まじめなラグビー選手ナンパ論。
ラジオ「藤島大の楕円球にみる夢」は9月7日(月)放送

フロントローのゲスト、多くね?
そう思ったリスナーは鋭い。今回を含む直近の5回のうち、3人がプロップだ。
グラウンドの上では黙々とプレーするも、普段は愉快、よく喋る。サービス精神も旺盛だから、ラジオ向き。
9月7日(月)に放送されるラグビー情報番組「藤島大の楕円球にみる夢」に出演する山賀敦之(やまが・あつし)さんも、本当によく喋る。
多くの人に、ラグビー界のエンターテイナーとして知られる。
2026-27シーズンはステージをひとつ上げ、リーグワンのディビジョン2で戦う川越狭山セコムラガッツ。同チームでリクルートメント・マネージャー兼アドバイザーを務めている。
現在、51歳。番組には2014年2月以来、12年ぶりの登場だ。
当時はまだラガッツの現役で、選手会長を務めていた。番組放送開始2回目のゲストだった。
そのとき放送された内容が興味深い。左プロップが語るスクラムへのこだわり、会社員のラグビー部員生活、山賀は、いつ引退するのか...などなど。ラグビー選手のナンパ術、というものもあった。
そのナンパ術が、いまは本業となった。ラガッツに必要な選手たちを求めてグラウンドを渡り歩き、自分の目で見て、話し、性格を知り、惚れて、口説く。昔から「ラグビーマガジン」の別冊付録、大学ラグビーやリーグワンの写真名鑑をバイブルとしていると公言してきた。現職は天職でもある。
埼玉の浦和市出身。有名なサッカーどころで育っただけに、子どもの頃はサッカーボールを蹴った。しかし心は、わんぱく相撲にあったという。ラグビー好きの父とテレビ中継をよく見ていたことと、ドラマ『スクール☆ウォーズ』を見て「私自身はワルでもなんでもなかったのですが、悪い奴らがみんな良くなるスポーツとシンパシーを感じて」、朝霞西高校入学後、ラグビーを始めた。
ごく普通の公立校での3年間を、「人生でウエートトレーニングをいちばんやった期間です」と振り返る。質素な筋トレ器具を独占して鍛えまくった。
顧問の先生がトップレフリーだった縁で帝京大学へ進学。7人いる1番の中で7番目だったところから始まったが、夏合宿でSHに操られてボールをもらい、走って目立ったことがある。おそらくそれが評価されたのだろう。上昇のきっかけとなった。
セコムラガッツでは200試合以上に出場した。同部はリーグワンの前身であるトップリーグを戦いの舞台にするなどトップレベルで活動した時期もあったが、強化中止など苦しい時期も短くなかった。
しかし、持ち前の『陽』のパワーでチームを真向きにさせ続けたのがこの人だった。プレーヤーとして、日本A代表に選ばれたこともある。
この夏は、多くの大学チームが夏合宿をおこなう菅平(長野)に約2週間滞在し、各校の練習や試合を見た。そこで生きたのが、長い年月をかけて築き上げてきた前述のラグビー選手のナンパ術だ。
独特の距離感。選手たちの心の奥にあるものを感じる。
気になるのは、小さな体のフロントローやバックロー。プレーの低さや、体格を問題としない独自の強みを持っている選手たちだ。
そして、その人の人生を左右する仕事でもある。社会に出た時に愛される、認められる素養があるのかも見る。平坦でないラグビー人生を歩んできたから、仲間うち、チームの中だけではなく、職場や会社、社会に求められる人との出会いを日々探す。
朝霞西、帝京大、ラガッツと、数え切れないほどの試合に出場してきたのに、トライはなかった。それなのに、いまでもみんなに知られ、愛され、必要とされている。
自分の分身を見つけようとしているわけではないが、山賀敦之にとっての選手勧誘は、ラグビー選手と社会のまじめなマッチングでもある。
(文・田村一博 「Just RUGBY」編集長)
▽ラジオ番組について
ラジオNIKKEI第1で9月7日夜6時から全国へ放送。radiko(ラジコ)のサービスを利用して、PCやスマートフォンなどで全国無料にて放送を聴ける。
放送後も、ラジコのタイムフリー機能やポッドキャストで番組が聴取できる。U-NEXTでも配信予定。9月14日の同時刻に再放送する。


