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「日本株大幅安」

「"米国金利高→海外投資家の株式比率引き下げ"を警戒」

「米国10年債債券利回り4.6%、株式投資のハードル高まる」

 

 

9月28日の日本株は下げました。9月末の配当権利落ちを受けて、朝方から売りが先行しました。一時は下げ幅が縮小する場面もありましたが、前場後半から下げ幅を拡大しました。

 

 

大口投資家が大量の株式を下値で売った時、株価は大幅安となります。今回の場合、日本企業からまとまった配当金を受け取る権利を確保した機関投資家が、グローバルポートフォリオにおける株式比率を引き下げたと考えられます。株式比率引き下げの理由は、米金利上昇でしょう。

 

 

米国金利上昇を受けて、世界のマーケットは不安定です。米国長期金利は4.6%を超えてきました。100万ドルを米国債に投じた場合、10年間合計で46万ドルの利息を受け取ることができます。株式に100万ドルを投資する場合、少なくとも10年間累計で46万ドル以上の成果を生む対象に投資しなければなりません。

 

 

米国を代表する株式にアップルがあります。現在、アップルの時価総額は約2兆6000億ドルです。現在のアップルの配当配当利回りは0.5%程度です。時価総額2兆6000億ドルの企業において、年間0.5%の配当金は年間130億ドル。10年間の累計額は1300億ドルです。

 

 

一方、米国債に2兆6000億ドルを投じると、1年間だけで約1200億ドルの利息収入になります。

 

 

アップルの時価総額が今後10年間において、継続的に上昇するとの自信が持てなければ、株式投資の理由付けが乏しくなります。私の試算では、配当水準不変として、10年後に現状比で約1兆700億ドルの時価総額増加があれば、10年後におけるアップル株投資と米国株投資のパフォーマンスが一致します。

 

 

要は、金利水準が高いので、投資する株式に求められる条件も厳しくなるということです。

 

 

例えば、現状の配当利回りが3%あり、かつ年間7%程度の利益成長が確率高く考えられる対象ならば、魅力的な株式となります。けっこう、ハードルが高いですね。

 

 

今後の米国金利は、上昇にしろ、低下にしろ、動きが激しくなれば、株価面に動揺を与えます。米国債券が今後もきつく売られて、5%を超えてくる事態になれば、企業の運営コストも上がり、株価を圧迫します。逆に、債券価格が急上昇すれば、市場参加者は今後の景況への不安の表れと捉え、「債券買い・株式売り」の圧力を受けそうです。

 

 

金利は急騰しても急落しても、株価にとってはネガティブです。今後の理想的なパターンとしては「これから1か月あたり0.2%P程度の穏やかな低下をしながら、金利水準が落ち着いてくる」ような動きでしょう。そうなれば、「ほどほどの景気、ほどほどの金利、ほどほどの株式投資リターン」の意識が戻ってくると考えられます。

 

 

日本株の場合は、国内10年債の利回りが0.75%程度です。日本人が日本株を買う動機付けは十分に残っています。しかし、日本株の売買の主体は海外投資家です。その海外投資家がグローバルポートフォリオにおける株式の比率を下げれば、当然、日本株にも売りが出ます。そこを狙っている日本人投資家も多いでしょうね。

 

9月28日午後3時20分記

 

 

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