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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.94~国立の桜~】

 わが街、国立が一番の華やぎを見せるのがこの4月上旬。駅から一橋大学を超え、南武線の谷保駅に至る長い直線道路、いわゆる大学道路の両脇の桜並木が一斉に開花するこの季節、実に見事な花空間が現出し、国立に住んで本当に良かったと実感させられる至福の時なのである。今年は寒さが長引いたせいで、開花も遅れ気味で満開も遅かったが、先日うちの馬鹿犬を連れて、大学通りにお花見に行った。午前中にも拘らず人で溢れかえり、桜の下には花見の連中も数多くいたが、そこは流石に文教都市、国立だけに酔っ払ってくだを巻くような輩はいなかった。

 大学通りは人で溢れていたので、馬鹿犬を適当に通りに繋いでおいて、桜が見られる喫茶店に一人で入ったが、ここもやはりかなりの混雑振り。席についてぼんやりと桜を眺めていると、この店のBGMもご他聞に漏れずジャズである。有線のジャズ・セクションのようで、ピアノ・トリオがメインだが、時にコルトレーンやウェイン・ショーターのかなりアグレッシブなナンバーも掛かっている。
 作家の坂口安吾に“桜の森の満開の下…”という作品がある。中世を舞台にしたこの小説は、桜の満開に運命を狂わされてしまう人たちを描いたものだが、確かに桜にはそうしたヤバさ(=人を狂気に導くような清祥な錯乱)が秘められているようで、コルトレーンやショウターのデモーニッシュ(狂気を孕んだ)なテナー・ソロをバック音楽に、桜の花を眺めていると、何か不思議な衝動に駆られるような気分になってくるから不思議である。
 特に夜桜見物のバックがアグレッシブなジャズだったりしたら、どんなになってしまうか…、などと勝手な夢想をしていると、外に繋いだ馬鹿犬が、花見客に激しく喚き叫びちらしている声を聴き、一瞬にして現実に戻され店を飛び出した。まあかくのごときで、桜見物をジャズをBGMにやってみるのも結構乙なもののようですね。皆様も一度チャレンジしてみたらどうですか…。わたくし目は番組の取材に1週間ほど台湾に行きますが、今度こそぜひ台北“ブルーノート”を訪れようと思っています。取材費用が殆ど無い出張なので、どうなることか…。


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