「日本株急騰」
「焦点は"2025年3月期業績"」
「ミネベアミツミ、下方修正だが株価は急騰」
「パワー半導体企業の買収、25年3月期の業績見通しに上乗せ」
「25年3月期>24年3月期」
11月6日の日本株は大幅高となりました。東京市場が休みの間の米国市場では「金利低下・株高」が進みました。週明けの東京市場では、買いが先行しました。
米国10年債利回りは、先週の半ばから約0.4%も低下しました。金利低下に合わせて株価が連騰していますので、今週も米国金利動向が焦点になります。今週はFRB関係者の金融政策へのコメントに耳を傾け、来週は米国の物価指標、経済指標を注視する段階へと入ります。
日本では決算発表が活発です。現在、進行中の「今期2024年3月期」ではなく、その1年先に当たる「来期2025年3月期」が焦点になった感があります。
例えば、ミネベアミツミ(6479)の大幅高です。同社は2日、24年3月期の営業利益を従来の950億円に対して770億円に下方修正しました。しかし、株価は大幅高です。
ミネベアミツミは日立の子会社でパワー半導体を供給する「日立パワーデバイス」の買収を発表しました。ミネベアミツミは従前から日立パワーデバイスの前工程の製造を委託されています。垂直統合によって「統合初日から付加価値を取り込める」としています。
電気自動車等の省エネ化のキーデバイスとなるパワー半導体事業を取り込み、半導体の後工程の事業基盤を手に入れたとして、このM&Aが高く評価されました。
また、ミネベアミツミの決算発表資料には、来年度に当たる25年3月期の「営業利益イメージ」が掲載されています。
25年3月期「営業利益イメージ」(ミネベアミツミ)
ベアリング +130~170億円
モーター +90~110億円
アクセス(自動車)+90~110億円
半導体 +70~90億円
データセンター市場の回復、自動車市場の完全回復、日立パワーデバイスの買収効果等が、25年3月期の増益効果として掲げられています。
日立パワーデバイスの事業規模は公表されていませんが、25年3月期には500億円規模の売上貢献が想定されます。M&Aによって25年3月期の業績向上を描きやすくなったことで、本日のミネベアミツミ株は急騰したと考えられます。24年3月期の利益が下方修正されても、25年3月期の利益見通しが上がれば、株は買いだと投資家が判断したのでしょう。
当面の企業業績は、中国経済や米国経済の不透明感を背景に警戒感が高まっています。冷静に考えれば、25年3月期の事業環境が必ず良くなるとの保証はないのですが、米国金利のピークアウトを背に経済が回復していくとの考え方が基本のようです。自助努力で25年3月期の業績の伸びを開拓する企業が、株式市場では人気化します。
11月6日午後3時10分記