お知らせ:

朝イチマーケットスクエア「アサザイ」

番組へのお便りはこちら

1月24日の「アサザイ 今日の1社」は、トーヨーカネツ(6369・東証プライム)を放送しました。

今回は、代表取締役社長 大和田 能史 様にお越しいただき、事業内容と成長戦略等についてお話を伺いました。

 

井上哲男より取材後記が届いております。ぜひご覧ください。

----------------------------------------------------------

取材後記

トーヨーカネツ(6369)(東証プライム市場)

ラジオNIKKEIにて収録

お相手は、代表取締役社長の 大和田 能史(おおわだ たかし)様

 

「方向性と視座」

▼主力のタンク事業と物流事業

 創業は戦争の足音が聞こえていた1941年。今年で会社設立から83年、また上場されてから63年を迎えられる。

 創業当時の社名は東洋火熱工業(株)。耐火煉瓦などの需要が高まることを見越して、東洋タイル(株)の行っていた工業窯炉の製造・販売業務を継承し、独立する形で事業を開始した。そして、終戦後は進駐軍の各拠点向け冷暖房ボイラー設備供給の工事案件を受注し、このボイラー製造で培った技術が、のちのタンク製造に引き継がれたという。

 

 そのタンク事業は、1950年に石油タンク製造を初めて受注した後、石油などエネルギーの安定供給に対する需要が高まると、いち早く海外進出を果たし、中東や東南アジアなど全世界でこれまでに5,700基の常温からLNGなどの極低温タンクを納入し、世界第2位のタンク専業メーカーとして国内外で大型タンクの設計・調達・建築工事において確かな実績を残してきた。

 おもしろいのは社名が変化してきた理由で、旧社名は漢字の火と熱でカネツであったが、"タンク"が火を嫌うため、全てカタカナとして今のトーヨーカネツという社名となったとのことだ。

 

 このタンク事業に加え、主力事業として育ったのが物流事業である。

 この事業は、1950年台の建築ブームで土木建築工事用コンベヤを手掛けたことから、工場・倉庫の生産向上を目的にコンベヤやソータなどの搬送機器の設計、製造、据付、メンテナンスを行い、現在では売上高の約6割を占める事業にまで成長している。

 このように、タンク事業と物流事業が1955年からお互いに補完し合いながら成長を遂げてきたのだが、現在はタンク、物流に次ぐ第三の柱となる事業を確立するため、みらい創生事業として、将来に向けた事業を生み出す準備を進めている。

 

 その新規事業の前に、現在の主力2事業を少し深掘りすると、主力の「物流ソリューション事業」は、事業開始当時、搬送機器などのハード事業が中心であったが、業界でいち早くソリューションを前面に出して顧客にアプローチしてきた実績がある。これは、顧客の課題解決のため、必要なハードやソフトについて、自社製品はもちろんのこと、それに拘ることなくオープンイノベーションを推進し、ベストなシステムを短時間に提供することに努めてきたということだ。

 

 特に同社が得意としてきたピッキングシステムは、生協で取り入れられているだけでなく、空港における手荷物の仕分け搬送システムでも70%~80%のシェアを誇っている。無論、コロナ禍において成長したネット通販市場での仕分け・梱包システムの多くも同社が手掛けている。

 

 次に「タンク事業」であるが、こちらは、「プラント事業」と「次世代エネルギー開発事業」の2つのセグメントに分かれている。

 その「プラント事業」において、国内製油所などのタンクメンテナンスを行っているが、極低温のLNGを除いたタンクには、数年に一回点検・補修をしなければならないという法規制がある。同社は、日本全国で常時100基を超える法定点検メンテナンスを実施し、既存のエネルギーを支えているが、それが同社のストック収益にもなっている。

 また、「次世代エネルギー開発事業」は、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、大型液化水素タンクの開発を国の技術総合開発機構である(NEDO)の助成事業として進められており、要素技術の研究開発が2022年度に完了し、今年度から実用化に向けた新たな研究開発事業として、NEDOの助成を受け、ベンチスケールの試験タンクによる実証実験に取り組んでいる。そして、2027年度には開発を終了し、2030年以降の水素社会実現に向けて強い使命感を持って事業を推進していくという。

 

▼"第三の柱"「みらい創生事業」

 そして、"第三の柱"である「みらい創生事業」であるが、現在は4社のグループ会社を主軸にシナジー効果を創出し、更なる成長を目指しているが、その見据える先にあるものは「環境系」である。 

 現時点で4社が行っている事業は、アスベスト検査などの環境分野の調査・分析、環境計測機器の保守管理、産業機械事業、建築事業などであるが、今後の領域として「生活環境リスクへの対応」に明確なビジネスチャンスがあると社長は語った。今後は、M&ACVC投資も視野に入れ、(主力事業の物流関連や)この新領域での事業の拡大を考えている。

 

▼創業100年に向けて中期経営計画を推進

 現在の中期経営計画における物流ソリューション事業での取組みで、明確な方向転換を示唆するものがあった。

 物流センターでの効率化は、出荷機能の効率化が最も寄与することから、同社はこれまで、この「出荷」をターゲットとしたシステムの提供を行ってきたが、配送業務の労働時間が制約される2024年問題に顧客が直面していることから、入荷や出荷の配送状況に応じたセンター運営が必要であると判断し、物流センター全体をコントロールする倉庫管理システムである「WMS開発」を進めているのだ。これにより、物流センター全体の運用を熟知すること、それが同社の考えるソリューションだ。

 

 また、次世代エネルギー開発事業においても力強い発言があった。

 中計のセグメント基本方針である「次世代エネルギー社会到来に向けた高度な技術力の獲得と参画」の意味するところとして、液化CO2タンク・燃料アンモニアタンクといった次世代エネルギー向けの貯蔵タンクは受注フェーズに入っており、"本丸"である大型液化水素タンクは実際の10分の1スケールで実液貯槽検証を行う段階にきているという。「これらを供給できるのは当社グループをおいて他にないと自負している」とのこと。無論、この言葉はこれまでの5,700基以上の納入実績が示すプロジェクト推進力の裏付けから出るものであろう。創業100年に向けて、同社は進むべき方向性とその視座を確りと定めている印象を強く持った。

----------------------------------------------------------

 

取材後記は以上です。いかがでしたか。

本日の放送はPodcast配信にて早速アップされております。

それでは来週もお楽しみに!

 

(関連ウェブ)

■トーヨーカネツ IRサイト https://www.toyokanetsu.co.jp/ir/index.html

 

代表取締役社長 大和田 能史 様と

アサザイ_20240124_トーヨーカネツ.jpg