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FRB利上げ打ち止め説――10月雇用統計で確認へ・賃金上昇率の"4%割れ"は実現するか?」

 

 

 

11月2日の日本株は上昇しました。FOMC後のパウエル議長の会見内容を受けて、利上げの打ち止め感が強まりました。米国10年債利回りは、時間外取引において4.7%台前半での取引となっています。2週間前の約5%に対して、0.3%P近く低下しています。米国で「金利低下・株高」となり、日本でも主力株に買いが先行しました。

 

 

パウエル議長は「米国長期金利上昇は経済活動の重荷になる。住宅ローン金利が8%まで上昇すると、住宅市場に大きな影響を与える」との趣旨の発言をしたそうです。金利上昇が景気面に与える悪影響を述べています。「高金利が景気面に与える悪影響」に対する配慮を読み取ることも可能でしょう。そのあたりが利上げ打ち止め感を高めたと考えます。

 

 

ただ、今後の金融政策は「データ次第」です。雇用・賃金・求人に関するデータを確認しながら「利上げ打ち止め説」が正しいのか、検証する段階に入ります。

 

 

労働省が1日発表した「9月の企業の求人・採用調査」(JOLTS)では、求人数は前月比でほぼ横ばいでした。

 

米国の求人件数(万人)

41032

5961

6916

7892

8949

9955

 

 

米国の求人件数は、4月から7月までは明確な減少トレンドを見せました。しかし、8月。9月と持ち直しています。求人件数は劇的に減っている訳ではありません。求人意欲が強ければ、賃金はより上がります。

 

 

3日には10月雇用統計が発表されます。賃金動向が焦点です。

 

 

米国民間企業平均時給(ドル、前年比)

5月 33.45(+4.33%)

6月 33.60(+4.41%)

7月 33.73(+4.33%)

8月 33.81(+4.25%)

9月 33.88(+4.15%)

 

 

民間企業の賃金上昇率は、6月の4.4%台が7月は4.3%台。8月は4.2%台、9月は4.1%へ、毎月0.1%Pほどのペースで低下しています。このデータを見て、パウエル議長は1日に「賃金の伸びには緩和の兆しがみられる」と発言したのでしょう。10月の賃金上昇率が4%を割るような状況になるか、注目されます。

 

 

あるエコノミストによると、米国の物価上昇率2%を目標とするなら、最終的に賃金上昇率は3%前後に低下する必要性があるとのことでした。4%を超える賃金上昇率が続くならば、物価上昇率は政策目標までは低下してこないのですね。FRBの政策目標の「2%」が適切なのどうかの議論はありますが、それはまた別の話でしょう。

 

11月2日午後3時10分記

 

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