お知らせ:

テイスト・オブ・ジャズ

番組へのお便りはこちら

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日22:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.130~マリア・シュナイダー~】

 久しぶりに「ブルーノート東京」に行った。話題のマリア・シュナイダー楽団を聴くためである。彼女の楽団は前々から是非に…と思っていたので、思い切って広報の女性に入場を頼む。関係者の申し込みも多いのですが…とは言われたが、快諾してもらい、どうにか入場できた。今最も旬で創造的とも言える活動を展開しているマリア・シュナイダー。マイルス・デイビスと組んで数々のジャズ金字塔を打ち立てた、今は亡き世紀のコンポーザー&アレンジャー、ギル・エバンスの直系の弟子として師匠の仕事を見続け、独立してからは圧巻とも言える意欲的な作業を展開、音楽ビジネスの世界でも独自の業績を上げている才媛の彼女。初来日だけにジャズ関係者の関心も高く場内は満杯だったが、ぼく自身の印象は期待が大きすぎたせいもあるが、五分五分の出来栄えだったように思える。

 彼女は実に知的な雰囲気を漂わせたチャーミングな女性で、10数人のメンバーをそのコンダクトで見事にまとめあげ、繊細で拡がりのある彼女ならではの素晴らしい音宇宙を繰り広げてくれた。アコーディオンなども加え、色彩感豊かなその独特な世界にはかなり満足したのだが、不満もいくつかあり、彼女が自身の音楽についていささか説明し過ぎと言う点、メンバーがドラムのクラレンス・ペン以外は全員が白人で、ダニー・マッカスリンやリック・ペリー(sax)、イングリッド・ジャンセン(tp)など、今NYで大活躍のミュージシャンが集まっているのだが、やはり黒人のソロイストがいないため、ライブでは何か今いちアクセントに乏しく(アルバムでは素晴らしいのだが…)物足りない感じもしてしまった

 まあ幾つか不満も残ったのだが、今思えばこれだけの表情豊かなオーケストラ・サウンドを聴かせてくれる、ジャズ・オーケストラも殆ど無い訳で、その点ではやはり脱帽ものだし、マリアはジャズの女性時代の先頭を切る象徴的存在だと言う事を再確認できただけでも、聴きに行った価値は十二分にあった。それにしてもカウンターの端っこのぼくの隣席は、あの日本を代表するハイノート・トランペッターのエリック宮城。「紅白歌合戦」のバック・ミュージックの仕事の合間を見付けて駆け付けた彼の所には、メンバーが次々立ち寄り雑談を交わしており、みんなNY時代の仲間だと言う事。流石に顔の広いエリック。それを見ているだけでも十分に楽しかったですね。


お知らせ

お知らせ一覧