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NVDA決算前に小動き、トヨタ取引先の販売価格上昇期待→株式市場には追い風に」

 

 

2月20日の東京株式市場では、売り買いが交錯しました。日経平均は小幅安でした。米国時間21日にNVDAが決算を発表します。時価総額約1兆8000億ドルの巨大企業です。年初から約50%も株価が上昇した半導体関連の代表株――それがNVDAです。決算発表に対する短期的株価反応として、急騰も急落もあり得ます。世界の半導体関連株はNVDAの株価反応の影響を受けそうです。発表前には、一方向には進みにくくなるのでしょう。

 

 

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複数のメディアから「トヨタ自動車が19日、仕入れ先部品メーカーの人材投資促進のための原資を負担する方針を示した」と報道されました。今春闘の賃上げによる人件費増加に関連する費用が想定されています。直接取引する400社を対象に、24年度上半期の部品の価格改定に反映させます。

 

 

トヨタによる取引先への値上げ認定政策は、株式市場にとっては追い風です。

 

 

今年度の日本企業の業績拡大は、値上げによって支えられています。トヨタは10-12月期決算発表段階で今24年3月期の販売計画を下方修正(グループ全体で15万台下方修正して1123万台)しました。しかし、営業利益は4000億円も上方修正しています。販売台数の下方修正を値上げによって吸収して業績を上方修正しています。

 

 

また、日本製鉄の24年3月期における製鐵事業の事業利益は、実力ベースで1560億円増益となる見通しです。出荷数量増加による増益要因は50億円に過ぎません。原価を上回る販売価格の引き上げが大きな増益要因です。

 

 

来年度となる25年3月期についても「値上げ実現」が日本の企業業績のキーワードでしょう。トヨタが調達価格を引き上げるとの報道は、来年度の企業間取引の価格上昇を想起させます。企業業績にとって追い風ですので、株式市場にはポジティブな材料です。

 

 

ただ、世界的には気掛かりな面もあります。米国大手自動車メーカーフォードは、12月決算の公表資料において「24年の米国内自動車販売台数は横ばいから小幅増を見込む。販売価格は全般的に低下する」との見通しを示していました。

 

 

また、海運大手のAPモラーマースクは決算資料において「24年の世界コンテナ取扱量の伸びは2.5%から4.5%。海運業界における大幅な供給過剰の課題は、24年中に完全に顕在化する。紅海の海難事故の期間と程度については依然として不確実性が高い」として、海運市況に対する警戒感を示しています。

 

 

世界的には、販売価格上昇に対する懐疑的な見方も強いようです。東京市場においては、合同製鉄、淀川製鋼所、大同特殊鋼など、鉄鋼株に昨年来高値を更新している銘柄が存在します。販売価格が業績動向に直結しやすい鉄鋼株の強調を示します。このあたり、投資家が日本企業の価格政策に対して前向きに評価していると考えられます。

 

2月20日午後3時10分記

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