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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.104~NYからのゲスト~】

 アンナ・ケイなどこのところどう言う訳か、NYからのゲストが増えているが、今日紹介するのもそのビッグ・アップ(=NY)からのお客様だ。と言ってもアメリカやヨーロッパのミュージシャンではなく、日本人ミュージシャン、すなわち里帰りの合間にスタジオに来てもらった次第。彼の名前は海野雅威(うんの ただたか)、気鋭のピアニストである。

 東京芸術大学作曲科出身という、音楽家のエリートでもある彼は、在学中からプロとして活躍、その才能に早くから目を付けていたのが、このコラムにもつい最近も登場した、ぼくの早稲田ダンモ研の仲間でもある、ベースのチンさんこと鈴木良雄だった。「今いいピアニストを見付けて、彼とやるのが楽しみなんだ」と語ってくれたのを覚えているが、そのチンさんのユニット在籍中に初アルバムを出し、彼のアドバイスなどもあり08年に本場NYに渡り、現地での活動を始めたのだった。

 ジュニア・マンスなど名ピアニスト達に可愛がられた彼は、それなりに順調に現地で活動を行っているようだが、彼の話で最も印象的だったのは、現役最年長のモダン・ジャズの巨匠、ハンク・ジョーンズの死を看取ったエピソード。ハンクもこの才能豊かな若者をこよなく愛していたようで、ハンクが入院してからは時々見舞いに行っていたようだが、あるとき訪れると様子がおかしい。それが臨終の日で、海野はハンクの手を握り締め続けたと言う。この話をしている時の彼は、少し表情がうるんでいたが、海野君ならではのいいエピソードである。

 今回はわずかな里帰りで、その間にライブも数回こなしたというが、録音の次の日にはもうNYへ戻るのだという。NYの花屋でアルバイトをしているという、可愛らしい奥さんを伴ってスタジオに表れた彼は、いかにも飄々・恬淡として、これでNYでやっていけるのかなとも思わせられたが、なんとあのハーレムに住んでいるのだと言う。「小西さんの知っているころのハーレムとは大違いですよ…。と言っても時には怖いこともありますがね…」。草食系の芸術家タイプにしては結構肝の座ったいい男でもありました。またスタジオに遊びに来てくれることを約束し、NYへ戻っていきました。


ジャズピアニスト海野雅威さん


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