お知らせ:

実践!Let's Read the Nikkei in English

番組へのお便りはこちら

8月27日『THE NIKKEI WEEKLY』Readers Workshop (P.28)
政府が導入を計画する社会保障と税の共通番号(マイナンバー)制度について
Proposed 'My Number' ID system promises benefits, stirs privacy fears

― キーワード、時事関連英語 ――

stir fears   懸念を呼ぶ、不安をあおる
identification    識別、身分証明
unified management    一元管理
personal data    個人情報
tax payment    納税、税の支払い
social security   社会保障
pension   年金
health care   医療
nursing care   介護
bill    法案
reach a consensus with...    ~との合意に達する
be likely to pass    (法案が)通過する見込みである
push something to the back burner    ~を棚上げにする、~を後回しにする
at any rate    いずれにしても、とにかく
consumption tax   消費税(率)
clear the Diet   国会を通過する
pave the way for...   ~への道を開く
inflict pain    苦痛を与える
cushion the impact    衝撃を和らげる、影響をおさえる
earned-income tax credit    給付付き税額控除
a prerequisite for...   ~の前提条件、~の必要条件
fine-tune    微調整する
streamline    合理化する、簡略化する
cumbersome    面倒な、煩わしい
tax return    税申告
unemployment insurance    失業保険
SSN (social security number)    社会保障番号
taxation    課税
overlap    重複
checkup     検査、健康診断
prescription   処方箋、処方薬
smart card   スマートカード、ICカード
deem    見なす
bank account   銀行口座
administrative entity    行政機関
CIO (chief information officer)    最高情報責任者
with minister-level authority   閣僚級の権限を持った
privacy infringement    プライバシー侵害
vehement opposition    猛烈な反対
antipathy     反感
premium payment record    保険料支払い記録

misgivings    懸念、心配
playbook    計画、脚本
be averse to...     ~を嫌がる
assign     割り当てる
resident registration number    住民登録番号
encrypted     暗号化された
be barred from...     ~することを禁止される
be confined to...     ~に限定される

Earned-income tax credit   給付付き税額控除 
regressive   逆進性の、逆累進の
tax refund   税還付
cash payout   現金給付
real property   不動産
financial asset   金融資産

Government CIO  政府CIO(政府情報化統括責任者)
oversee     監督する
ministerial secretariat   官房
spearhead    陣頭指揮を執る
consolidation   統合
beef up   強化する



<使える英語>
『使える英語』を例文つきで紹介しています。

be likely to do   ~しそうである、~する見込みがある
If you have a great business idea, good connections and plenty of perseverance,
you are likely to succeed.
もしあなたにすばらしい事業案、良い人間関係(コネ)と十分な忍耐力があれば成功する見込みがあります。

play a (key) role in ...  ~で(重要な)役割を果たす.
Wanting to spend more time with his family played a key role in Mr. Nelson's decision to switch careers.
家族ともっと多くの時間を過ごしたいという願いが、ネルソン氏の職を変える決意に重要な役割を果たしました。

a prerequisite for ...  ~の前提(必須)条件
A bachelor's degree is normally a prerequisite for a master's degree.
通常、学士号は修士号をとる前提条件です。

fine-tune ...  ~を微調整する
Kate has mostly finished redoing her resumé but needs to spend a bit more
time fine-tuning it.
ケイトは自分の履歴書を書き直すのをほぼ終えましたが、でもそれを微調整することにもう少し時間をかける必要があります。

streamline ...  簡素化する、合理化する
The factory was able to streamline production by automating many of its assembly tasks.
その工場は組み立て作業の多くを自動化することによって生産を合理化することができました。

(be) loaded with ...  ~を搭載して(いる)、~を入れて(いる)
Company A's new smartphone app is both easy to use and loaded with new features, such as the ability to monitor home security surveillance cameras.
A社の新しいスマートフォン用のアプリは、使いやすいだけでなく、家庭用監視カメラをモニターできるなどの新機能を搭載しています。

keep track of ...  ~を追跡する、~を憶えている、~の経過を追う
It's hard for me mentally to keep track of people's names when I attend large social gatherings. And so, just after meeting a new person, I usually jot down their name with a brief description in a small notebook to review later.
大きな会合に出席する時、人の名前を暗記していることが私には難しいのです。それで、初対面の方にお会いした直後には、あとから見直すために小さな手帳に簡潔な記述と共に彼らの名前をいつも書き留めています。




☆今週は、THE NIKKEI WEEKLY の書き下ろし記事です。下記に日本語要約を掲載いたします。詳細や正式名称などは、日本経済新聞社の関連報道でご確認ください。

マイナンバー制度、国民に利益、でもプライバシー保護は大丈夫?

