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「日経平均予想PERは15倍割れ」

「空売り増加→株価大幅下落→中長期資金買い付け?→空売り鈍化?→買戻し?」

 

 

 

10月4日の日本株は続落しました。米国株安を受けて、日本株にも売りが先行しました。日経平均の下げ幅は一時、約700円となりました。

 

 

本日朝のこのコーナーで「空売り比率の上昇」について、お伝えしました。株価水準が下がれば、投資する価値は上がります。しかし、方向性が下になると、短期成果を追求する空売り注文がどっと押し寄せるのが日本株の特徴です。

 

 

空売り資金の回転が効く、売りから入って買い戻し、売りから入って買い戻し...。その後、低い株価水準に魅力を感じた中長期資金が徐々に入って、全体が下げにくくなる。となると、空売りで稼げなくなってきたので、空売りの勢いが徐々に鈍る。その後、短期的な買い戻しによって上昇場面が訪れる、そんな動きを繰り返すのが日本株です。

 

 

本日、日経平均の予想PERは15倍を割りました。

 

 

日経平均31050円前後が、日経平均予想PER15倍の水準と試算されます。予想PER15倍割れは、8月25日以来のことです。9月半ばからの「日経平均と予想PERの推移」を時系列で示します。

 

 

     日経平均   予想PER

9月

12日 32776円37銭15.71

13日 32706円52銭15.72

14日 33168円10銭15.91

15日 33533円09銭16.09

19日 33242円59銭16.11

20日 33023円78銭15.96

21日 32571円03銭15.80

22日 32402円41銭15.74

25日 32678円62銭15.78

26日 32315円05銭15.68

27日 32371円90銭15.73

28日 31872円52銭15.50

29日 31857円62銭15.35

10月

2日  31759円88銭15.36

3日  31237円94銭15.09

 

 

予想PER15倍は「益回り」(利益/株価=1÷15)で示すと、6.66%です。近年、日本株のPER15倍割れは特に割安な水準ではありませんが、今年は日本企業の経営改革、官民による日本企業の投資価値拡大策が図られています。その期待値は考慮すべきでしょう。

 

 

今週の2日に発表された日銀短観では、大企業全産業の予想経常利益は3.4%上方修正されています。業績見通しの方向性が上を向いていますので、こちらもPERへの反映が可能です。

 

 

日本の長期金利が0.8%に上昇しても、日本人が日本円の運用において日本株に投資する行動は、イールドスプレッド(株式益回り-債券利回り)の値に照らして悪くはないと考えます。

 

 

そこでリスクファクターにどれだけ重きを置くか、が重要になります。株式価値に直結する企業業績の下振れをどの程度意識するか、リスクファクターの捉え方で変わってきます。

 

例えば、

 

  • 米国政治家の行動が米国消費者心理を一気に悪化させる
  • 米国金利長期化で24年以降の米国経済が予想以上に落ち込む
  • 日本の金融政策が早期に引き締め型に転換する
  • 上方修正期待の一因だった円安が急な円高に転換する
  • 円安がさらに進む、日本国民の消費者心理が悪化する
  • 米国株が急落し、世界の投資家が一気に株売りを加速させる

 

 

上記のようなリスクファクターをどれくらい意識するか、で「適切な予想PER」は変化します。現状では、米国景気動向を中心にリスクファクターが強く意識されている段階です。

 

 

今週発表される米国雇用データ、来週発表される米国物価データ、あるいは米国次期下院議長の選任状況等を見て、各種リスクファクターが後退するなら、株価は戻ります。不透明要素が増すなら、株価は下げます。

 

 

事実は「株価下落」です、日経平均が9月15日の取引時間中高値に対して本日の取引時間中安値まで、12日間で10%近くも下げたこと、これが事実です。「事実」を直視すれば、下げる過程でリスクファクターが既に強く意識されてきたとの仮説も導かれます。

 

 

米国企業の9月締め決算は、10月第3週から本格化します。決算発表で企業内容の詳細がつかめると、売られにくくなります。発表前の上方が少ない時期には、経済・政治・金融政策動向への思惑によって、株価のブレが激しくなります。今来週は、ブレやすい時期です。

 

 

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