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藤島大の楕円球にみる夢

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6月5日放送のゲストは、クボタスピアーズ船橋・東京ベイの
プロップ加藤一希選手だ。

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5月20日、東京・国立競技場でリーグワン決勝が行われ、東京ベイ(レギュラーシーズン2位)が昨シーズン王者の埼玉パナソニックワイルドナイツ(同1位)を17-15で破って、初優勝に輝いた。トップリーグ時代を含め初制覇となった。

この日、試合終了を告げるホーンが国立に響いたとき、ひとつのおとぎ話のようなサクセスストーリーが生まれた。
決勝戦、東京ベイの加藤はリザーブだった。後半27分に紙森陽太に代わって途中出場した。直後に、立川理道が木田晴斗にキックパスを送って木田がトライし逆転して、リードを守って勝利した。

今回番組では、2点リードの残り1分で勝敗を分けることになった「人生のスクラム」について語ってもらう。自陣でのマイボールスクラムで埼玉を相手に耐えきった。ノーサイドの瞬間、思わず涙した気持ちも明かす。

加藤一希は1994年12月7日生まれ、愛知県出身。中学1年でラグビーを始めて、中部大学春日丘高校から中部大学に進み、2016年度は主将を務めた。2017年1月、「全国地区対抗大学大会」(大学選手権の出場権がない地方大学の全国大会)で、加藤主将率いる中部大が初優勝を果たす。大学卒業後は、宗像サニックスブルースに加入するも、2022年5月末でチームは活動を休止。プレーできるチームを探して、7月から2カ月間練習生として東京ベイに入り、8月末に選手として契約し、今季の優勝に貢献した。185センチ、112キロ。2019年にロックからプロップに転向している。

愛知・春日丘高(現在の中部大春日丘)では姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)と同級生だった。加藤は、高校の3年間、ラグビー部3軍を意味する「Cチーム」の部員だった。それでも、ウエイトトレーニングに励み、母親の手作り弁当を平らげ、大学時代の体重は、高校入学時と比べて倍になっていた。3年ほどで50キロ増量したのである。大学ではアファ・ハニパリ監督の作った映像「好プレー集」のお陰でU20日本代表の候補合宿に招集されたこともある。宗像サニックスの休部が決まってからは、移籍先探しが難航して引退も覚悟したという。約1年前に東京ベイに加入して、勝つ文化に触れ、周到な練習で鍛えて、そしてこのたび日本一の歓喜の輪にいた。いつか自分に出番が回ってきたときに力を発揮するため続けてきた人一倍の努力が実を結んだ瞬間だった。

人に恵まれた人生。その道のりをいま振り返る。まだ夢の途中だ。 


▽ラジオ番組について:
ラジオNIKKEI第1で6月5日夜6時から全国へ放送。ラジコ(radiko)のサービスを利用して、PCやスマートフォンなどで全国無料にて放送を聴ける。音楽が聴けるのは、オンエアのみの企画。放送後も、ラジコのタイムフリー機能やポッドキャストで番組が聴取できる。ポッドキャストは放送しなかった内容も収録した特別版。12日の同時刻には再放送がある。「Paravi(パラビ)」では13日から動画での配信を予定している。