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日本証券業協会は10月18日、今年7月にインターネットで実施した有価証券を保有する個人5,000名へのアンケート調査集計結果を発表した。この調査は同協会が2006年から毎年実施しており、過去の調査結果は協会のウェブサイトで公開されている。

個別株式保有率74.5%、投資信託保有率61.7%という今回のアンケート回答者のうち、NISA口座開設者は70.1%(前年比+1.8)で、一般NISA口座開設者が51.2%(+0.3)つみたてNISA口座が29.6%(+3.4)といずれも前年より増えた。「一般」と「つみたて」の年代別口座保有率はくっきりと分かれており、「一般」は70代以上の61.6%が最も多く、最年少層の20~30代は39.2%で一番低かった一方で、「つみたて」は逆に20~30代の61.5%が最も多く、70代以上の9.8%が一番低い数字だった。また「未開設だがNISA口座開設の意向あり」は「一般」が12.1%「つみたて」が16.2%で前年より数パーセント増えたものの、まだ「口座開設の意向なし」を大幅に下回っている。7月時点で一般ニュースでも2024年1月から新NISA制度スタートが報じられていたが情報が十分に浸透していたとは言い難く、今回の調査対象者でも「制度の恒久化」「投資枠拡大」を認知していたのは半数強にとどまっている。新制度の詳細がより浸透していくのはこれからであり、1年後の調査でNISA口座開設率がどの程度増えているか注目したい。
なおNISA口座開設者3,504名の内訳の一部を抜粋すると、個人年収別では「300万円未満」が最多の41%「NISA口座開設が初めての投資」だったのが34.4%、そして95.5%が「制度変更後もNISAを継続する」と回答した。

今回の回答者5,000名のうち、NISAが始まった2014年以降に投資を始めたのが4割強の2,083名だった。投資開始年を尋ねたところ、2020年が最も多い366名、次いで2021年の331名、2022年が288名で、コロナ禍の期間に投資を開始した層が多かった
年ごとの新規投資開始者に占めるNISA口座開設率をみると、今年は84.9%(前年比+14.9)でNISA初年の2014年を除けば最高値を記録している。また全回答者に「有価証券への投資について検討したり、興味・関心をもったきっかけ」を尋ねた設問では「投資に関する税制優遇制度(NISA、つみたてNISA、確定拠出年金制度)があることを知った」が42.8%で最も多かったことも含め、NISAが投資のきっかけやトリガーになっていることが明確になっている。

一方で2つの設問からサステナブル投資関連については認知度、投資ともに前年と比べて殆ど変化がみられない、もしくはポイントが下がった。まずSDGs債については「内容を概ね知っていた」以上の認知が33.9%(前年比▼0.8%)、実際に保有しているのは0.6%(同▼0.1%)にとどまった。そしてESG投資については「知っている」が31.9%(同変わらず)、投資経験があるのは3.6%(同変わらず)で、約半数が「知らない(聞いたことがない)」と回答していた。

最後に投資教育に関する設問を取り上げたい。既に投資を始めている今回の全回答者に「証券投資に関する教育を受けた経験はあるか」と尋ねたところ、83.7%が「受けていない」と回答している。アンケート対象者(20才以上)は高校までのカリキュラムに「投資、資産運用」が含まれていない世代なので、教育課程以外で何らかの投資教育を受けたのが15%余にとどまるのは無理もないことだろう。2022年度から高校の家庭科で「資産形成」を学ぶことが必修になった。2024年中には法案が通過し「金融経済教育推進機構」が立ち上がる見通しで、そうなれば官民一体となった本格的、継続的な金融経済教育が教育現場や職場で実施されるはずで、遅れていると言われる日本における金融リテラシーの向上が一気に前進することが期待される。

※出典:日本証券業協会「個人投資家の証券投資に関する意識調査【インターネット調査】(概要)」2023年(令和5年)
 https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/toukei/kojn_isiki.html

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