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競馬が好きだ!

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おとといで蛯名正義騎手が引退しました。また一人、私の青春時代から見続けたホースマンが一つの区切りを迎えます。騎手でなくなるのは寂しいです。

蛯名騎手の馬券を買って大儲けした!という思い出は残念ながらないのですが、これまで跨った名馬たちを改めて見返すと、当時の興奮がよみがえります。

1987年のデビューではありますが、GI初制覇は1996年の天皇賞・秋。意外にも、長い間GIに縁がありませんでした。バブルガムフェローがサクラローレル、マヤノトップガン、マーベラスサンデーの3強を抑え、何と4歳(現在の3歳)での勝利したのにはとても驚きました。バブルガムフェローはデビュー当時からかなりの期待を集めていましたが、故障によって春のクラシックには出走できず。前哨戦の毎日王冠でも敗れ、さすがにこのメンバーでは厳しいだろうと思っていました。それだけに、抜け出した時はやはり恐ろしい馬だったんだと衝撃を受けました。それも蛯名騎手の騎乗があってこそだったのですね。

その前の1995年には、幻の(?)GI制覇と言えそうな瞬間もありました。ステージチャンプがハナ差の2着に泣いた天皇賞・春。復活をかけて早めに先頭に立ったライスシャワーに、猛然と追い込むステージチャンプ。ゴール前の勢いでは完全にライスシャワーを上回っていました。そこで飛び出た蛯名騎手のガッツポーズ。私の見た限り、当時の中継映像では、どのテレビもゴール後はライスシャワーにクローズアップしていたため、蛯名騎手がガッツポーズをしている様子は映っていませんでした。蛯名騎手個人としては、映像に残っていなくて良かったと思っているかもしれませんね。

それは推測の域を超えませんが、やはりその出来事は本人の中にも引っかかっていたようです。1999年、今度はウメノファイバーに騎乗しハナ差で差し切ったオークスの勝利騎手インタビューで、「勝ったと思ったんですけど、写真(判定)だったんで、またちょっと嫌な予感がしたんですけど、届いてました(笑)」と場内を沸かせていました。

同じ99年にはエルコンドルパサーで凱旋門賞に挑戦。当時、海外競馬の映像をリアルタイムで見るのが簡単ではなかった時代で、私もラジオでエルコンドルパサーを応援していました。最後の直線で先頭に立った時、「凱旋門賞目の前だ!」とラジオから聞こえる実況を耳にして、ついにやったかと束の間の歓びに浸ったことを思い出します。しかし、蛯名騎手は凱旋門賞で2度の2着。今のところ日本人騎手としては凱旋門賞での最高着順ですから、これからもファンの胸に刻まれるでしょう。

中山競馬場での引退式で、印象に残ったレースを聞かれ、蛯名騎手はマンハッタンカフェで6着に敗れた日経賞を挙げていました。断然人気で敗れ、「抜け殻のようになった」とのこと。ファンの気持ちからすれば、勝ったレースを挙げればいいのにと思いますが、そこはプロの勝負師。失敗と向き合って努力した30余年だったからこそ、飛び出したエピソードなのでしょう。ひと味違います。

今回の写真はその引退式です。スタンドから撮ったので遠くてすみません。雰囲気だけでも感じてください。

さて、今日の「競馬が好きだ!」は地方競馬の話題。4日(木)に川崎競馬場で行われるエンプレス杯の展望などをお送りします。お楽しみに!


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