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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.102~鳥の歌~】

 早いものでもう初夏。早朝にうちのばか犬を連れて散歩に行くと、むせ返るような新緑で気持ち良いことこの上ない。東京の西、まだ緑も多く残る国立だけに、緑と共に鳥達のさえずりも活発だ。この時期の鳥と言えば、うちの近くでは何と言っても(はぐれ)郭公(カッコウ)。もう10年近くこの時期になると朝早く孤独に”カッコウ、カッコウ…“と友あるいは伴侶を求めてなきわめく。いささか哀れではあるがその声を聴くと初夏の訪れを実感させられる。

 これが追分の山荘だと、鳥の歌声はうるさいばかり。中でも目立つのがキジの鳴き声だ。朝早くに時々親子連れで林や畑を横切るところに出くわす。こちらは犬連れなので追っかけないように一苦労だし、犬を散歩している人も多いので出くわさないようにと、気になって仕方ない。それにしてもあのキジの“ケーン、ケーン”という鳴き声は、追分の風物詩、印象的な風物音の一つでもある。

 さてこうした気持ちを安らかにしてくれる鳥達の鳴き声だが、ジャズにも鳥を歌いこんだナンバーは数多い。鳥に関する曲で最も有名なのは、世界的なチェリスト、カザルスが書いた「鳥の歌」だろう。これはクラシックのナンバーだが、ジャズ・ベーシストなどもソロなどでよくこの曲を取り上げており、最近で秀逸な演奏は西山瞳(P)と安カ川大樹(b)のデュオで奏されたこの曲だろう。ジャズで鳥アルバムと言えば、ジャズ・ボーカルの第一人者、カーメン・マクレーの『鳥の歌からソング・オブ・バード』と言う事になるだろう。これは文字通り鳥をタイトルにしたナンバーばかりを集め彼女が歌い綴った秀作で、有名な“バイ・バイ・ブラックバード”など数多くのバード・ソングが聞かれる。

 家の近くを飛び回る郭公については、全盲で異才の巨人、ローランド・カークに“カッコウのセレナーデ”という心優しいフルート・ナンバーがあり、ぼくはジャズのバード・ソングではこれが一押しである。実に美しいメロディーを持った佳曲だが、途中には郭公の鳴き声をちょっとノイジーに活写したりする部分もあり、愉しく心弾むナンバーであることこの上ない。一度近くの樹の上で泣いている(はぐれ)郭公にこの素敵なジャズ・ナンバーを聴かせたいとも思うのだが、何せ相手は鳥のこと。どんな反応を示すのかこればかりは予測がつかないのですよ。


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