「5日の米国株は小幅安」
「原油価格1週間余で13%下落」
「9月の人員削減計画、8月比37%減」
「前週に信託銀行が3678億円売り越し=年金の売りか?」
10月5日の米国株は小幅安でした。下落率は、NYダウが0.03%、ナスダック指数は0.12%でした。
10年債利回りは4.71%(-0.02%P)と小幅低下。原油価格は続落し、82ドル台となりました。原油価格は9月27日に付けた高値95ドルに対して、1週間余で13.5%も下げています。原油価格の短期大幅安は、マーケットが高インフレ持続というよりも、「その先の景気悪化への警戒感」を反映しています。
☆
チャレンジャー社は5日、米国内企業による9月の人員削減計画数を発表しました。以下に時系列で示します。
米国内企業人員削減計画数(チャレンジャー社、人)
6月40,709
7月23,697
8月75,151
9月47,457
9月の削減計画数は、8月と比べて37%減少しました。雇用の強さを示すデータです。マーケットへの影響は限定的でした。6日は雇用統計の発表です。
☆
東証は5日、9月第4週(25日~29日)の投資部門別売買状況を発表しました。9月末株主の権利落ち日(28日)から、日本株の急落が始まりました。だから、9月第4週にどのセクターがどのくらい売ったのか、気になるところですね。以下に示します。
9月第4週の投資部門別売買状況
個人 5734億円買い越し
信託銀行 3678億円売り越し
海外投資家776億円売り越し
信託銀行の大幅売り越しに対して、個人が大幅買い越しです。9月第3週も個人6613億円買い越し、信託銀行3439億円の売り越しでした。
信託銀行は、年金運用資金の売買動向が反映されます。TOPIXの9月27日終値は3月末価格に対して18.7%の大幅上昇となりました。信託銀行の大幅売り越しは、ポートフォリオ上のウエートが上昇した日本株に対する利益確定売りが要因との仮説が導かれます。
先物市場の投資部門別売買状況にも大きな特徴がありました。
9月第4週の先物市場の投資日門別売買状況
(日経ラージ、日経ミニ、TOPIXラージ、TOPIXミニ合計)
海外投資家 1兆5445億円売り越し
信託銀行 9689億円買い越し
投資信託 5156億円買い越し
先物は、海外投資家の大量売りに対して、信託銀行、投資信託が大量に買いました。配当の権利落ち直後に「機関投資家は、将来に受け取る配当分を資産内容に反映させるため、"配当再投資"を行う」は期末毎に話題になります。信託銀行と投資信託の先物買いは、配当債投資の買いと見られます。
その買いに対して、海外投資家は大量売りを出しました。配当再投資の買いを海外投資家群が認識してないはずはありません。先物に対する海外投資家の大量売りは、相対取引の性格に近いもので、相場に大きな影響を与えたわけではないと考えます。
ラジオNIKKEI解説委員 鎌田伸一
(C)ラジオNIKKEI
当資料の著作権はラジオNIKKEIに帰属します
投資に関するご判断はご自身の責任において行ってください