お知らせ:

マーケットプレス

番組へのお便りはこちら

「9月配当権利落ち見据えグロース株買戻し、権利落ちの影響ないJT(12月本決算)等を意識」

 

 

9月25日の日本株は上昇しました。

 

 

TOPIXは15日高値2438Pに対して、先週22日安値まで3.4%ほど下げました。下げた場面では日本株を買う需要があります。

 

 

薬品株が上昇です。アステラス製薬は5月高値銘柄、好材料が表面化した第一三共は6月高値銘柄です。時価総額の大きい薬品株が高値を付けた後、3-4か月の休養を経た本日、買いが膨らみました。海外投資家の前向きな買いが入っているようです。

 

 

また、小売株も上昇しています。7月高値のローソン、3月高値のセブン&アイの株価上昇も、薬品株と同様な感覚でしょう。

 

 

食品株も強く、時価総額7兆円弱のJTが高値更新です。一方で大手銀行株は下げました。JTは12月本決算、メガバンクは3月本決算企業です。

 

 

JTが高く、メガバンクが下げたことから、1つのストーリーを作ることができます。それは「短期的には、今週28日の配当権利落ちの影響を受けない株の方が買われやすい」というものです。

 

 

配当の権利落ちは、完全に短期的な材料です。時間が全て解決します。しかし、株式トレーディング資金は貪欲です。投資資金の最大化を追求します。メガバンクのように「配当利回りの魅力」が指摘される銘柄は、その権利落ちで一時的にパフォーマンスが悪化する可能性があります。

 

 

ならば「同じ好配当銘柄ならば、9月配当権利落ちの影響を受けない12月本決算企業のJTの方が短期的トレーディング対象としては買いやすい」の発想が働くのです。JTは28日に権利を落としませんからね。

 

 

権利落ちを前に、銘柄選択の動きに変化が出ています。本日はTOPIXグロース株指数(高PBR銘柄群)が約1%上昇する一方、TOPIXバリュー株指数(低PBR)は横ばいでした。全く違う動きです。

 

 

バリュー株は「低PBR、低PER、高配当利回り」です。そのバリュー株の上昇によって、今月のTOPIXは33年ぶりの高値を付けました。ヘッジファンドの中には「バリュー株買い・グロース株売り」のロングショート取引を行った向きも多いでしょう。

 

 

しかし、そのロングショート取引は配当の権利落ち直後、一時的にパフォーマンスが悪化する懸念があります。材料だった配当金取得の権利がなくなってしまうからです。「バリュー株買い・グロース株売り」のポジションの解消が、銀行株売り、半導体関連株買い戻しをもたらしました。

 

 

本日の原稿では冒頭に「海外投資家の買いが継続」と書きました。ご覧の皆様からは「投資部門別売買状況では海外投資家は日本株を大幅に売り越しているではないか?何故、買い継続なのだ」とのご批判もあるかもしれません。説明します。

 

 

先週金曜日に9月第2週(11日~15日)の投資部門別売買状況が発表されました。

 

 

92週の投資部門別売買状況

(プライム市場)

海外投資家2673億円売り越し

個人   3518億円売り越し

 

合計で委託注文全体の約93%を占める海外投資家、個人が双方とも売り越しです。この週はTOPIXが高値を付けた週なので、海外投資家が実質的に売り越しているとは考えにくい状況です。この週は証券自己売買部門が7467億円の買い越しとなっています。

 

 

9月第1週と第2週の合計では、自己売買部門は1兆5286億円の巨額買い越し、海外投資家は1兆0164億円の売り越しとなっています。海外投資家の保有株が自己売買部門に異動したと考えるのが自然でしょう。

 

 

日経報道等によると、この海外投資家の動きについては「海外投資家の配当課税に対応した売買」との説明が聞かれます。海外法人から日本法人に資金を移す動きと考えられます。

 

 

配当権利分の大きい今年3月にも、海外投資家は月間で2兆2214億円の売り越しとなりました。この当時はシリコンバレー銀行の破綻で市場が荒れていた時なので、単純比較はできませんが、期末には海外投資家の売りが表面的に膨らむようです。

 

 

一時的に海外から日本国内に保有株を移したならば、逆に翌月は表面的な海外投資家が膨らみやすくなります。今年4月の海外投資家の買い越し金額は2兆2303億円と巨額でした。

 

 

一方、9月第2週の先物売買(日経平均ラージ、日経平均ミニ、TOPIX先物、TOPIX先物ミニ)を約8170億円買い越しています。総合すると、海外投資家の日本株需要は強いのでしょう。

 

9月25日午後3時20分

 

お知らせ

お知らせ一覧