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東京証券取引所は10月11日、カーボン・クレジット市場を開設、午前に最初の取引が行われた。カーボン・クレジット市場とは二酸化炭素(CO2)排出量を取引するマーケットで、大別すると国連・政府主導のものと、民間主導のもの(ボランタリークレジット)の2つがある。今回東証の同市場は前者で、取引されるのは「J―クレジット」と呼ばれる国がCO2削減効果を認証する権利だ。後者=民間主導の市場も誕生してきているが、東証の当市場は取引対象が"標準化"されたカーボン・クレジット市場としては国内初であるという。今日の開設時点で市場参加者数は188で、これは22年9月~23年1月の実証取引時より5社増えたことになる。現在参加準備中を含めれば早晩200者に届く状態だ。
午前9時の注文受付開始を前に東証で開かれたオープニングセレモニーには、この市場に関係する経済産業省、金融庁、環境省、農林水産省という垣根を越えて複数の省庁、そして経団連から招かれたゲストが挨拶に立った。冒頭、主催者を代表し山道裕己 日本取引所グループCEOが市場開設の経緯、J―クレジット以外に今後増やす見込みのある取引対象としてGX-ETS超過削減枠などに触れた。
印象的だったのは続いて登壇した西村康稔 経済産業大臣のコメントだ。同省はこれまで排出量取引に消極的だったが、2030年度に温室効果ガス46%削減を目指す閣議決定、更にその先の2050年カーボンニュートラル実現という国際公約を踏まえ、従来抱いていた「排出量削減が産業活動を制約するのでは」という考えから「排出量削減と経済成長は両立する」に大きく舵を切り、今回のカーボン・クレジット市場開設に向けた道筋が出来たという。

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*左から登壇順に山道裕己氏(日本取引所グループCEO)、西村康稔氏(経済産業大臣)、井林辰憲氏(金融庁 内閣府副大臣)、朝日健太郎氏(環境大臣政務官)、舞立昇治氏(農林水産大臣政務官)、齊藤猛氏(日本経済団体連合会 審議員副議長・環境委員会委員長)

「マーケットプレス」では個人投資家が注目すべき点を以下にまとめた;
・個人投資家は市場取引に参加できない
→ 市場参加申込みをした法人、政府、地方公共団体又は任意団体が市場参加者。個人は不可。
・1日2回の値決め(午前/午後1回ずつの節立会取引)
→ 株式等は取引時間中いつでも売買は成立し得るが、当カーボン・クレジット市場は11時30分と15時の1日2回のみ。事前に受け付けた注文(指値のみ)を付け合せる。取引単位はCO2 1トン=1t-CO2
・取引方式はマーケットメイカー制度を採用
→ これからマーケットメイカーを募り23年11月からこの制度を試験的に導入。流動性を高めるため、マーケットメイカーはあらかじめ定められた時間帯に、一定の価格帯の範囲内で、一定量の売り買い注文を同時に出す気配提示義務を負う。またマーケットメイカーは政府保有J―クレジットを入札で取得し、マーケットメイキングに活用する。
・価格を含む取引結果の公表は1日1回・16時に行われる(東証のウェブサイト内「カーボン・クレジット市場日報」ページに掲載)
・当面は価格の絶対値より相対的な価格変動と取引量、取引参加者に注目か
・取引対象は当初J-クレジットのみだが、政府の政策動向等も踏まえJCM (二国間クレジット)、GX リーグ超過削減枠、海外ボランタリークレジット等の取扱いも順次検討されている(来年度以降)

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*左:テープカット/央・右:打鐘・・・西村康稔氏(経済産業大臣)、井林辰憲氏(金融庁 内閣府副大臣)

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