お知らせ:

テイスト・オブ・ジャズ

番組へのお便りはこちら

「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.111~拾い物アルバム~】

 どうも昔からの習慣で、暇があると中古のCDショップを覗いてしまい、気が付くと思いがけない出費になったという事も多い。しかし昔のように中古屋も殆ど無くなってしまい、今はもっぱら“ディスク・ユニオン”の各店が行く先になるのだが、新宿店などは店員にも知り合いが多く行きにくい。というのもぼくが狙うCDは、いわゆるエサ箱に入っている1枚500円前後のセコハンだからである。

 その昔、アナログ盤=LPアルバム全盛の頃は、このエサ箱漁りも面白いもので、ジャケットや裏の解説を読めば大体当たりのアルバムに出会えたもので、中にはアルバムの方からこちらに働きかける(微妙な感覚なので長年エサ箱漁りをしていないと、このポイントはなかなか掴みにくいのだが…)ものもあり、そうしたアルバムはほとんどが当たりなのである。それがCDになるとジャケットも小さいし解説ないので、残念ながらエサ箱を見てもまったく勘も働くなってしまった。まあこれにはぼく自身の高齢化もと言う事も、大いに関係しているに違いないのだが…。

 まあそれはさておき、先日も御茶ノ水のある打ち合わせで時間が余ってしまい、まずいと思いつつ「ディスク・ユニオン」に足が向いてしまった。あまり持ち金もないので今日はやめにしようと決めたのだが、エサ箱を覗くと久しぶりに食指を動かされるアルバムがあるではないか。NinoJosele,ニーニョ・ホセレと読むのだろうか、どうやらスペインのミュージシャンのようで「ビル・エバンス曲集」である。何よりこちらを刺激したのは、その共演ミュージシャン。キューバ出身の狂気の鬼才ドラマー、オラシオ・エル・ネグロ、エバンスの最後のベーシストだったマーク・ジョンソン、その上にジェリー・ゴンザレスなどの名前も見える。これはビル・エバンスの名曲をラテン・ジャズ化したものだと勝手に想像し、ホセレが何をする人(ピアニストの公算大)かも判らず、即買いしてしまった。
 
 実際には彼はフラメンコのギタリストで、今やスペインでも注目を集めている人のようで、アルバムの中身も想像とは少し違ったが、素晴らしいものだった。フラメンコとジャズが相乗されたアルバムは今まで幾つかあったし、中でもピアニストのチャノ・ドミンゲスの諸作はぼくも大好きなのだが、フラメンコ・ギターでエバンスのナンバーを弾くこのアルバムには本当に魅了された。ジョンソン、エル・ネグロのリズム隊も素晴らしい。意表を突くアルバムだが、こんな隠れ秀作に出会えるのだから、いい年をしてのエサ箱漁りは止められない。このアルバム、もちろん国内版は無く「スペイン・ソニー」のもの。ちなみにお値段は650円でした。久々に得した気分になりましたね


お知らせ

お知らせ一覧