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4月24日の「アサザイ 今日の1社」は、西華産業(8061・東証プライム)を放送しました。

今回は、代表取締役社長 櫻井 昭彦 様にお越しいただき、事業内容や長期経営ビジョン、中期経営計画等についてお話を伺いました。

 

井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

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取材後記

西華産業(8061)(東証プライム市場)

ラジオNIKKEIにて収録

お相手は、代表取締役社長 の 櫻井 昭彦 (さくらい あきひこ)様

 

「上方修正期待を含む『VIORB 2030』」

 

会社設立が1947年、上場されたのが1961年であり、今年で設立から77年、上場63年という長い歴史を持つ。

機械の総合商社として知られているが、各種プラント、機械装置・機器類、環境保全設備、電子情報システム機器など、あらゆる産業界で必要とする諸機械、設備の販売および輸出入を主な事業としており、東京に本社を置き、大阪支社、福岡支店など国内29拠点を構え、海外にも台北支店、ソウル支店など3拠点を持ち、グループとしては、国内11社、99拠点、海外は16社、26拠点の合計125拠点で事業を行っている。

 

 事業を3つに大別すると、火力・原子力・再エネ等エネルギー発電関連設備等の「エネルギー事業」、機能性素材・食品飲料等生産設備、プラント機器等の「産業機械事業」、そして、要素機械、自動化装置、半導体、特殊計測等関連製品等の「プロダクト事業」となる。

 

 個別に説明すると、「エネルギー事業」は火力・原子力・水力・バイオマスなど国内発電所向け関連設備の販売を行うとともに、各発電所・プラントの定期検査やアフターメンテナンスを実施しており、昨年より新たに原子力発電事業に着手した。これは、三菱重工業の発電設備販売代理店としての永年の実績から得られた顧客との信頼関係、人的関係から受託したものである。

 

その三菱重工は、現在原子力発電について、「原子力は確立したカーボンフリーかつ大規模・安定電源であり、安全性の確保を大前提に将来に亘って原子力の活用が必須」と認識しており、既設プラントの再稼働・特重設置、再稼働後の安全安定運転の実現/継続的安全性向上、世界最高水準の安全性を実現する革新軽水炉「SRZ-1200」の開発・実用化、将来炉と呼ばれる小型炉・高温ガス炉・高速炉・マイクロ炉、及び夢のエネルギー源である核融合炉の開発を推進するとしている。

 

西華産業が具体的に事業としてカバーするのは、関西、四国、九州の計12基のPWR型(原子炉内の圧力を高めて原子炉内の冷却水を沸騰させない加圧水型軽水炉)であり、主業務として法令に基づく13カ月ごとの定期点検や保守業務を行う。また、運転期間延長に伴う主要機器の更新商談や、燃料リサイクル関連商談(乾式キャスクなど)へ取り組むとともに、将来に向けた次世代革新炉の建設商談に期待しているという。

 

次の「産業機械事業」は、繊維、フィルム、食品・飲料などの幅広い一般産業向けの各種設備・設備等の販売に加え、工場プロセスの自動化・省エネ、省人化に向けた設備等の販売を行っている。ここにおいては、業界ごとに異なる最適な自動化・省資源化設備の提案に加え、ロボット等を活用したDX化の推進も提案しているという。当然、環境への配慮も必要だ。同社はサーキュラーエコノミー(製品、素材、資源の価値を可能な限り長く保全・維持し、廃棄物の発生を最小限化する経済システムで、循環経済とも呼ばれる)として、新たな技術・商材を発掘し、繊維・プラスチックを軸とした資源のリサイクル・リユースビジネスを提案している。

 

そして、「プロダクト事業」は、船舶用エンジン、各種バルブ、プラント設備点検、計測機器、水中ポンプなどの事業であり、製品競争力・サプライチェーンの強化を中期経営計画でも謳っている。海外市場も含め強い商材の発掘、半導体事業の強化、技術優位性確保のための開発、欧州のインフラプロジェクトに対応した営業強化など、グループを挙げて取り組んでいる。

 

同社は、長期経営ビジョン「VIORB 2030」を定めており、そのPhase1として、現在、2026年度を最終年度とした「VIORB2030 Phase1」という中期経営計画を推進しているが、最終年度の計数目標35億円という最終利益の目標を、どうやらこの20243月期でクリアしそうである。というのは、既に11月と3月に上方修正を発表し、その予想金額が42億円となっているからである。この42億円という最終利益の金額は、「VIORB 2030」の最終年度の計画値45億円に極めて近いものであり、この「VIORB 2030」の上方修正さえも、今後期待できるレベルにあるといえる。

 

同社の強みは、「大手取引先との強固な信頼関係をベースとしたトレーディング」、「ニッチで競争力の高い独自製品の展開」、「多様なメーカーとの取引を活かした幅広い業種への商品提案力」の3つにあると語られたが、エネルギー事業をベースとする事業基盤の強化、戦略的事業投資で新たな商権・商材の開拓という営業戦略を採るとともに、成長性を見極めたうえで、選択と集中、資産の入替えという事業ポートフォリオの再構築を今後図ると加えられた。

 

 昨年、東証の要請もあり、PBR1倍割れの企業の多くが、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取組みを発表したが、同社もその1社であり、この方針の発表により、市場の評価が高まり、株価は大きく上昇した。それでも、現在のPER、予想配当利回りをみると、市場との相対比較で、依然割安感がある。上記した昨年からの原子力発電事業はストック収益事業と考えられる。「VIORB 2030」最終利益の上方修正がされた場合、再度、バリュエーションの見直しが行われる可能性もある。

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取材後記は以上です。いかがでしたか。

本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております。

それでは来週もお楽しみに!

 

(関連ウェブ)

■西華産業 IRサイト https://www.seika.com/ir/

 

代表取締役社長 櫻井 昭彦 様と

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