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藤島大の楕円球にみる夢

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平和を祈る旅人。
ラジオ「藤島大の楕円球にみる夢」は46日(月)放送

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  成田空港でツナマヨのおにぎりを頬張り、安全な場所に戻ったのだと心に沁みた。

 3月下旬、戦禍にある中東、バーレーンから忽那健太が帰国した。その足でスタジオへ。スポーツライターの藤島大さんがパーソナリティを務めるラグビー情報番組「藤島大の楕円球にみる夢」に出演した。

 彼の地での暮らし、ラグビーライフについて語ったことが46日(月)、夜6時からラジオNIKKEI1で放送される。

 『やるか、めっちゃやるか』をモットーに生きる31歳は、20258月からバーレーンラグビークラブでプレーしてきた。

 将来のラグビーワールドカップ招致を見据え、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンが合同でリーグを立ち上げた。その中のひとつのクラブから声がかかった。 

 生来の人懐っこさ。クラブの仲間との距離をすぐに縮め、現地の邦人との輪も広がった。

 スコットランド人、オーストラリア人のルームメートと暮らし、試合でハードにプレー。戦いを終えたら盃を酌み交わす日々は人生を豊かにしてくれた。 

 そんな日常が突然終わった。戦争だ。

 2026228日から、アメリカとイスラエルによるイラン軍事作戦が始まった。 

 忽那さんは、カタールのチーム(ドーハラグビークラブ)をホームに迎えて快勝した翌日のことを覚えている(64-19)。

「大きな爆撃音がしました。何か爆発したな、と思いました。部屋から外を見ると、街で黒煙が上がっていたんです。テレビをつけたらニュースで戦争が始まったことを伝えていました」 

 日常が変わった。

 低くて長い、ドーン。ミサイルが着弾した時の音だろうか。夜中にスマートフォンが鳴る。空襲を知らせる緊急アラームに飛び起きる。不安が国全体を包んでいた。 

 あらためて平和が当たり前ではないと知った。ラグビーができる。それ自体が平和を象徴するものだった。

 ラグビー活動を奪われてできた時間に、ルームメイトと話した。人生について。平和について。

 そして、「ラグビーの良さって何だと思う?」と語り合った。

 不安が続く中で考えたことも番組内で話す。 

 忽那さんは1994913日生まれ。愛媛県松山市出身。5歳の時に父親のすすめで松山ラグビースクールに入った。

 松山市の城西中学校、石見智翠館高校でもプレーを続けた。高校時代は司令塔を務め、全国選抜準優勝、花園8強の立役者となる。3年時にはキャプテンを務めた。

 進学した筑波大学でもキャプテン(埼玉パナソニックワイルドナイツの山沢拓也と同期)。2017年から 2021年までホンダ(現・三重ホンダヒート)でプレーした。 

 中東で命と平和の尊さに触れた忽那さんは、以前にも生と死について深く考えたことがある。ホンダ退団後の2021年、26歳の夏に膀胱がんが見つかり2度の手術を受けた。

 しかし現役復帰。スコットランドに向かい、ヘリオッツというクラブで2シーズンプレーし、その後、韓国リーグのチームにも所属した。 

 濃い話を聞いていると、忽那健太がなぜ人とは違う経験ができるのか分かってくる。

 誰とでも真剣に向き合う。自身をさらけ出す。懐に飛び込むから縁が広がる。相手の期待に応えようとするエナジーが尽きない。 

 スコットランドでの人との出会い。引っ越し屋のアルバイト時にアンティーク家具が多く苦労したことや、国によってのラグビースタイルや考え方の違いなど、藤島さんとのトークの内容は多岐に渡った。

 ウイングが寒さに震えているリーグから、気温43度、湿度80パーセントの中で試合をする地域でのクラブライフまで、世界を飛び回って生きる人の話は深く、愉快。 

 耳を傾けていると、遠くで起きたこと、起きている出来事を身近に感じられる。

     (文・田村一博 「Just RUGBY」編集長)

 

▽ラジオ番組について

 ラジオNIKKEI146日夜6時から全国へ放送。radiko(ラジコ)のサービスを利用して、PCやスマートフォンなどで全国無料にて放送を聴ける。音楽が聴けるのは、オンエアのみの企画。

 放送後も、ラジコのタイムフリー機能やポッドキャストで番組が聴取できる。U-NEXTでも配信予定。413日の同時刻に再放送する。