走って検査をして......
橋本:緊急なんで。
ヨーコ:一刻を争いますからね。まず橋本さんがいて検査をしない限り、その輸血はできないわけですね。
橋本:できません。血がない。
ヨーコ:そうすると、もうドブに落ちようが何しようが、もう這い上がって走って行く。
橋本:はい。
ヨーコ:すごい生活をされましたね。

■ 「セイドカンリ」って何?

ヨーコ:精度管理というのを私初めて聞いた言葉なんですね。「せいど」というと、みなさんシステムのほうの制度を想像するかと思うんですが、正確さとか精密さという意味の精度ですね、米偏に青の。これは一体、何なんでしょうか?
橋本:はい。要するに、たとえば、体重を量るときにまず体重計を持ってきて、動くかどうかみて、必ず目盛りをゼロに合わせますね。
ヨーコ:はい。
橋本:本当だったら、1㎏だったら1㎏を指すように、たとえばペットボトルの1㎏の水を置いてみて、1㎏を指す。それからまあ体重とか量るのが筋なんですけれど、要するにそういうことですね。検査もそういうことでちゃんと機械が動いているか、すべての試薬を設定して、精度管理の試薬を入れたら、たとえば精度管理の試薬が指定している値が出るか、その値が出てはじめて検査ができるという感じになります。
ヨーコ:患者さんの検査の血液とかそういったものは、まず試薬で確かめてから検査をする。
橋本:精度管理用試薬を検査して、その値が基準内に入っていたらそれでOKで、はじめて患者さんの検体を検査するという手順になります。
ヨーコ:では、ザンビア、最初に行ったときはどういう感じだったんでしょうか?
橋本:ザンビアは2004年くらいから主にアメリカのお金で、特にHIVの患者さんに対する検査の強化ということで大規模にいろいろな機械が入ってきました。その機械が入る前は、ザンビアの検査技師というのは、そういうふうに精度管理をちゃんとするということなしに、割と検査していたんですけれど、そういうのがいきなりドンと入ってきて、こういう検査する前にはちゃんとそういう精度管理をしないといけないんだよということにまず慣れることに時間がかかったんですね。で、わかってもなかなかうまくできないとかあって、私が赴任したときは、ようやく機械が入ってから4年くらいたったんですけれど、ある病院の検査室では全然しないとか、あるところではしても、なんか精度管理している割にはあまりにも値がおかしいとか、そういうことが頻発していました。

【続きを読む】

第15回「アフリカでの検査技師活動~精度管理を充実させるために」放送時間のご案内 [お知らせ]

2015.10/20 番組スタッフ 記事URL

グローバルヘルス・カフェ、本日10月20日火曜日の17時10分より放送です!
今回のテーマは「アフリカでの検査技師活動~精度管理を充実させるために」。

検査の「精度管理」の大切さを理解してもらうために、自分の血を使って実例を示した臨床検査技師の橋本さん。その熱い想いは、アフリカの医療に携わる人々の心をも動かします。輸血の検査のためには、夜中に叩き起こされても、真っ暗闇の中を自転車で走ってドブに落ちても、裸になっても駆けつける―情熱の臨床検査技師・橋本尚文さんのアフリカ奮闘記をお楽しみに。



【出演】
明石 秀親(国立国際医療研究センター/医師)
橋本 尚文(国立国際医療研究センター/臨床検査技師)
香月 よう子(フリーアナウンサー)


「グローバルヘルス・カフェ」は、毎月第3火曜日の17時10分~25分に放送しています。
PC・スマートフォンから全国どこからでもラジオNIKKEIがお聴きいただける「radiko.jp」からラジオNIKKEI第1を選んでお楽しみください。

番組を聴く
聴くradiko.jp(外部サイトへジャンプします)

放送後にはオンデマンド・ポッドキャストでも配信いたします。
また、過去の放送分もオンデマンドでお楽しみいただけます。
当番組ページ右側の「今すぐ聴く!オンデマンド」から、聴きたい回をクリックしてください。




<Master's Memory更新中!!>

マスターが国際協力で渡り歩いた開発途上国の文化・習慣・風土を記したブログ「Master's Memory
リスナーの皆さんはもうご覧いただいてますでしょうか?

マスターが現地で見て、触れて、感じたそのままをお伝えする言わば「グローバルヘルス・カフェ番外編」として当番組ブログに好評連載中。
放送がない間も、随時更新をしておりますのでこちらも要チェック!
Master's Memoryの記事一覧はこちらから

また更新情報は、グローバルヘルス・カフェ番組公式Facebookページでもお知らせをしております。
http://www.facebook.com/GlobalhealthCafe
こちらにもアクセスしてみてください。

新着記事一覧

新着一覧はコチラ

パーソナリティ

香月 よう子
かつき ようこ

番組パーソナリティ、ナレーターの他、中心市街地活性化、町づくり等、省庁主催のシンポジウムのコーディネーター、講演を行う。一方で、「きてきて先生プロジェクト」の代表として、地域を担う人材の教育活動を展開。経済産業省キャリア教育コーディネーター育成評価事業中核コーディネート、東京都生涯学習審議委員など各種委員もつとめ、特に生涯審では、地域人材を生かした学校支援の仕組みづくりにかかわり実践も行う。

パーソナリティ一覧はコチラ