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イスラエルとハマスの戦争で急反騰となった原油市況。
ハマスの背後にイランの影が見え隠れするとして
産油国を巻き込むリスクシナリオが警戒されていますが
この中東有事直前には原油価格は急落していました。

リスクプレミアムによる原油上昇はリスクが払拭されれば
元に戻る、ファンダメンタルズに回帰する、という点には
留意しておきたいところです。

原油のトレーダーらは原油(石油)市場の何に注目し
需給状況を把握しているのでしょうか。

今日は住友商事グローバルリサーチ
チーフエコノミスト 本間隆行氏を
お迎えしお話を伺いました。


 1・油種間スプレッド
 
 WTI、ブレント、ドバイ、オマーン、アジアのタピス、
 ロシアのウラルなどの原油の種類によって価格が異なりますが
 市場で最も注目されているのはブレントと WTI の関係。
 
過去、ブレントとWTIで25ドル以上もブレント高になったことが
ありますが現状では 4.5 ドル程度です。
現時点でのWTI価格が 87 ドルですので、ドバイ原油との相関が強い
北海ブレントは中東有事を折り込むなら100ドル超えとなっても
不思議ではないのですが、そうはなっていません。

2・カレンダースプレッド

ブレントの第1限月と第2限月は1.5ドル弱の現物高のバックワーデション。
戦闘開始報道直後はこの逆鞘が3ドルあまりに拡大するも足元で縮小。
ちなみにロシアのウクライナ侵攻時は7ドルまで拡大。
現状1.5ドルの逆ザヤは現物需給引き締まりへの警戒感が殆どないと言えます。

3・クラック・スプレッド

原油からガソリンや暖房油へと精製する際のコストを指します。
(原油と石油製品の先物市場でほぼ同時に
 売り買い反対のポジションを建てる取引)

原油を精製して石油製品を製造する石油精製業者は、
原油先物契約の買いに対して石油製品先物契約の売りの
クラック・スプレットを行うことで、相場変動にかかわらず
精製マージンを固定化することができるということですが、
足元のクラックは・・・・

現状では石油製品需要が弱いことが伺えます。

中東の問題も供給リスクに繋がらないとなれば
原油のリスクプレミアムが剥落することが考えられます。

原油、石油製品の需要は強くないことが
さらなるカレンダースプレッドの緩み、クラックの低下という形で
現れてくるならば原油価格は下落圧力にさらされると考えられます。

詳しくはPodcast配信で本間さんの解説をお聞きくださいね。

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