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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日22:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.120~岩浪洋三氏逝く~】

 もう3年ほど前に休刊してしまったのだが、ジャズ雑誌として世界に誇りうるものが、「スイング・ジャーナル」誌だった。休刊に至る最後の10年余りは、そのあまりの商業主義ゆえに毀誉褒貶(きよほうへん)も激しい雑誌だったが、ぼくの学生時代から30才台位まではかなり権威ある雑誌で、よく読んでもいたし、何時かはぼくもあの雑誌でライターとして書けるようになりたい、とも思っていた(それが後年実現するとは、その頃は思ってもいなかったが…)。その「スイング・ジャーナル」誌の名物編集長だったのが、ジャズ評論家の岩浪洋三さんだった。確かあの1960年のアート・ブレーキー&ジャズ・メッセンジャーズの初来日とそれに続く空前のジャズ・ブームの到来の頃、彼は編集長をやっていたはずで、日本におけるモダン・ジャズの定着・発展に大いに貢献した人だった。

 その岩浪さんがかなり重い病に侵されているという話を聞いたのはこの春のことで、吉祥寺のジャズ・クラブで、2日間に渡って彼を励ます会も催された。ぼくも顔を出したのだが、その席では実に意気軒昂で「何だ病気と言っても至って元気じゃないか…」などと悪態をついていたのだったが、(後から聞くと)その一週間後ぐらいから急激に具合が悪くなり、夏を超えたこの10月、5日の夜に亡くなってしまったのだった。その死亡のニュースは番組パーソナリティー、山本郁からのTELで知った(彼女も結構岩浪さんと親しくしていたようだが…)が、その後も数人から死亡の連絡が入ってきた。岩浪さんがそんな酷い状況になっていることを知らなかっただけに、みんな一様に悲しみは大きかった。享年79才。

 最近はあまり番組には登場していなかったが、一昔前は暮れに1年間を回顧する特集を組み、その時にはライターの大先輩として、彼に出演を頼むことが多かった。四国の松山出身で、高校生時代に進駐軍のラジオ放送を聴いて、ジャズにのめり込んだという経歴の持ち主だけあってラジオは大好きで喜んで出演してくれた。女好きな性格だが、ラジオ出演などの時は実に几帳面な感じでそのギャップがまた何とも面白かった。まあいい意味で“大いなる田舎者”だったのかも知れない。今年の暮れには彼を偲んで「岩浪洋三スペシャル」でも企画しようかとも今考えているが、その時には果して誰がゲストとして呼ぼうか、結構頭を悩ます問題ではありますね。


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