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「ドル安円高進展→自動車株、商社株下落」

「急増した円売りポジション解消受けドル急落」

「CFTCデータを見て、円の買い戻し注文増加

 

11月21日の東京株式市場は、売り買い交錯です。自動車株、総合商社株が安くなりました。

 

 

為替市場でドル安円高の動きが進みました。ドル安円高は日本企業の決算数字を目減りさせます。ドル安円高を受け、輸出比率や海外売上高比率の高い企業への利益確定売りが膨らみました。

 

 

今年初めのドル円相場は130円前後でした。そこから150円超までドル高円安が進みました。大きく上昇したドルの修正ですから、自動車メーカーの業績に打撃を与えるわけではありません。

 

 

しかし、152円を見た後で、147円になると、円建て利益減少が強く意識されてしまいます。嫌な気分になって自動車株売りに急ぐのも、短期的には仕方ないのでしょう。

 

 

トヨタ自動車は9月上半期決算発表時点で、今24年3月期業績見通しの前提為替レートをドル141円、ユーロ152円としています。9月上半期実績レートはドル141円、ユーロ153円でした。

 

 

つまり、下半期は上半期実績とほぼ同じ水準を前提にしています。ドルの前提レートは141円です。現状の為替水準が業績下方修正につながる状況ではありません。

 

 

「円売り・ドル買い」によって、ここまで投資家は多くの利益を稼いできました。その投資家の円売り残高が膨らんでいます。CFTC(シカゴ先物取引委員会)は毎週末に、その週の火曜日段階の先物のポジションを公表しています。このデータがドル売り加速の一因になったようです。

 

 

「円を売ってドルを買う」投資家が大量に存在しているため、ドルに対して円の売りポジションは膨れ上がっています。14日段階の「NON-COMMERCIAL」(非商業=投機筋と訳されることが多いようです)の先物ポジションは以下の通りです。

 

 

投機筋のドルに対する円のポジション(14日現在)

買い  27,772枚(前週比+534枚)

売り  158,021枚(前週比+26,743枚)

 

 

14日の段階では、ドルに対して円の売りポジションが前週比急増しました。1週間で20%も増加しています。

 

 

売りポジションから買いポジションを差し引いた残高は約13万枚となり、前週比で25%増加しました。今週の「ドル安円高」は、ここまで膨れ上がり過ぎた「ドル買い円売りポジション」の解消に伴う動きと考えられます。あまりにも円売りポジションが増えたので、このポジションの重みが、短期的なドル相場の重荷になると感じられたのでしょう。

 

 

投資環境として「政策金利の引き上げ打ち止め」、「米国金利ピーク示現」の認識が広がったところで、円売りポジションの急増データを目の当たりにし、投資家の間で「円売りポジション解消」を急ぐ動きが広がった、これがドル安円高の背景と考えます。円売りポジションの解消は円の買い戻し注文につながります。

 

 

相場の世界なので、投機筋の動向によって価格は動きます。短期的な為替相場の振れ幅は大きくなる可能性があります。

 

 

ただ、日本の投資家が人生100年を視野に入れた資産運用を意識した場合、「2000兆円の個人金融資産における外貨建て資産の比率」は中長期で上昇していくと考えます。そうした動きは、今後の為替相場の骨格を形作ると考えます。

 

 

株式市場では、ドル安がデメリットになる自動車株が売られ、円高がメリットになるニトリ(家具販売、海外からの仕入れ多い)が急騰しました。為替変動を取り入れた投資アイディアを生かした銘柄選択の動きが見られてます。

 

 

ただ、常に冷静な対応が必要です。「為替相場が短期的に大きく振れたことでトヨタ、ホンダ、ニトリの本質的企業価値が変化するのか?」――その回答によって投資スタンスは変わるのでしょう。

 

11月21日午後3時10分記

 

 

 

 

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