「ドル円相場、151円70銭台に急伸」
「日本の長期金利上昇→円安加速」
「米国10年債利回りは4.8%台で小動き」
「米国株は小幅高」
10月31日の米国株は上昇しました。上昇率はNYダウが0.3%、ナスダック指数0.4%でした。
日本の長期金利が0.95%超まで上昇したことで、米国債にどのような影響を与えるか、注目されます。日本の機関投資家が国内債券運用で年間1%の利回りを得られるなら、外国債券を売却して国内債券の運用比率を高めることも考えられます。
31日の米国10年債利回りは4.8%台の落ち着いた推移となりました。日本の金融政策修正の影響は限定的でした。株価も総じて静かな動きです。「FOMCを控えて見送り」と表現されます。
為替相場ではドル高円安が加速しています。151円70銭台までドル高が進行しました。日銀の政策決定会合直後の動きなので「日銀の緩和的姿勢の継続」をドル高円安の要因と捉える報道が多いようです。
しかし、「日本の長期金利急上昇」のとともに「円急落」が生じているのですから、この因果関係を直視しなければなりません。米国長期金利が4.8%台の小動きに対して、日本の長期金利は急上昇です。金利差がマーケット材料ならば、金利差が縮小して円高になるはずです。でも、強烈な円安です。
国債が売られて通貨が売られているのですから「日本の信任」への警戒感を意識します。以下のような警戒感・疑問がマーケットにあると考えます。
- 日銀が再び政策修正。従前は長期金利1%を「厳格に抑制する上限」としたが、「目途」に変更。厳格抑制水準は設定せずにその都度の対応となり、政策動向が読みにくくなった。
- 日銀の政策目標は持続的で健全な物価上昇。しかし、為替相場の円安によって悪性の物価上昇が警戒されるため、長期金利の一段の上昇を許容し、円安を食い止めようとしている。物価の上昇を目指しているのか、上昇抑制を目指しているのか、よくわからない。
- 賃金の上昇は今後の政策遂行の重要な焦点になると思われる。賃金上昇は企業や政府の仕事。あくまでも物価に照準を合わせるべきではないか。
- 物価高対策として政府が財政支出を拡大する。「持続的な物価上昇」を目指す中で「物価高対策」を行い、結果として「財政支出拡大による物価高加速」がもたらされる。政策の一貫性がないのではないか。
- 現実的に金利大幅上昇下での通貨下落加速が見られている。ならば、日銀の長期金利上昇容認は通貨下落加速要因となってしまうのではないか。
- 日本の金利の安定は、日本人が銀行や郵便貯金に預けている資金がもたらしてきた。政府が運用立国を目指す中で、資金が株式やリスク資産に大規模に移動すれば、金利安定の前提が崩れるのではないか。
「10月の為替介入なし」も円安を加速させました。極めて難しい政策遂行が求められています。
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米国の民間調査機関コンファレンス・ボードは31日、10月の消費者信頼感指数を発表しました。
10月消費者信頼感指数
総合102.6(-1.7)
現状143.1(-3.1)
先行き75.6(-0.8)
発表元の説明を以下に引用します。
「消費者信頼感は3ヵ月連続の低下となった。消費者が引き続き物価全般、特に食料品とガソリン価格の上昇に困っている。また、政治情勢や金利上昇への懸念も示された。最近の中東情勢の混乱の中で、戦争への懸念も高まった。消費マインドの低下は、35歳以上の世帯主全体に見られ、特定の所得層に限定されていない」
「現状に対する評価は、景況に対する楽観的な見方後退が要因だ。しかし。雇用に対する評価は安定している。雇用について、9月と比較して「仕事は豊富」と答えた消費者が減少したが「仕事を得るのは難しい」と答えた消費者も減少した」
「家計状況は"良い"と答えた人が増加し、"悪い"と答えた人は不変。インフレが高進する中で、消費者の家計が依然として活況である」
11月1日午前5時40分記