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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日22:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.119~NYで20年~】

 日本の横浜や札幌のように、世界中でジャズ・シティと呼ばれる都市は結構あるだろうが、やはり真にこの名称に相応しいのは、アップル・コア=NYだと言うのは万人が認めるところ。なにせジャズを学び、またジャズで勝負しようと思っている若者達(だけでなく中年のミュージシャンも少なくないが…)は、こぞってその腕を磨くために、この都市を目指して集まってくる。そのためここでの競争はラット・レースとも呼ばれる厳しさだが、それは厳しくはあるがまたこの上なく愉しいものでもある。そんな本場NYで20年間ピアニストとして学び・演奏し続け、自身の地位を確立すると言うのは大変なこと。それを果たした一人が野瀬栄進である。

 残念ながら彼は日本でほとんどリーダー・アルバムが紹介されていないため、名前はあまり知られていないが、その実績は充分で、多くの賞も獲得したりしている実力派。彼がちょっと注目されたのは、あの加護亜依がジャズを歌うという事でNYでレコーディングを行い、そのアルバムもそこそこ話題になったのだが、その音楽監督が野瀬君だった。

 そんな彼がちょうどお里帰りを兼ねた日本ツアーを実施、それが終わった直後にスタジオに遊びに来てくれた。ぼくは彼がNYで吹き込んだ、初めてのソロ・アルバムを6年ほど前に人から勧められて聴き、その才能に感心した一人で、もし日本公演があれば是非スタジオに来て欲しいと思っていたのが、今回それが実現した。北海道の小樽出身の彼は、高校を出るとすぐにアメリカに渡り、1年ほどでNYに移り、そこで本格的にジャズ・ピアノを学んだという、異色の経歴の持ち主。日本である程度、演奏活動やジャズの勉強をしたと言うのではなく、気持ちひとつで海を渡っただけにいろいろと苦労もあったようだが、見事に夢を実現。ピアニストだけでなく作曲家としてもその力量を充分に本場で発現しているのは、立派だ。物おじしない、かなり積極的な性格のようで、そこら辺もプラスに働いているのかも知れない。今回のツアーは世界的なパーカッション奏者、武石務とのデュオ・ツアーで、ぼくは渋谷でそのデュオを聴いたのだが、ジャズだけでなく様々な音楽要素が含まれている素晴らしいものだった。
 
 彼はこれまでに6枚のリーダー・アルバムを出しており、最も新しいものは昨年札幌のホールで開いたソロ・コンサートのライブ盤。どれも日本のレコード会社からの発売ではないが、輸入盤として「ディスク・ユニオン」などには置いてあるはず。番組で彼の演奏が気に入れば、ぜひ実際に買い求めて聴いてもらえれば、その素晴らしさが実感できるはずである。NYで生き抜く硬骨漢にして好漢、野瀬栄進。今後も大きな期待が出来るピアニストの一人である。放送は10月6日です。


野瀬栄進さん(左)と山本アナ


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