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68日の「アサザイ今日の1社」は、スターツ出版(7849・東証スタンダード)を放送しました。

 

同社は、「人が、心が、すべて。」「感動プロデュース企業へ」を経営ビジョンに、「書籍コンテンツ事業」と「メディアソリューション事業」の2つの事業を行っています。19833月に設立し、来年創業40年を迎えます。

 

今回は、代表取締役社長 菊地 修一 様にお越しいただき、事業内容や強み、成長戦略についてお話を伺いました。

 

井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

 

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取材後記

スターツ(7849)(東証スタンダード市場)

ラジオNIKKEIにて収録

お相手は、代表取締役社長の 菊地 修一(きくち しゅういち)様

 

「人が、心が、すべて。」

 

▼創業以来、そしてこれからも変わることがない企業理念

 言わずと知れた、あの不動産会社スターツ(8850 東証プライム市場)のグループ企業であるが、「出版」を社名に冠していることから上場時に大きな話題となったが、それは2001年8月のことであり、昨年、上場20周年を迎えられた。

 

 経営ビジョンは、「人が、心が、すべて。」「感動プロデュース企業へ」というものであるが、この「人が、心が、すべて。」は、スターツグループが「総合生活文化企業」として掲げている企業理念であり、創業以来変わっていない、そしてこれからも変わることがないと"宣言"しているものである。

 

▼バランスが良い2本柱「書籍コンテンツ事業」と「メディアソリューション事業」

 実際に行われている事業は「書籍コンテンツ事業」と「メディアソリューション事業」の2つのセグメントに区分されるが、最初の「書籍コンテンツ事業」は、前期202112月期の全社売上高の約6割を占める主力事業である。そして、このビジネスモデルがおもしろい。

 

 まず、その起点は、誰もが無料で読んだり書いたりできる小説投稿サイトであり、恋愛小説から異世界ファンタジー、ライト文芸まで色々な作品が揃っているが、その中で編集者が目利き、発掘した人気コンテンツについては、書籍化を行っている。そして、次のステップではこの書籍を電子書籍化し、さらに電子コミックにする。仕上げの最後は紙コミックだ。これにより、「Web→紙書籍電子書籍電子コミック紙コミック」というサイクルが完結する。

 

 また、もう1つの事業である「メディアソリューション事業」についても前期の全社売上高において約4割を占めており、2本柱と言える。両事業のバランスが良いのだ。

 そして、その具体的な事業内容であるが、都会でよく女性が見ている「OZマガジン」(創刊1987年)、「OZ TRIP」(創刊2007年)、東京のメトロ駅に置かれている無料タウン誌「METROMIN」などのブランド力を持つ雑誌、そして、ウェブメディアを起点として、「編集力・メディアの信頼・読者との絆」という強みを生かしたクライアント向けのソリューション提案を行っている。

 

 ここで鍵を握るのが1996年にオズマガジンのWEB版として誕生した「OZmall」であるが、これまでの雑誌編集で培った、蓄えたコンテンツ、データを基に、レストラン・ホテル・ビューティなどの厳選店舗やエンタメ関連をウェブ予約できるサービスを展開している。そして、掲載店舗に対しても、集客アップに向けたさまざまなソリューションを提供しているのだ。

 

▼縮小する出版業界の市場環境を前向きに捉え業績を上昇させる

 出版業界の市場環境であるが、出版物の売上は長年に亘り右肩下がりで、出版社数の減少にも歯止めがかかっていない。同社から提供された具体的な金額、数字を示すと、出版物の売上は、今から16年前の2006年に約2.5兆円あったものが、現在は1.5兆円を割り込んでいるという。この間の減少率、市場シュリンク率は実に4割以上であったことになるが、出版社数も当然減少の一途を辿り、2001年の4,424社が2020年時点で2,907社と3割以上も減少している。

 

 しかし、同社はこの市場環境を「ブルーオーシャン」と言ってのけた。

 競合出版社が減少し、新規参入もほぼ無い市場であること、そして、縮小したといえ、マーケット規模は1.4兆円もあると考えているという。もともと後発参入組であり、老舗の大手出版社とは違ってシェアが小さいのだから、戦略次第でシェア獲得の可能性は大きいと極めて前向きに市場を捉えた結果、実際に有効な戦略を遂行したことにより、業績を上昇させてきた。

 

 思えば、同社が上場した2001年はITバブルの真っ只中であった。

 多くのIT関連企業が上場し、デジタルの名のもと、"looking forwardな未来像"が語られていたが、その多くの言葉、描いてみせた未来図は、正直、見る者を置いてけぼりにする専門用語、技術用語で埋め尽くされており、イメージの湧きづらいものであった。

 当時はすでに出版不況の入り口に立っていたのだが、同社が出版業界を事業エリアとして選んだこと、そして「電子」と「紙」の循環という事業戦略を採ったことは、ものの見事にはまったと言える。それを決断させたもの、それはきっと、冒頭に書いた「人が、心が、すべて。」というグループの企業理念であったに違いない。

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取材後記は以上です。いかがでしたか。

本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください!

 

それでは来週もお楽しみに!

 

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代表取締役社長 菊地 修一 様と