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3月9日の「アサザイ 今日の1社」は、ADワークスグループ(2982・東証1部)を放送しました。

 同社は、1886年に染色業として創業し、その後1976年から不動産業を開始。現在は、物件を選定し、仕入れ後にバリューアップして販売する「収益不動産販売事業」と、不動産経営に関するトータルサポートを行う「ストック型フィービジネス」の2つのセグメントを事業の柱として展開されています。

 今回は、常務取締役CFO 細谷 佳津年 様にお越しいただき、2つのセグメントの深掘り、強みと成長戦略、株主還元等についてお話を伺いました。

 井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

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取材後記

ADワークスグループ(2982)(東証1部)

ラジオNIKKEIにて収録

お相手は、常務取締役CFOの 細谷 佳津年(ほそや かつとし)様

 

「舵」


▼首都圏1都3県において、価値ポテンシャルの高い物件を厳選

 創業からの歴史は長く、まず1886年に染色業として起業した。その後1976年より不動産業を開始し、2007年に東証ジャスダック市場に上場、2015年に東証1部に指定替えとなり、一昨年2020年に持株会社に移行し、現在の証券コードとなった。

 

事業は「収益不動産販売事業」と「ストック型フィービジネス」の2つのセグメントで行われているが、「収益不動産販売事業」は物件を選定し、それを仕入れた後にバリューアップを行い販売する事業であり、主な取扱い物件は住居とオフィス系となっている。展開エリアは首都圏の1都3県であり、独自の情報ルートを駆使し、経験を活かした目利きによって価値ポテンシャルの高いものを厳選して購入、仕入れを行ってきた。

 
▼収益不動産のワンストップサポートを実現する"複合力"

 この「収益不動産販売事業」においては不動産小口化商品の販売も行っている。これは、資産価値の落ちにくい「好立地の優良不動産」を小口化し、1口100万円、申し込みは5口、500万円からなどの比較的少額による不動産投資を可能とする投資商品で、「ARISTO」シリーズという商品名である。地方の金融機関が活発に紹介していることもあるが、地方の富裕層にとっては、地方にいながら"(収益性の高い)首都圏に不動産を持つ"という夢が叶うことになる。無論、多くの物件に分散投資を図ることは(リスク低減という)分散効果を自然と得ることになる。

 

 また、この「収益不動産販売事業」のオフィス物件については、「リノベーション・セットアップオフィス」という、あらかじめ内装工事を施されたものがある。企業・テナントにとっては、入居時の大きな負担となる内装工事費用を抑え、入居後すぐに事業を行うことが出来るという利点があり、また、ビルオーナーにとっては通常よりも高い賃料で貸し出すことが可能というメリットがある。双方のニーズを満たすものだ。

 

 国内だけではない。2013年より海外の物件についても販売を行っており。これまで手掛けた実績としては、ロサンゼルスの収益不動産76棟やハワイの賃貸住宅開発などがある。また、海外事業においては、それまで行ってきた国内投資家向けの収益不動産販売だけでなく、新たに現地向け住宅の開発や販売にも着手している。

 

これらの「収益不動産販売事業」が、実はもう1つのセグメントである「ストック型フィービジネス」に結びついている。このセグメントは専門スタッフが不動産経営に関するサポートをトータルに行うというものであり、オーナーに代わって、リーシングやビルマネジメント、賃料の回収などの管理を行うとともに、修繕工事に関する相談(工事会社もグループ企業にある)も受けている。また、このプロパティマネジメントを中心とした事業だけでなく、不動産活用コンサルティングを含めた多面的な資産コンサルティングも行っており、オーナーの生涯にわたるプライベートコンサルティングとしてサポートしている。

 

 この2つのセグメントのつながり、収益不動産に関するワンストップなサービス提供が同社の「バリューチェーン」であるが、このオーナーの生涯に亘るワンストップサポートは、結果的にリピート購入を招き、これが同社の事業の拡大にそのままつながってきたことから、現在のように市場がすこぶる活況であり、"仕入れ競争"という状態になっていても、「複合力が生み出す収益性の精査」によって" 高くても買える好サイクル "を生んでいることが同社の強みである。無論ここには、同社の経営に底流している、高い商品企画力、備わっている法的な精査力などによる「妥協のない商品を仕上げる力」が奏功している。

 

▼SDGs経営の推進により、さらなる成長へ

そんな同社の今後の成長戦略であるが、現在、前期2021年12月期から2023年12月期の3カ年の「第一次中期経営計画」を推進している。この3年間を目指す将来に向けてブレイクスルーするための重要な期間と位置付け、「超過利潤の獲得」、「外部資源の活用」、「顧客拡張の実現」という3つの基本方針に沿って、株主価値の向上に向けた4つの具体的な取組みを進めているが、その第1番目は「SDGs経営の推進」である。これは社会的意義を有する収益不動産販売事業を積極的に拡大することにより、不動産市場でのESG投資の広がりに寄与し、それを通じてSDGs経営を推進したいというものだ。

 

しかし、常務は「SDGs経営は当たり前のこと」と述べ、2つ目「『複利の経営』への転換」を語られたが、ここにはESG(経営・投資)においてここ数年コーポレートガバナンス・コードにおいても注目度、投資家の要求の高い「資本コスト」をしっかりと意識、認識した施策が含まれていた。具体的には「WACC」、「ROIC」を計測したうえで同社が、市場が求めているコストを超える超過利潤を生み出す企業としての構造を確立するということだ。

 

 そしてこのことが4つの取組みの1つである「『プライム市場』」への上場」につながっている。今春4月からの東証の市場再編において、経過措置を活用し、この「第1次中期経営計画」を推進することで、上記「超過利潤」、「『複利の経営』への転換」が市場に認識され、時価総額を高めたいというものである。

 

最後の取組みは「『5年後3割』への通過点」というものである。これは、将来的に第2の柱に育て上げたい不動産領域以外の事業の割合を「5年後3割」にしたいという長期目標に向け、まずはこの3年間については、DXによる革新やCVCを通じた新たな価値創造、持株会社体制を活用したM&A・資本提携・業務提携を加速させていくという。

 

 この4つの取組みの具体的な進捗としては、既に「クラウドファンディングの活用」を行っていることが挙げられる。これは『(仮称)大名2丁目オフィス』プロジェクトという新たな開発事業において、グリーンローンで建築資金5億円を2021年8月に調達し、地球環境保全の趣旨に賛同する個人投資家から、クラウドファンディングを活用して直接投資を募る、国内で初めての取り組みを行ったというものだ。また、REIT組成の準備も積極的に推進している。

同社のベクトルは、不動産でのSTO(Security Token Offering)の活用により、個人の不動産投資をより身近なものとし、約2000兆円と言われるこの国の個人資産(うち、現預金1000兆円)を振り向けて欲しいという「ビジョン」(在りたい社会の姿)に向いている。

 

 思えば、染色業として創業したが、その後、日本の輸出品は繊維が主力となった。また、不動産業を始めた1976年以降、高度成長期を経て、不動産価格の上昇は世紀の終わりまで続いた。同社がその目利きで" 舵 "を切るとき、時代はその方向に向かっていったと言える。そして、その" 舵 "は現在、明確に上記ビジョンに向けて切られている。

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 取材後記は以上です。いかがでしたか。

   本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております、是非お聴きください!

 また今回は、収録の模様を動画配信いたします。
 こちらも是非チェックしてください!

 それでは来週もお楽しみに!

 

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