「バリュー株に利益確定売り膨らむ」
「TOPIXバリュー株指数、12日間で7.5%上昇」
「8月の自動車輸出41%増加!自動車メーカーの上方修正期待高まる」
「建設機械の輸出増加も継続!」
9月20日の日本株は下げました。基本的には「ここまで大きく上昇してきたバリュー株(低PBR銘柄)に対する利益確定売りが膨らんだ」と考えています。
TOPIX構成銘柄の中の低PBR銘柄で構成する「TOPIXバリュー株指数」の19日終値は2816Pでした。8月末の2618Pに対して「12日間7.5%上昇」です。極めて高い上昇率です。一方で、高PBR銘柄で構成する「TOPIXグロース株指数」はその期間、0.5%の上昇にとどまっています。
バリュー株指数の圧倒的優位なパフォーマンスは「自動車、銀行、エネルギー、電力・ガス、繊維などの業種を軸とした低PBR銘柄の短期的大幅上昇」を示しています。FOMCの結果発表を前に上昇銘柄に利益確定売りが膨らんだ、それが本日の株安要因です。
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バリュー株の代表格である自動車株には業績上方修正期待があります。7-9月期の自動車メーカーの業績好調を裏付けるデータが公表されました。財務省が20日に発表した8月の貿易統計です。8月の自動車輸出は、1兆4305億円(前年同月比+40.9%)、台数は47万8116台(同+22.3%)です。7月分と合わせて、以下に掲載します。
世界向け自動車輸出(単位億円)
7月15904(+28.2%)
8月14305(+40.9%)
1ドル147円台のドル高円安の時期に、日本の自動車輸出が大幅に増加しています。輸出とは、日本で生産された製品が海外で販売されることです。安い日本円で生産された自動車が海外で販売されて外貨を稼いでいます。自動車メーカーの7-9月期の利益は増加しているはずです。
自動車輸出は、対米が3割以上を占めています。対米向け自動車輸出は次の通りです。
米国向け自動車輸出(単位億円)
7月5650(+34.1%)
8月5003(+51.0%)
米国向け輸出の増加が日本の自動車輸出を牽引しています。米国で日本車が好まれて購入されていることがわかります。
今年前半の安値に対して、自動車株は大幅に上昇しました。トヨタの株価が64%、ホンダが84%、日産が74%も上昇しています。自動車輸出増加が株価上昇の大きな要因でしょう。実際に7-9月期の業績好調が企業側公表情報として明らかになるまでは、自動車株の強調が続く可能性があります。
自動車以外でも、輸出好調分野を調べておくことは有効でしょう。以下に示します。
世界向け製品別輸出状況(単位 億円)
原動機
7月2682(+14.1%)
8月2225(+4.9%)
建設用・鉱山用機械
7月1654(+23.8%)
8月1596(+24.9%)
繊維機械
7月296(+15.1%)
8月257(+1.9%)
重電機器
7月1344(+12.4%)
8月1220(+12.2%)
以上のデータから、7-9月期において、三菱重工の原動機や、コマツ・日立建機の建設機械輸出増加が推測されます。意外な分野では、繊維機械の輸出増加が注目されます。「コロナ禍からの脱出→アパレル需要増加→繊維機械輸出増加」でしょうか。貿易統計は株式投資に使える実戦的データです。
「半導体等電子部品」は7月の輸出が前年同月比で増加に転じました。
半導体等電子部品
7月4419(-14.8%)
8月4831(+8.1%)
これが電子部品の出荷底打ちを示すデータなのか、注目されます。半導体等電子部品は圧倒的にアジア向けの比率が高い製品です。8月の4831億円の輸出のうち約9割に当たる4366億円をアジア向けが占めます。アジア向け輸出は前年同月比+8.4%でした。
最後に半導体製造装置について記載します。
半導体製造装置の油種t
7月2882(-26.6%)
8月2210(-36.3%)
半導体製造装置は厳しい輸出状況が続いています。日本から世界への輸出が全体としては減少している、その大きな要因が半導体製造装置の輸出減です。
9月20日午後3時10分記