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テイスト・オブ・ジャズ

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「テイスト・オブ・ジャズ」は毎週土曜日18:00-18:30(本放送)ほか、再放送毎週土曜日23:00-、毎週日曜21:30-、などでオンエアー中。番組進行は山本郁アナウンサー。 番組収録のウラ話はこちらのブログでも紹介されています。

【小西啓一の今日もジャズ日和Vol.93~ラテン・ジャズの注目盤~】

 ラテン・ジャズと言うと、どうしても能天気な音楽として敬遠する連中が多い。ぼく自身も若かりし頃は、コンガやティンバレスの入ったジャズ(今言うところのラテン・ジャズだが…)には、ルー・ドナルドソンやウイントン・ケリーなどの好アルバムであっても、見向きもしなかったものだった(大反省!)。

 それがいつからかラテン・リズムの魅力にはまってしまい、この10数年は新譜を買うと言えば、もっぱらこの手のラテン・ジャズ・アルバムになってしまった。そしてぼくのラテン・ジャズの指南役とも言えるのが、ラテン・ジャズ~サルサの権威とも言える岡本郁生君である。彼は8年ほどラジオ日経のディレクターとしても活躍、早稲田大のジャズ研の後輩でもあるのだが、純ジャズの世界から鮮やかにこちらの世界に転向してしまい、今やこの分野の大御所。外見はまさにNYブロンクスのワルと言った趣きで、青山の暗がりで声を掛けられ、肝を冷やした覚えもある。余談だがラジオ日経からはもう一人、松山晋也君と言うロックとケルト・ミュージックの大家を排出しており、音楽には余り力を入れなかった局から、音楽ライターの権威が登場しているのは面白いこととも言えそうだ。

 まあそんな雑談はさておき、このラテン・ジャズの権威、岡本郁夫君が今回プロデュースを担当して、日本のラテン・ジャズの水準の高さを誇示するような良品を作ってくれた。“崩れさる時代に踊れ…”というキャッチのこの『ミッド・ナイト・ルンバ』と言うアルバムのリーダーは、日本のティト・プエンテとの呼び声も高い、ラテン・ビートのトップ・リーダー、ウイリー・ナガサキ氏。プロデューサーの岡本君自身が“音よし曲よし演奏よし!”と自画自賛しているが、決してオーバーではなくかなりな感涙・興奮もの。あびる竜太(p)小泉哲夫(b)など、ジャズ畑でも大活躍の中堅達に加え、”ディアマンテス“のアルベルト城間やSOIL&PIMP・SESSIONSの人気者、元晴やダブゾンビなど多彩なゲスト陣も参加し、アルバムを盛り立てる。ウイリーさんのオリジナル“ザ・ストーム”や“ミッドナイト・ルンバ”なども仲々に血沸き肉踊る好ナンバーだし、勿論ジャズ・スタンダードの“グリーン・ドルフィン・ストリート”やガボール・ザボの名品“ジプシー・クイーン”のラテン化など、ジャズ・ファンへの目配りも忘れていない。
 
 ウイリー~岡本のこの強力・悪役コンビが先日このアルバムを携えてスタジオにやって来た。およそ東京のスタジオと思えない密度の濃さだったが、愉しいひと時だった。放送は来週の“テイスト・オブ・ジャズ”の時間で。

 ところでラジオNIKKEIは4月2日から全国どこでもラジコで聴けるようになった。パソコン、スマホでクリアーに番組が聴けるので、多くの音楽ファンに口コミで伝えてくださいね。我が“テイスト・オブ・ジャズ”も苦節48年余り…、ようやく音の悩みから逃れられ、いたく感激です。これからもよろしく…。


ウィリー・ナガサキ氏(左)と岡本郁生氏(右)


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