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聴く「第7回「中学生と考える『ひとの命』」(2014年3月3日放送分)」


<出演>
マスター:明石 秀親(国立国際医療研究センター)
ヨーコ:香月 よう子(フリーアナウンサー)
仲佐:仲佐 保(国立国際医療研究センター/医師)

■ オープニング

ヨーコ:お元気ですか?グローバルヘルス・カフェ、香月よう子です。

今日はマスターと一緒に、東京都新宿区立牛込第一中学校に行きました。体育館で1年生90名の生徒さんと一緒に、ひとの命について考えてきました。


■ アフリカの「命」の現状

(チャイム)

マスター:こんにちは。

ヨーコ:こんにちは。

生徒:こんにちは。

マスター:今日は、世界の健康問題とか、あるいは国際協力、どうやって開発途上国の人たちに支援をしようか、そういったことを30年以上やっている仲佐保先生に来てもらっています。
仲佐先生は、国立国際医療研究センターの国際医療協力局というところで働いていまして、1980年のカンボジア難民の支援からずっとこの世界で活躍している先生です。

ヨーコ:それでは、仲佐保さんです。

仲佐:はい、みなさんこんにちは。
今日は、「国際医療協力とひとの命」というお話をしたいと思います。今日は「百日咳」という、咳が出る病気で死んでしまった子供のお話をしたいと思います。


ホンジュラスという国ですが、ここに4年間いたんですけれども、中米、中央アメリカにある国です。ホンジュラスは田舎です。馬で通う。自給自足です。
外の様子ですが、木の家です。ここにバナナがあります。バナナが主食です。
たきぎですから、電気はないですね。バナナは揚げバナナ、とても美味しいです。でもいいのは、すぐ隣にバナナの木があって、バナナは3カ月ごとにできてくる。それを置いておく。これ採って揚げて、甘くないバナナです。
川から引き入れた水です。水道はないです。

8歳の男の子の話です。2週間前から咳が出始め、なかなかよくならなかった。
熱は少しだったが、1週間たったころから食欲が落ち始めた。亡くなる3日前からほとんど水分しか受け付けず、高熱が出始め、意識が低下し、そのまま息を引き取った。
症状が出てから亡くなるまで、病院に一度も行かず、薬も飲まなかった。
日本と何が違うでしょう? 病院に一度も行かず、そのまま死んじゃった。1週間。実はこの村には百日咳という咳で死んでしまう病気がはやっていた。

日本では病院に行きます。じゃあどんな病院か。看護師さんが座っています。薬はこれだけしかないです。これで病気が治るのでしょうか。
実は、8歳の男の子に引き続いて、お姉ちゃんたちが同じ咳をし始めたんです。

【咳の音声】


咳をずっとしていると、顔が腫れてくるんです。あと咳。「はー」苦しそうな咳。また死んでは困る。やっぱり百日咳で肺炎になって死にそうなんだとわかったので、大きな病院に連れて行きました。
「あー、よくなったなあ」と思ったら、病院に薬が無くなってしまった。「病院にないから外の薬局に行ってください」と。薬が病院にもない。外に行ってください。
そうしたらお父さんは、3人咳をしているから3人分買わなければいけない。でも1人分を買うお金しかありませんでした。日本では、お金がないので薬が買えないということはないと思います。


■ なぜ8歳の子供が亡くなったのか考える

仲佐:さて、これからなぜ8歳の子供が死んだかを話し合ってみましょう。グループで話し合って、皆さんに発表してもらいます。はい、ここのグループは?

生徒:病院に行かなかったから。

仲佐:はい、次のグループ。

生徒:ただの風邪だと思ったから。

仲佐:はい、ここのグループ。

生徒:薬を買うお金がなくて病院にも行けなかった。

仲佐:はい。

生徒:百日咳に最初になった子で、どのような症状かわからなく、何もできなかったから。

仲佐:知識がなくてわからなかった。死ぬかどうかわからなかった。はい、ここのグループは?

生徒:計画性がない親が悪かった。

仲佐:子供をたくさんつくりすぎたと。もっと考えろと。

生徒:死んでしまう病気だと思わなかったから。

仲佐:はい。

生徒:ただの風邪だと思ってそのままにしていたら、手遅れになっちゃった。

仲佐:手遅れになっちゃった。違う答えはあるかな、はい。

生徒:医者が少なかった。

仲佐:医者が少ない。看護師さんしかいない。はい、ここのグループは?

生徒:病気に関する情報が不足していた。

仲佐:具体的には、情報ってどういう情報?

生徒:百日咳とかそういうことです。

仲佐:百日咳がどういう病気か、そういうのをみんなが知らなかった。そういう情報を、日本だったらいろんなところから先生とかが教えてくれますね。はい。

生徒:お金が無かったから。

仲佐:お金が無かったから。そうね、お金も無いのも。ここ。

生徒:病院の数が少なかったから。

仲佐:病院の数が少なかったから。

ねえ、みなさん、いろいろなことが出ましたけれど、ほかにはどうですか?

