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朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

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4月19日の「アサザイ 今日の1社」は、ETSホールディングス(1789・東証スタンダード)を放送しました。

 

今回は、代表取締役社長 加藤 慎章 様にお越しいただき、事業内容、強みや差別化、成長戦略等についてお話を伺いました。

 

井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

 

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ETSホールディングス(1789)(東証スタンダード市場)

ラジオNIKKEIにて収録

お相手は、代表取締役社長の 加藤 慎章(かとう のりあき)様

 

「国家プロジェクトの受注」

 

▼「電力事業」、「設備事業」、「再生可能エネルギー事業」の3本柱

「この街に、あかりを灯すのは私達!」、「私達は建設業界を通じて社会に貢献する企業を目指す」を経営理念として標榜する、今年、創業101周年を迎えた企業で、「電力事業」、「設備事業」、「再生可能エネルギー事業」の3本柱を軸に事業が構成されている。

 

まず、「電力事業」について説明すると、発電所で作られた電気を家庭や工場に届けるためには、当然、送電線が不可欠であるが、同社はその送電鉄塔の建設・保守、送電線の張替え等の工事を行っている。この事業は、電力会社との直接契約により行われるが、同社は特に東北エリアに強く、また東京・中部・関西の電力エリアもカバーしており、さらに子会社を通じて、中国・四国電力からも受注していることから、その事業地域がとても広いと言える。

 

続いての「設備事業」は、建物の電気設備、防災・防犯設備などの設計、施工、保守管理を行うもので、最近では、省エネ化に対応した設備改修工事などを行っており、アフターサービスやメンテナンスまで一貫したサポート体制を構築している。特に一般の電気工事会社と参入障壁を築いている特別高圧変電所工事については、着実に受注・完工をこなしており、競合他社との差別化が図られている。また、ファシリティのみならず、子会社を通じて、建物のビル管理業務も行っている。

 

最後の「再生可能エネルギー事業」は、太陽光発電や風力発電などの設計・施工を行うもので、脱炭素の実現を目指す顧客からの要望に応えるため、工場の屋根の上に太陽光発電所を設置する工事が伸びているとのことだが、その言葉を裏付けるように、直近でも大手の食品メーカーから一括受注を受けており、全国の工場に順次設置工事を進めていく予定だ。

 

▼「ラインマン」と言われる鉄塔作業員を自社で育成

同社が強みとして挙げるのが、「ハイレベルな技術者」、「独自の開発技術」、「豊富な施工実績」の3つ。

 

まず、「ハイレベルな技術者」であるが、同社では独自に「ラインマン」と言われる鉄塔作業員を育成している。同業他社では通常、外注に出すことが多く、自社で育成し、社員として在籍している会社は珍しい。このラインマンの育成は、高度な技術の育成・承継を意味しており、これが、設計、工事の一気通貫に繋がっている。また、建設業では、慢性的な人手不足が課題であるが、自社で抱えることにより効率的な作業工程を計画でき、外注と比べて利益率の向上にもつながっている。

そのため、同社は人材育成にかなり力を入れており、若手社員のスキルアップ教育、「ハローハッピープロジェクト」と称した社員の幸福度の向上に結びつく施策も行い、外国人を含む多様な人材の確保、強固な人的資本経営の形成を行っている。

 

「独自の特許技術」であるが、「送電鉄塔の嵩上げ工法」についての説明があった。送電鉄塔の多くは、高度成長期に建てられたことから老朽化が問題となっており、補強、嵩上げが必要だが、この工法を用いると、鉄塔の場所を動かさずに装置を設置することが可能となり、工事用地の削減、そして1ステップで一気に嵩上げできることから工期の短縮にも繋がるという。

 

最後の「豊富な施工実績」は、創業100年に亘り、「送電のパイオニア」として、国内外の数多くのプロジェクトに参画してきたということであり、なんと、ベトナム戦争中に、そのベトナムにおいて700基の鉄塔を建設した実績もあるという。また、黒部ダムの電気工事も担当している。このような実績を背景として、現在国内で進行している幾つかの大きなプロジェクトにおいても、自信を持って工事を遂行できると自負している。

 

▼国の送電プロジェクトと電力制度改革も追い風に

市場環境であるが、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、再エネの普及拡大が今後更に大きな、そして太いベクトルとなることは間違いない。しかし、太陽光や風力などの再エネ発電所は、都心から離れた場所に存在することが多く、都心まで電気を運ぶ必要がある。とはいえ、既存の送電網は、既に容量が逼迫しており、送電網の増強が不可欠な状況だ。実際、国は、今後、送電網の増強のためにマスタープランを示しており、その整備費用には6-7兆円の設備投資が必要と試算している。

 

その送電プロジェクトの1である「50万V送電線(宮城丸森幹線)新設工事」を同社は受注し、この3月にその開示を行ったが、これはまさしく、広域連携設備計画として策定された国家プロジェクトに参画したということだ。今後もこの広域系統設備計画は、順次計画されることから、さらなる受注も期待される。

 

また、もうひとつ"追い風"がある。

今年4月より、電力の制度改革に伴う中長期での設備投資の開示が行われるようになったが、これにより、同社も、中長期的な目線で受注計画を立てられることになり、それに即した人員の確保ができることになる。「今後は、東北地区だけに偏らず、他電力からの受注強化を進めていく。特に東京電力は工事規模も大きいことから重点的に受注に向けて活動を行っていく」と社長は言われた。

インフラ事業主である同社。次の100年に向けた市場環境は、極めて明るく、「あかりが灯されている」ことは間違いない。

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取材後記は以上です。いかがでしたか。

本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください!

 

それでは来週もお楽しみに!

 

(関連ウェブ)

■ETSホールディングス IRサイト https://ets-holdings.co.jp/ir-top

 

代表取締役社長 加藤 慎章 様と

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