Q: 「マイナンバー」という言葉を最近よく耳にします。どんな番号なのですか。

A: マイナンバーは政府が導入を考えている個人認識の仕組みです。国民の一人ひとりに固有の番号を割り当て、年金の給付や社会保険料支払いなどの手続きに利用するものです。

マイナンバー(My Number)とは、社会保障と税の共通番号(Social Secirity and Tax Number)のことで、国民一人ひとりに独自の番号を割り当てて、納税実績や年金、医療、介護などの社会保障のサービス利用状況を一元管理する制度に使われるものです。米国のsocial security numberに似たものと考えてよいでしょう。

2015年1月からの運用を目指しており、今の国会でマイナンバー法案が審議されており、与党の民主党は2015年1月からの運用開始を目指しています。すでに民主党と野党の自民党、公明党との間で法案については合意ができており、成立の可能性が高いのですが、他の法案の審議のために棚上げ状態になっています。

この予定されている個人識別の仕組みは、別の政治の動きに大きく関わっています。それは消費税率の引き上げです。

8月10日に社会保障と税の一体改革関連法(comprehensive reform of social security and tax law)が成立し、2014年4月から消費税率は8%に、さらに2015年10月には10%となることが決まりました。

消費税率引き上げは低所得者とって痛みを伴うため、その対策として政府は給付付き税額控除の導入を検討しています。マイナンバーは給付付き税額控除を導入する際の前提となるものです。

この制度の導入によって、個人の所得や納税額を正確に把握できるようになれば、それに見合ったきめ細かな社会保障給付が可能になるためです。

また、この仕組みにより、年金や失業保険の受給手続きといった煩雑な事務作業を一つの番号を通じて管理することで簡略化もできることになります。

ここまでなら米国のsocial security numberと同じと考えてよいのですが、日本のマイナンバー制度は税務や社会保障以外にも使うことを想定しています。そのひとつが医療や介護サービスでの利用です。過去の履歴を把握することで検査や投薬、サービスの重複を減らすことができるようになります。

もうひとつが個人認証の仕組みです。法案では個人認証できるICチップを搭載したカードを配布することになっています。

一方で米国のsocial security numberには個人認証の仕組みはありません。米国で銀行口座を開く場合は、social security numberだけでは個人の特定ができないため、運転免許証など個人が特定できる別のものが必要です。

政府はマイナンバー制度を通じて、年金や社会保障だけでなく様々な行政サービスの通知を送信する機能も盛り込む予定で、行政機関をネットワークで結んで効率化を目指す電子政府(e-Government)を推進する考えです。

政府は各府省の情報投資を効率化するため、情報システム刷新などを統括する閣僚級の政府最高情報責任者(chief information officer =CIO=)を任命しています。

ハイテクや効率化と、ここまではいいことばかりのようですが、マイナンバー制度にも問題はあります。そのなかで最大のものは、行政の個人情報管理体制に対する国民の不信感やプライバシーの侵害です。政府は、過去に何度もID番号制度の導入を試みながら国民からの反対で実現できませんでした。

しかし、国民のアレルギーも以前ほどではなくなっています。数年前、社会保険庁が多くの公的年金の個人記録がずさんだったために個人の特定ができなくなるという、いわゆる「消えた年金」の問題が起き、国民のなかにもより良いシステムが必要との認識が広まったからです。

もっとも、まだ個人情報流出の不安は残ります。そうしたなか、政府が参考にしているのがオーストリアの制度です。

オーストリアは1938年にナチス・ドイツの侵攻を受けた経緯から、国が個人情報を扱うことへの抵抗感が強い国です。このためID番号導入時に個人情報が漏れたり、悪用したりできないような仕組み作りに細心の注意を払いました。

具体的には、政府は氏名、性別、生年月日などの情報を管理するために国民一人ひとりに住民登録番号をつける一方で、税務、社会保障、教育など行政分野ごとに異なる番号を付与するというものです。

政府が発行する暗号化したIDを通じて個人は各分野の情報にアクセスできます。しかし、行政機関は互いに情報をやり取りできないようにしています。

国によって、国民の情報をどのように、またどの程度追跡するのかは様々です。米国や英国は住民登録の制度がなく、社会保障番号を行政サービスの基本番号として、税務にも活用しています。

2009年から番号制度を導入したドイツは納税に使途を限定しています。フランスは社会保障番号はあるものの、税務には使われていません。

一方で、韓国やスウェーデンのように、税務、社会保障、住民登録から教育、兵役まで幅広く共通番号が使われている例もあります。


キーワード1
給付付き税額控除
政府は消費増税後の負担軽減のために導入を検討している税金の控除。消費増税は低所得者は高所得者に比べて負担が重くなる逆進性を持っている。対策として政府が導入を検討している。仕組みとしては、一定の所得以下の世帯に増税分の一部を還付したり、現金を給付したりするものとなる。
検討中のマイナンバー制度は不動産や金融資産の正確な把握は難しいとされており、所得が少ない資産家らも「低所得層」として現金支給などの対象になりかねないとの指摘もある。
政府が想定する番号制度の導入は2015年1月であるため、消費税率引き上げの第1段階である14年4月には間に合わない。

キーワード2
政府CIO
政府は8月10日、元リコー副社長(former corporate executive vice president of Ricoh Co.)の遠藤紘一(Koichi Endo)氏=68=を政府CIOに起用すると発表した。政府CIOは各府省のCIOを束ね、府省をまたいだ総合的な調整を担う。
政府内では各府省にCIOを置き、多くは官房長が兼務している。
政府CIOは、各府省がばらばらに持つ情報システムを集約する「政府共通プラットフォーム整備計画」を主導。設備や基盤を統一したり共同利用したりして運用費を抑える。マイナンバー制度に必要なシステムを調整するとともに、個人情報の流出がないようセキュリティ面の強化も担当する。


解説のTHE NIKKEI WEEKLY紙面担当部長の柴山重久さんと多田記子さん


お知らせ

お知らせ一覧