生徒:これまでかかったことがない病気で、びっくりしていた。

仲佐:動揺した。はい。

生徒:病院の設備が悪いから。

仲佐:はい。いろんな理由が考えられます。この百日咳のケースでは、みなさんが答えてもらったとおりです。
医療施設に行けない、実は遠いってのもあります。それとか、教育を受けてないがために知らない。百日咳予防接種を受けていない。実はみなさん、百日咳の予防接種をちっちゃいときに受けています。ただで受ける。実はホンジュラスもただで受けられるんですけれども、この子は行っていなかった。
それとか、医療施設、十分な薬がない。あと、衛生環境も悪いということも大きな問題。で、経済的な。1人の子供が死ぬ。いろんな理由が、医療だけでない、経済というお金のこと、いろんなことがあって、起きているのが実態です。
実はそのために、ホンジュラスへ医療のプレゼントをやっていました。どんなことをやったかというと、1つは薬を病院や保健センターというところにしっかり届けましょうということをやりました。それと、看護師さん、医療や衛生の情報をいろんなところへ伝える人たちの教育をしましょう、トレーニングをしました。
それと、村の健康推進をやった。村の人たちにいろんな病気になったら、百日咳になったら死んでしまうからちゃんと行きましょう。それとか、予防接種を受けましょうということをみんなに知らせるお仕事です。
そういうことを支援したり、あと実際に病気になった後、病院の産科や小児科の先生たちをよくするということをしました。こういうことをして、少しでもこういう途上国でよくなることを考えています。

1歳までに子供が死ぬ数、日本は千人中2人です。アフリカではいまはだいぶよくなって、千人生まれて96人、10人生まれて1人。では、なぜ死ぬのか。開発途上国では50%くらいの人たちが医療を受けることができない。実は、世界の目標のなかで、8つを目標にしていま頑張ってます。
1つは、貧困ではないようにしましょう。みんながもう少しお金を持てるようにしましょう。実は、1人1ドル以上にしようという、1日1ドル以上、100円以上は収入を持ちましょうということを頑張っています。みんな、お小遣いいくらかわかりませんけれど、それすらできない国が多いです。それと、教育をちゃんとしましょう。男女平等になりましょう。子供が死なないようにしましょう。お母さんも死なないようにしましょう。いろいろな感染症、百日咳とかエイズで死なないようにしましょう、というこのような目標を持ち、世界中でこれをなんとかするために頑張っています。

みなさん、今日の最後になりますけれど、ぜひこれからは、日本にいますけれど、いろんなことを知ってもらいたいと思います。いろんな多くの物を見てください。
もう1つは、いろんな人に会ってください。自分の嫌いな人としゃべってください。嫌いな人のほうがいやだけど、しゃべることは、いろんなものが生まれてきます。いろんな話を聞いて、できるだけ大きな話をしてください。そうすることによって、やはり世界が広がります。
今日のお話のなかでも簡単に死んでしまうことが、ただそれにはいろんな原因があります。そういうことをみなさんも考えていただく。考えて、少しでも広げていただければと思います。それではこれで今日のお話を終わりたいと思います。

(拍手)

(チャイム)


■ 「ひとの命を守る仕事がしたい」...生徒の感想より

ヨーコ:東京都新宿区立牛込第一中学校1年生の生徒さんたち、マスター、いろんな意見や考えを熱心に話し合っていましたよね。

マスター:そうですね。

ヨーコ:感想をいただいています。ご紹介しましょう。
近藤起院さん、「考えたことは自分たちが頑張らないと、ということです。自分たちは自分たちでできることとして募金などに取り組み、でもやっぱり恵まれた環境で生きていけるのだから自分たちのやりたいことをやり、正しく生きなきゃ、と思いました。なので、いまを一生懸命生きていきたいなと思いました」。

マスター:素晴らしい、ありがとうございます。さんです。「『自分の世界を広げてください』がとても印象に残りました」。

ヨーコ:なるほど。そして、OKさん「僕はいままで病気になったら病院へ行き、お薬をもらって治してもらえるけれど、開発途上国の人たちは病院へ行っても薬がなかったり、お金がなく薬が買えなくて苦しんでいる人がいっぱいいることがわかりました」。

マスター:そこですね。りょ~ぺ~君。「アフリカの子供が死ぬ理由がたくさんあったので、日本は本当に恵まれていると思いました。人間は簡単に死んでしまうことがわかりました」。

ヨーコ:はい。そしてバトミントンさん「この授業を聴いて、こういう仕事もあるんだなと思いました」。

マスター:ぜひ就いてください。けんだまんず君。「日本での当たり前と開発途上国の方たちの当たり前とは違うということがわかりました」。

ヨーコ:違いますね。そして、星光太郎さん。「今日の話を聴いて、やっぱり僕の夢はひとの命を守る仕事がしたい」。

マスターヨーコ:素晴らしい。

マスター:ぜひ就いてください。イデミツアキラ君。「誰でも協力しないといけないなと思いました。私の学校生活にも協力は欠かせません。協力とは、人と人とが情報を共有し、助け合うことだと思いました」。

ヨーコ:自分のこととして考えてくれましたね。

マスター:ありがたいですね。

ヨーコ:ほかにもたくさん感想をいただいて、うれしいですよね。

マスター:ほんとに。

ヨーコ:ご紹介しきれなくて本当にごめんなさい。牛込第一中学校のみなさん、ありがとうございました。

マスター:ありがとうございました。



ヨーコ:いかがでしたか?グローバルヘルス・カフェ。

今回は東京都新宿区立牛込第一中学校1年生の皆さんと、ひとの命について考えました。

お相手は、香月よう子でした。それではまたお会いしましょう。

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