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「半導体関連株けん引役に日経平均上昇」

「"バリュー株買い・グロース株売り"のポジション解消?」

「"新高値銘柄"の声を聴く――リオンが1か月ぶり新高値」

 

 

10月11日の東京株式市場では、日経平均が上昇しました。レーザーテックやアドバンテストなどの半導体関連株が買われる一方、銀行株、鉄鋼株、海運株、商社株等には売りが先行しました。

 

 

PBRの高い株が買われて、低PBR業種が下げました。「グロース株買い、バリュー株売り」です。投資家がここまで構築してきた「グロース株売り、バリュー株買い」のロングショート取引が解消された結果の売買なのかもしれません。

 

 

何故、そんな取引が盛んになったのか?――「米国金利低下」が契機でしょう。米国10年債利回りは、先週金曜日の取引時間中に付けた4.88%に対して、米国時間10日には4.61%台まで低下しました。

 

 

債券価格がボトム=債券利回りがピークを付けた可能性があります。グロース株は金利上昇に弱い。特に「低PBR是正」が強力テーマとなっている日本株は、バリュー株のパフォーマンスがグロース株を上回る可能性が高い。ならば「バリュー株買い、グロース株売り」のポジションが良い。金利上昇を1つの動機として、ここまで日本株を対象に「低PBR銘柄買い、高PBR銘柄売り」のロングショート取引を行ってきたヘッジファンドがポジション解消に動いた、そんな仮説が導かれます。

 

 

ただ、バリュー株の中でも自動車株は買われています。バリュー株にどっと売り物が膨らんでいる訳でもありません。ならば「債券売り・グロース株売り」のポジション解消もあるのでしょうか。レーザーテックの7%上昇している位置でどんどん買いが入ってきたのですから、組み合わせ売買解消の結果の注文が流れ込んでいる可能性は高いでしょう。

 

 

半導体関連株人気については、需要循環からの説明も可能です。安川電機では決算説明会において「今年度の業績鈍化の要因は半導体関連、そして来年度の半導体関連は着実に回復する」との趣旨の発言をしていました。株式市場は、産業界で起こる次に波を織り込んでいきます。来年度の半導体関連需要の本格回復があるのならば、それをマーケットは反映していくはずです。

 

 

                ☆

 

 

「新高値銘柄の声」に耳を澄ましてみましょう。補聴器大手メーカーのリオン(6823)が9月12日に付けた高値を1か月ぶりに更新してきました。4-6月期営業利益の実績が9億3300万円(前年同期比2.1倍増)です。9月14日に9月中間期営業利益を16億円(期初予想11億円)に上方修正しました。

 

 

リオンのPBRは約1.1倍、PERは約13倍、と投資尺度面はリーズナブルです。有利子負債ゼロの好財務内容なら、経営に安定感があります。高齢化が進む日本において、高齢者の生活改善に役立つ補聴器市場が安定的に拡大するとの考え方もできます。

 

 

随分前なので披露するのは申し訳ないのですが、リオンに取材に伺った時、補聴器の仕組みから教えていただきました。入ってくる音を電気信号に変換して増幅して聞きやすくする仕組みだそうです。だから、電気機器に属しています。

 

 

当時、微粒子計測技術が応用される半導体関連分野を拡大したいとの話を伺いました。4-6月期の決算短信を見ると、「微粒子計測事業」の営業利益は5億5300万円(前年同期比+61%)でした。補聴器を中心とする「医療機器事業」の営業利益3億9100万円(同2.5倍)を上回る水準でした。

 

 

時価総額は300億円弱の小型株ですが、新高値を取ってきました。小型株を含めた幅広い銘柄から有望企業を探そうとの投資家の意思が反映されています。バリュエーションが低く、成長シナリオを描ける小型株の調査も有効でしょう。

 

10月11日午後3時10分記

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